「吐き気」を催す食べ物
ローは俺のこの姿を見て、自分の務めを果たす時が来たと思ったのだろう。弱々しい声で、慎重に尋ねてきた。
「殿下…食事はドアのところに置いてあります。持ってきましょうか…?」
やっぱり来た。命を維持するための必需品か。でも、俺には全く食欲がない。どんなに美味そうな料理でもだ。それでも、生きていくためには…。
こうやって食べなきゃいけないんだろうな。もう食べるしかないんだ。
「…持ってこい…」
「はい。」
彼は足を引きずりながらドアの方へ向かい、食事を取りに行った。外に出る時、つまずいて小さく呻き声を上げたが、それでもトレイを持って戻ってきた。トレイには肉料理が並び、俺の好きなデザートもあった。どれも精巧に作られていて、わざと食欲をそそるように用意されたんだろう。
俺は銀のフォークで肉を刺して口に運んだ。でも、口に入れてしばらくすると、我慢できずに吐き出してしまった。体の本能的な反応なのか?俺はもう食事を認めたはずなのに。
「殿下…なら、まずはデザートをどうでしょう…」
ローは慎重にナイフでケーキを切り分けた。すでに小さい一切れだったが、俺が食べられないのを知っていて、さらに小さく切ってくれた。俺はその小さなケーキの欠片を見て、これなら食べられるかもしれないと思った。
フォークでそのケーキを刺し、口に入れた。甘さが口いっぱいに広がった。飲み込んだ。今回は吐かなかったようだ。
「やっと…食べられ――うっ!!!」
ダメだった。甘いものが口に入った瞬間は食べられそうな気がしたが、やっぱり錯覚だった。また吐き出してしまった。今度の反応はさらに強く、黄色い液体まで吐き出した。酸っぱくて、喉を通る時に焼けるような痛みがあった。
俺は苦しんで地面に膝をつき、喉を押さえた。飲み込んだはずなのに、体の反応がそれを拒絶し、吐き出させた。意識では受け入れたのに、体が拒んだ。
「殿下!とりあえず水を飲んでください…!」
彼は水の入ったカップを差し出してきた。俺は急いでそれを受け取り、一気に飲み干した。その瞬間、少し楽になった。どうやら水だけは飲めるらしい。他の食べ物は全く受け付けない。今、飢えを感じることもない。もう「満たされている」のかもしれない。
あの料理は全く食べられない。口に入れても吐き気を催すさっきの経験を思い出すと、触りたくもない。どうやら液体しか受け付けられないらしい。
「もう食べない…気持ち悪い…」
「殿下、それでも何か食べないと…体が持たないんです…」
ローはその料理を見て、俺が食べられないことを理解した。そして、傷だらけの体を引きずりながらドアの外へ出ていった。ゆっくりと壁に手をつき、王宮の厨房へ向かった。そこへ行く間、どんな目で人々に見られたか想像もできない。
汚らしいと思われたのか、新しく買われた奴隷だと思われたのか一一




