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ランクチェス王記  作者: 北川 零
序章 新しい王
6/77

バンケット⑶

ウィギルは窓辺に寄りかかりながら眺め、この「小王」を軽蔑の目で見つめ、冷ややかに観察していた。

「やあ、ウィギル! なんでこんな隅っこにいるんだ? 出てきて踊ったらどうだ?」


「プオエンか。聞いた話だと、最近北でずいぶん土地を収めたらしいな。子爵にも叙爵されたんだって? まだ俺みたいな友達を覚えててくれるんだな。」ウィギルは氷のような視線で彼を見つめた。


「まさかお前を忘れるわけないだろ! なあ、俺の最高の酒飲み友達! 今日はどうしたんだ? 何か悩みでもあるのか?」


「それがお前に関係あるか?」


「そんな冷たくするなよ~ ちょっと話してみなよ。」


「だから、小さい呼び名で呼ぶなって言っただろ! いいよ、話してやるよ。あの『小王』だ。国王が何考えてんだか、あんなやつを第二の国王にするなんて、ちょっと頭おかしいんじゃないか?」ウィギルはダンスフロアで踊るヘンロを不機嫌そうに睨みつけ、ワイングラスを握り潰しそうな勢いだった。


「なるほど~ 嫉妬してるんだな~」プオエンはからかうように言った。


「何!? プオエン! ぶん殴られたいのか!?」ウィギルは拳を振り上げ、殴る構えを見せた。


「冗談だよ、冗談! そんなマジになるなよ! 国王には何か別の考えがあるかもしれないだろ?」

プオエンは体を縮こまらせ、拳を防ごうと手を挙げたが、ウィギルは結局殴らず、拳を下ろし、ワイングラスの中の酒をじっと見つめ、冷笑した。


「ふん、あのジジイめ。『小王』がどんな計画を持ってるか、じっくり見てやるよ。アンパワネ、あの古代の疫病の地だ。港湾都市であり、軍事要塞でもあるのに『呪い』がある。たとえ『白袍の子』だろうと…」


「彼はまだ軽率すぎるよ。あんな場所を攻めようだなんて。まあ、お前らみたいな若者はみんな血気盛んだからな~ ハハ!」プオエンは笑い出した。


「俺をあの小王と一緒にしないでくれ!」ウィギルは怒りを込めて彼を睨んだ。


「うっ… とりあえず酒でも飲もうぜ。」(やべ、なんか地雷踏んじまったな)プオエンは心の中で思った。


ダンスフロアの中央では、ヘンロとパーマシャが踊っていた。どんなに速いテンポでも、パーマシャは完璧に合わせ、さすが優秀な姫だと、ヘンロも感嘆の声を上げた。


「パーマシャ、ほんとすごいな…」


「そんなことありません、ただ慣れているだけです。それでも、陛下に褒められてとても嬉しいです。」


「そうか…」ヘンロはどこか無力な眼差しを見せた。


「どうしたんですか、陛下? なんだか元気がないようですが。」


「ただ、なんで俺たちがこんな政略結婚なんだろうって考えてただけだ。もっと良い相手がいたはずなのに…」

「陛下、そんなこと言わないでください。私たちは国のために貢献しているんです。そう思えばいい… ですよね…」


パーマシャは突然ダンスを止め、涙を流した。口元では何かをつぶやいているようだった。「ヤワ… ヤワ…」ヘンロは心配そうに声をかけた。


「パーマシャ? どうした、大丈夫か?」


「ごめんなさい! 失礼しました! 私… 大丈夫です、陛下、ちょっと休憩します。」


パーマシャは目を拭い、テラスへと歩いていったが、その表情はどこか憂いと疲れを帯びていた。

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