自ら望む刑罰⑶
外の焚き火が暖かな光を放ち、炎の光が空を照らしていた。他の兵士たちは焚き火を囲んで賑やかに談笑していた。主帳篷はキャンプの最も奥にあり、焚き火の光がまだ見えた。
ヘンリーの主帳篷の中では、貴族たちがようやく落ち着いて議論を進めていた。「敬畏」、そして一時的な「恐怖」のおかげだった。帳篷の外にはすでに「例」があった。ナクトは両手を背中で縛られ、鉄板で顎を押さえつけられ、黒く光のない空を強制的に見上げさせられていた。わずかに見えるのは、空に映る焚き火の光だけだった。
「今夜…月が見えないな…」
ナクトは雲に覆われた月光を見上げ、口をわずかに開けて小さく呟いた。新月か満月か、わからない。見えるのはただ暗い夜空だけだった。夜の冷たい風が彼の顔を撫で、首筋を擦ったが、彼は避けることも動くこともできなかった。
「ナクト様、なぜこんなみすぼらしい姿でここに?」
聞き慣れた声がナクトの耳に届いた。彼には見えなかったが、その声の主が誰かはすぐにわかった。副官のカトーだ。
「カトー様、あなたは帳篷の中で戦略を議論しているはずでは?」
顎を鉄板で押さえつけられ、口をわずかにしか開けられず、極端に小さな声で話した。
「こんな状態じゃ、話してもよく聞こえないよ。ちょっと今のナクトの顔を見てみようかな。」
カトーは背が高いので、頭を下げて上を向くナクトの顔をじっと見た。突然近くに寄られたナクトは驚き、顎が鉄板に当たって少し痛んだ。
「痛っ…カトー様、なんで急に近づいてきたんですか…」
「悪い悪い、ちょっと面白そうだっただけだよ。」
カトーは「強制的に」空を見上げさせられているナクトの顔を見て、興味深そうに笑った。
「その兵士はちょっと休んでいいよ。俺が見張るから。」
「はい、ありがとうございます、閣下!」
兵士が遠ざかるのを見届け、カトーはナクトと同じように空を見上げ、ゆっくりと口を開いた。
「ナクト、お前はわざとこの芝居を打ったんだろ?この姿を貴族たちに見せて、陛下に恐怖を抱かせようとしたんだ。」
「さすがカトー様に見抜かれました…恐怖というより、もっと敬畏してほしいんです…」
カトーは小さく笑い、帳篷の中にいる者たちに聞こえないよう、同じく小さな声で言った。
「なんでこんな苦労をするんだ?他にも方法があっただろうに。」
「これが一番早い方法だったんです…一時的だけど、十分だと思うんです…だって、明日…」
ナクトの声にはわずかな無念さが滲んでいた。もっと良い方法があったかもしれないと彼もわかっていたが、もう時間がない。だからこんな「脅し」のような方法で、傲慢な若い貴族たちをヘンリーに従わせるしかなかった。
「お前の言うことにも一理ある。だが、尊厳を犠牲にするこんな方法、初めて見たよ。だって、こんなみすぼらしくて辛い罰を進んで受ける貴族なんて、普通はいないからな。」
「これが俺の尊厳です…ちょっと恥ずかしいけど…」
ナクトの目は横に逸れ、耳元が少し赤くなった。自ら望んだこととはいえ、内心ではやはり少し恥ずかしかった。カトーはナクトの柔らかな乱れた髪を整えてやり、突然話題を変えた。
「お前と陛下の関係はどうにか解決したのか?」
「…うん、カトー様、気づかせてくれてありがとう。」
「それならいい。だが、なんで気づけなかったんだ?陛下に仕えてそんなに長いのに。」
カトーは少し不思議そうだった。ナクトはヘンリーに長年仕えながら、主の感情に気づけず、こんなにも時間が経ってしまった。
「…それは…陛下は出発してからずっと俺を避けているようだったし…俺の感情も判断を曇らせてしまったんです…」
ナクトはそう考えると急に落ち込んだ。自分の感情に振り回され、最高の騎士とは言えない自分に気づいた。ある意味、ここに縛られているのは自分への罰でもあった――




