本当の話
ソデリン城にて、ジョンはゆっくりと目を覚ました。目を開けると、隣でローグが彼の手を握りながら眠っていた。しかし、ローグは眉をひそめ、ジョンの手を強く握りしめていた。
「……なぜここで寝てるんだ…」
ジョンはそう呟いたが、力のない声ではローグを起こすことはできず、手を離すこともできなかった。
精一杯の力でローグを叩いたが、彼の手は弱りきっており、まるで力が入らなかった。起き上がることさえ困難だった。
「どうしてこんなことに…こんな弱い自分になるなんて…」
今の自分の姿に苛立ち、嫌悪さえ感じていた。
骨と皮ばかりの体、細く弱った手。それはまるで歩く骸骨のようで、厚い鎧と服で覆わなければ吐き気を催すほどだった。
「嫌だ…なぜ変えられないんだ…」
変わらない自分を憎み、王室を憎み、父を憎み、この世界を憎んだ。なぜなら、彼はすべてを失ったからだ。
誰もそばにいてくれない。そばにいる者はみな傷つき、ローグさえも彼のせいで傷を負った。その顔に永遠に残る傷跡。
それはローグ自身に思い出させるだけでなく、ジョンにも毎回突きつける。
お前が彼を傷つけた。お前がすべての罪人だ。あの時と同じように。
「俺が王になれば…あの時のことをもう一度調べられるのに…」
そう感慨深く呟いた。彼は以前も調べようとしたが、さまざまな理由で拒まれた。ただ、ネイシャが不条理に死なないようにしたかっただけなのに、それすら難しい。
今でもあの男の姿を覚えている。切り取られたまぶた、腐った顔、恐ろしいその男。
一体何者だったのか。熟練の暗殺者。よその国の者か、国内の者か。何もわからない。ただ自分で調べ続けるしかなかった。
だが、どれだけ調べても手がかりはなく、最も機密性の高い資料は見られなかった。その資料は王にしか閲覧できないのだ。
「くそっ…」
その時、ローグが目を覚ました。ゆっくりと頭を上げ、ジョンが起きているのに気づき、じっと天井を見つめている彼を見た。
「殿下!やっとお目覚めですか。気分はどうですか?」
突然の興奮した声。普段のローグらしくなかったが、今回はあまりに心配だったため、取り乱してしまったのだ。
だが、すぐにそれに気づき、いつもの落ち着いた、重厚な口調に戻った。
「すみませんでした。」
そんな緊張したローグを、ジョンはただぼんやりと見つめた。何も命令せず、ただ心に空虚さを感じていた。
突然、目尻から涙が流れ落ちた。だが、顔には何の感覚もない。一体なぜ?何のために涙が流れているんだ?
「殿下…」
ローグは慎重に尋ねた。まるでジョンの心を見透かしたかのような、細やかで優しい問いかけだった。
ジョンは手を伸ばし、ローグの顔の傷跡に触れた。呆然とした表情で触れながら、まるで遠い昔のようにも、ついさっきのようにも感じられた。
「なぜこんなにも時間が経った気がするのに、こんなにも痛いんだ…まるで今起こったことのようだ…どうやっても麻痺しない…」
独り言のように呟きながら、ローグは頭を動かさず、ジョンに触れさせた。それはもっと痛いかもしれないが、心を落ち着かせるものでもあるのかもしれない。
突然、ジョンがローグの左目を押した。彼は痛がらず、退かなかった。あの時の光景とほぼ同じだった。
「痛いか…なぜお前の目はこんなにも空っぽなんだ…」
目の上の空虚な感覚。左目には何の感覚もなく、まるで眼球がなく、ただ血管に満ちた穴があるだけだった。
「だって、もうないんです。腐ってしまったんです。」
「…そうか…俺もこうなるんだろうな、こんな風に腐っていくんだ…」
ジョンはそう言った。これは彼が引き起こしたことだ。執着を持つのは間違っているのか?




