感じる幸福
「彼女を…殺した…俺が…殺した…でも、俺は彼女を愛してた…」
俺は涙を流し、果てしない苦痛を込めて目の前の「彫刻」を見つめた。彼には俺の痛みが感じられない。それなのに、今、俺に命令している。お前は神じゃない。
憎しみが湧く。かつての彼が自らナイシャを俺の前に連れてきた。あの素晴らしい女性を俺に与えた。彼女は俺の優しさだった。俺の思いやりだった。俺の心だった。でも、今は何もかもなくなった。
「多くのものを殺すことになる。人なんてその一つに過ぎない。特別なことじゃない。」
なぜそんな平然と言えるんだ?それは人間だ。生きている人間だ。愛した人間だ。特別じゃないってどういうことだ?なんて恐ろしい。なぜこんな男が王になれるんだ?
「なぜそんなにも別人に変わったんだ…お前がナイシャを俺に連れてきたんだ…俺に幸せをくれたのに…」
「彼女は幸せだったじゃないか。お前の手で死んだんだ。」
「え…」
なんて恐ろしい言葉だ。目が全く揺らがない。こんな言葉を言えるなんて、俺の父親なのか?こんな父親を持つことが恐ろしい。慈悲のかけらもない人間…。
「生きて苦しめられることなく、愛する者に殺され、平穏に還る。それって幸せじゃないか?」
俺には彼が理解できない。なぜそんな言葉を言えるんだ?死んだんだぞ。一体どんな言葉だ。受け入れられない。理解できない。
理解できない目で彼を見つめ、罵りたいのに言葉が出てこない。どうやって理解すればいい?どうやって対話すればいい?目の前にいるこの人型の生物に、どんな言葉で反論すればいいんだ?
「初めて殺したのが愛した相手だっただけだ。次からは人を殺しても痛みは感じなくなる。それって幸運だ。」
「何を言ってるんだ…」
彼はゆっくりと近づいてきた。影が闇に溶け込み、ついには完全に見えなくなる。彼が目の前に来た時、俺は思わず後退した。俺は何と対峙しているんだ?
恐れてはいけない。無意識に後退しても、立ち戻らなきゃいけない。こんな馬鹿げた男に屈するわけにはいかない。でも、彼が近づく時、俺は彼を見上げるしかなく、言葉にならない圧迫感を感じる。
「ジョン、目を覚ますんだ。」
彼の手がゆっくりと近づいてくる。その冷血な手。触れさせてはいけない…




