自ら望む刑罰(5)
「カトー様、明日、どうか陛下をしっかり補佐してください。初めての…」
ナクトは小さな声で言った。明日、彼はヘンリーのそばにずっと付いているわけにはいかない。だから、この責任をホブムから派遣された副官のカトーに託すしかなかった。
「俺は全力を尽くすよ。だが、戦場は変幻自在だ。陛下も自分で頑張らないとな。」
「俺は陛下の能力を信じています。必ず勝てると。」
彼の声には絶対的な信頼が込められていた。それはヘンリーだけに向けられた信頼だった。この優しく善良な君主が、反乱を起こした者たちに勝利し、共同統治の王がただの飾りではないことを証明できると信じていた。
「わかった。どうやら俺も自分を信じなきゃいけないな。神が我々を守ってくれることを願おう。」
「はい…」
しばらくして、兵士が戻ってきた。
「閣下、お疲れ様でした!長く休んでしまってすみませんでした!」
「いや、いいよ。それじゃ、引き続き見張りを頼むな。」
カトーは去る前に、ナクトの耳元で小さく囁いた。声にはわずかな気遣いと、諭すようなニュアンスが含まれていた。
「ナクト様、お前もご苦労だ。この決心をしたんだから、最後までこの芝居をやり遂げなよ。」
彼はゆっくりと自分の帳篷へと戻っていった。ナクトは足音を聞きながら彼が遠ざかるのを感じ、心の中であの妙な言葉は何だったのかと考えた。なぜ急にそんなことを言ったのか、ナクトはどう考えても理解できなかった。
夜空を見上げても、時間の流れを感じられなかった。やがて、帳篷の中から将軍たちの足音が聞こえてきた。彼らがゆっくりと出てくる。表情は見えなかったが、会話からほっとした様子が伺えた。その中の一人の貴族が、見張りの兵士に言った。
「お前ももう見張らなくていい。寝に行け。この欺瞞の者をここで冷たい風にさらしておけばいい。」
「え…でも…」
兵士は何か言おうとしたが、貴族は苛立った様子で再度命令し、高慢な目で兵士を睨みつけた。 「俺の言葉が聞こえないのか!」
「は…はい…」
将軍や貴族たちは今のナクトに対して全く容赦がなかった。たとえ彼が王の従者であり、どれほど高貴な身分であっても、今ここで縛られ、首に刑具をかけられている姿は、若い貴族たちにはヘンリーが彼をもう重用しない証拠に見えた。尊厳を剥奪され、寒風にさらされ、キャンプ中の者たちに罰を受ける姿を見せつけられているのだ。
「陛下を欺いたなんて、以前は立派に見えたのに、今はまるで狐のようだな。」
「今こうやって見ると気分がいい。ずっとここに縛っておけばいい。」
「こんな風に縛られて、卑しい者だけが受けるような刃物の刑具までつけられて、みっともないな。」
彼らの顔は見えなくても、その言葉から想像できた。きっと軽蔑と嫌悪に満ちた表情で、刺すような視線がナクトの全身に向けられている。高みに立てば崇め、低ければ踏みつける――貴族階級の醜い本性がそこにあった。
だが、目的はすでに達成されていた。今夜、あと少しこの芝居を演じ切ればいい。刺すような視線に耐え、続けよう――




