自ら望む刑罰(2)
貴族たちは旗竿に縛られたナクトを見て、誰もが衝撃を受けた。彼らは急いで近づき、状況を尋ねた。
「ナクト様!なぜこんなふうに縛られているのですか?!」
さっき口論していた若い貴族の将軍の一人が尋ねた。ナクトの首にかけられた鉄板を見て戦慄した。暗闇の中では、それが刃物に見えた。このような刑罰は通常、貴族には施されないものだったが、今、それがヘンリーの側近であるナクトに課せられているのだ。
「ナクト様は欺瞞の罪を犯したため、このように罰せられたのです…」
一人の兵士がそう説明した。ナクトが今、話すのも難しい状態だと知っていたし、少なくとも表面的には、これがヘンリーがナクトに課した罪名だった。
「陛下はそんなことで罰を与える方ではないはずでは!?陛下は心優しい王だと聞いていたのに?」
貴族たちは一人また一人と驚愕した。ヘンリーが最も信頼する従者でさえこのように罰するなら、彼らのような部外者はなおさらだ。欺瞞でこのような罰を受けるなら、命令に従わないのはもっと重い罪になるだろう。
先ほど無礼な態度を取った二人の若い貴族将軍は、恐怖に震え始めた。自分たちも同じように罰せられるのではないかと恐れ、ざわめき始めた。もしヘンリーがこのような理由で彼らを罰したらどうなるかと。
「俺もこんな罰を受けるのか…怖い…こんなの耐えられない…」
「ここに縛られて皆に見られるなんて、恥ずかしくてたまらない!陛下は本当にこんなことをするのか…」
ナクトは鉄板に顎を押さえつけられ、常に上を向いていて将軍たちの姿は見えなかったが、彼らの恐怖に満ちた言葉からその表情を想像できた。これこそが彼の狙った効果だった。たとえ恐怖であっても、この若い将軍たちを震え上がらせることができた。威厳には程遠いかもしれないが、少なくとも彼らに敬畏の念を抱かせ、ヘンリーの命令を無視させないようにするには十分だった。
ナクトの姿は確かにみすぼらしく、どの貴族もこんな罰を受けたくないだろう。それは貴族の名誉を傷つけるものだった。ましてや、ナクトのような高位の者にこんな公開処罰が自ら望んだものだとは。
「陛下は皆さんを長いことお待ちです。まだここで何をしているのですか?」
帳篷から出てきた兵士がそう言うと、将軍たちは怠慢を許されず、急いで会議に向かった。最初は傲慢だった彼らが、今は敬畏の念を抱き、帳篷に入るとヘンリーに礼をしてから席に着いた。
「陛下!どうぞご方針をお聞かせください。我々はすべて陛下の指揮に従います!」
この突然の態度の変化に、ヘンリーは不思議に思った。夕食から戻ってきた彼らはまるで別人のようで、まるで怯えたかのようだった。
「皆…どうしたんだ?」
「い、いえ!先ほどは陛下に無礼を働きました!深く反省しております!」
さっき口論した若い貴族が慌てて謝罪し、恐怖のあまり言葉もつっかえつっかえだった。罰せられるのを恐れていたのだ。
ヘンリーはこれがナクトの狙いだったと気づいた。傲慢な貴族将軍たちに敬畏と恐怖を抱かせることだった。彼にはヘンサーほどの威厳はない。だから今、従順させる最善の方法は恐怖だった。一時的ではあるが、それで十分だった。
「なら、俺の言うことを聞け。勝手なことは言うなよ。」
「は…はい…」




