ベッドの上の温かな夢
外は大雨が降り続き、ベッドに横たわる二人のそばでは、旗竿に縛られていた者はもういなかった。部屋の中では燃えるランプの灯りと羊毛の毛布がナクトの体を温め、隣には彼をベッドに連れてきたヘンリーがいた。
「ナクト、兵士に見張りを命じたはずだが、どこに行ったんだ?」
ヘンリーは少し困惑しながら尋ねた。その兵士は見張り役であるだけでなく、ナクトを守るためにそこにいたのだ。ナクトを傷つけさせないために。しかし、その兵士は姿を消していた。
「何か貴族の命令で呼ばれたみたい…誰だったかは見えなかったけど…」
ナクトは顎を鉄片で擦れて赤くなった部分を触りながら、その時の声を思い出した。声は少しハスキーで、特徴的だったが、彼はそれを明かすつもりはなかった。
「目的はもう果たしたんだから、あんまり気にしなくていいよ…」
ナクトは気にしていないように笑って言ったが、ヘンリーの表情は曇った。何か恐ろしいことを考えているようだった。
「どうしたの?そんな顔して…」
「何か特徴はあったか?例えば声とか、話し方とか。」
ヘンリーはさらに問い詰めた。誰なのか知りたがり、口調は重くなった。その貴族が兵士を呼び出したせいで、間接的にナクトが傷つけられたのだ。
絶対に許せない…。
「そんなに問い詰めないでよ。別にその人のこと恨んでないし…」
「その兵士を呼び出したせいでお前がこんな目に遭ったんだ。お前が許しても、俺は許さない…」
今、ヘンリーは心の中の憎しみに支配されていた。ナクトを傷つけた者、去った兵士、そしてその貴族への憎しみ。雨の中、ナクトがみじめな姿でいたことを思い出し、彼の最も大切な従者を傷つけられたことが許せなかった。
だが、その考えはナクトに見透かされていた。ナクトは優しくヘンリーの手を握った。
「感情に目を曇らせないで。今のあなたは王なんだよ。ヘンサー陛下がまだ実権を握っていても、あなたを王位につけたってことは、少しは認めてくれてるってことだよ。でも…ごめん、こんな気分にさせちゃって…」
ナクトの言葉で不満の感情は抑えられたが、包帯を巻かれた手首を見ると、ヘンリーは自分を責めずにはいられなかった。なぜナクトの言葉を聞いてこんな命令を出してしまったのか。
「次は…いや、もう次はない。お前がどんなに言っても、こんな命令は二度と出さない。」
目の前で弱々しく横たわるナクトは、蔑まれ、苦しめられたのに、その卑劣な貴族の名を明かさず、ただ笑ってヘンリーに憎しみを手放すよう促した。それは自分のためではなく、「王」のためだった。
「うん、全部あなたに任せるよ…」
突然、空に雷鳴が響き、ナクトは閉じていた目を驚いて開けた。その雷の音に体が震えたが、ヘンリーは彼の耳を手で覆った。その手はとても安心できるものだった。
「安心して眠れよ、ナクト。」
このベッドはとても温かかった。王宮のベッドでも、自分のベッドでもなく、ただの獣の毛でできた普通のベッドなのに、こんなにも心地よかった。その手が耳を覆い、雷の音は徐々に消えていった。眠りにつこう。それは美しい夢か、それとも悪夢か――




