狩り
ナクトは森で狩った兎を煮るために持ってきた。肉を切り取って味見をすると、悪くない味だったが、もう少し煮込まないと味が染み込まないと感じた。そこで、彼は香草を摘みに行き、癒されるような香りを加えた。料理の煙が空に漂い、肉の香りが兵士たちを引き寄せた。
「ナクト様、なんの美味いもん作ってるんですか?」
「様、ちょっと食べてもいいですか、はは」
香ばしい兎肉の鍋を見て、兵士たちはよだれを垂らさずにはいられなかった。ナクトは気前よく数個の碗を取り出し、兎肉を兵士たちに分けてやった。一口食べた兵士たちは、ナクトの料理の腕を絶賛し続けた。
「さすが陛下の従者!料理の腕も一流だ!俺たち兵士にはこんな美味いもん、なかなか食えないですよ!」
「いや、みんな大げさすぎるよ。俺、料理なんて久しくしてなかったんだから、そんなにすごくないって!」
兵士たちの称賛にナクトは少し照れくさそうだった。彼自身、この兎肉が本当にそんなに美味しいのか分からなかった。味見した後でも確信が持てなかったし、本当は他の香料を加えたかったからだ。それでも、兵士たちのこんな反応を見て、彼は嬉しく感じた。しかし、鍋の肉はほとんど食べられてしまい、残り少なくなっていた。彼はまた狩りに行くしかなかった。
「じゃあ、また何匹か狩ってきて煮るよ」
兵士たちは自分たちがスープの残りかすしか残さなかった料理を見て、ただ食べるだけでは申し訳ないと思い、狩りに行こうとするナクトを呼び止めた。
「様、今回は俺たちが狩りに行くよ。こんな美味い料理のお礼としてさ」
「いやいや!みんなは明日のために体力を温存して!陛下にはみんなが必要なんだから!」
ナクトは慌てて首を振って断ったが、兵士たちはどうしても手伝うと言い張った。仕方なく、彼は2、3人だけ連れて森に入った。人数が多すぎると動物が驚いて逃げてしまうからだ。
「じゃあ、一緒に行こう。弓矢いる?」
「俺たち、弓矢は慣れてないんです。普段はこれ使ってるんで」
兵士はそばにあった長槍を取り出した。彼らは普段、家でも狩りをしており、特に猪を捕まえることが多かった。体が大きく、弓矢だと逃げられやすいので、頑丈な長槍で一撃で仕留める方が有利だった。
彼らは森に入り、草むらの動きを観察しながら慎重に歩いた。動物が逃げないように気をつけた。途中で物音がしたので、皆が警戒して武器を構えたが、通り過ぎたのはただの野猫だった。
「猫かよ。もっと奥に行かないとな」一人の兵士がそう言った。
だが、別の兵士が即座に草むらに長槍を投げた。草むらから動物の悲鳴が聞こえ、何かを刺したようだった。その兵士が前に出て確認すると、刺さっていたのは一頭の猪だった。
「やっぱりな」彼は刺した猪を引きずり出した。中型の猪で、すでに重傷を負っていたがまだ暴れていた。
「どうやってそこに動物がいるって分かったんだ?」
ナクトは好奇心からその兵士に尋ねた。草むらの動きも見えず、音も聞こえなかったのに、どうやってそこに生き物がいることに気づいたのか。
「音だよ。めっちゃ小さな呼吸音があったんだ。でも、普通の人はこんな小さな音、聞こえないよ」
兵士は猪の頭にさらに一撃を加えて完全に仕留め、動かなくなった猪を麻袋に入れた。ナクトは目の前の兵士に少し感服した。こんな小さな音を聞き分けられるなんて。
彼らはさらに進み、途中で兎や野鶴を何匹か捕まえ、収穫をたっぷり持ち帰った。そして、この猪が彼らの最大の獲物だった。




