バンケット⑶
ウィギルは窓辺に寄りかかりながら眺め、この「小王」を軽蔑の目で見つめ、冷ややかに観察していた。
「やあ、ウィギル! なんでこんな隅っこにいるんだ? 出てきて踊ったらどうだ?」
「プオエンか。聞いた話だと、最近北でずいぶん土地を収めたらしいな。子爵にも叙爵されたんだって? まだ俺みたいな友達を覚えててくれるんだな。」ウィギルは氷のような視線で彼を見つめた。
「まさかお前を忘れるわけないだろ! なあ、俺の最高の酒飲み友達! 今日はどうしたんだ? 何か悩みでもあるのか?」
「それがお前に関係あるか?」
「そんな冷たくするなよ~ ちょっと話してみなよ。」
「だから、小さい呼び名で呼ぶなって言っただろ! いいよ、話してやるよ。あの『小王』だ。国王が何考えてんだか、あんなやつを第二の国王にするなんて、ちょっと頭おかしいんじゃないか?」ウィギルはダンスフロアで踊るヘンロを不機嫌そうに睨みつけ、ワイングラスを握り潰しそうな勢いだった。
「なるほど~ 嫉妬してるんだな~」プオエンはからかうように言った。
「何!? プオエン! ぶん殴られたいのか!?」ウィギルは拳を振り上げ、殴る構えを見せた。
「冗談だよ、冗談! そんなマジになるなよ! 国王には何か別の考えがあるかもしれないだろ?」
プオエンは体を縮こまらせ、拳を防ごうと手を挙げたが、ウィギルは結局殴らず、拳を下ろし、ワイングラスの中の酒をじっと見つめ、冷笑した。
「ふん、あのジジイめ。『小王』がどんな計画を持ってるか、じっくり見てやるよ。アンパワネ、あの古代の疫病の地だ。港湾都市であり、軍事要塞でもあるのに『呪い』がある。たとえ『白袍の子』だろうと…」
「彼はまだ軽率すぎるよ。あんな場所を攻めようだなんて。まあ、お前らみたいな若者はみんな血気盛んだからな~ ハハ!」プオエンは笑い出した。
「俺をあの小王と一緒にしないでくれ!」ウィギルは怒りを込めて彼を睨んだ。
「うっ… とりあえず酒でも飲もうぜ。」(やべ、なんか地雷踏んじまったな)プオエンは心の中で思った。
ダンスフロアの中央では、ヘンロとパーマシャが踊っていた。どんなに速いテンポでも、パーマシャは完璧に合わせ、さすが優秀な姫だと、ヘンロも感嘆の声を上げた。
「パーマシャ、ほんとすごいな…」
「そんなことありません、ただ慣れているだけです。それでも、陛下に褒められてとても嬉しいです。」
「そうか…」ヘンロはどこか無力な眼差しを見せた。
「どうしたんですか、陛下? なんだか元気がないようですが。」
「ただ、なんで俺たちがこんな政略結婚なんだろうって考えてただけだ。もっと良い相手がいたはずなのに…」
「陛下、そんなこと言わないでください。私たちは国のために貢献しているんです。そう思えばいい… ですよね…」
パーマシャは突然ダンスを止め、涙を流した。口元では何かをつぶやいているようだった。「ヤワ… ヤワ…」ヘンロは心配そうに声をかけた。
「パーマシャ? どうした、大丈夫か?」
「ごめんなさい! 失礼しました! 私… 大丈夫です、陛下、ちょっと休憩します。」
パーマシャは目を拭い、テラスへと歩いていったが、その表情はどこか憂いと疲れを帯びていた。