どくろ
朝早く、二人の状態も少し良くなっていた。ローゼルの熱も徐々に下がり、疲れた目蓋をゆっくりと開けた。陽光がカーテンの隙間から差し込み、カオは一晩中眠らずに二人を心から世話していた。
「起きた?良くなった?」彼は小さな声で尋ねた。
「うん、だいぶマシになった」
ヨハンはまだ目を覚ましていなかった。毛布の下の体はまだ汗をかき続けていた。カオが毛布をめくると、パジャマがびっしょり濡れているのが分かった。彼はヨハンのパジャマを解こうとしたが、ローゼルに制止された。
「やめてくれ、これは俺がやる」
ローゼルは弱った体で立ち上がり、ヨハンのパジャマを解いた。カオは服をめくった後のヨハンの姿に驚いた。彼はヨハンが他の貴族と同じように健康な体格だと想像していたが、今目の前にいるヨハンは骨と皮ばかりで、腕は木の枝のように細く、まるで満足に食事をしていない奴隷のようだった。普段は服や鎧を着ているから分からなかったが、親王であり領主である彼がこんなにも弱々しいとは思わなかった。
「彼…なんでこんなことに…?」
カオの驚きはローゼルにとって予想できたものだった。彼は低い声で説明した。
「殿下は…長い間、まともに食事をしていないんだ」
出発したばかりの頃、ヨハンが朝食を食べ、奴隷をからかっていた姿を見たばかりなのに、長い間食事をしていないなんて、受け入れるのが難しかった。
「前に朝食をしっかり食べてるのを見たけど?」
「違うんだ。あれはただの見せかけだ。新しいタオルを取ってきてくれ」
カオは洗濯部屋から新しいバスタオルを取ってきた。ローゼルは優しくヨハンの上半身を起こし、汗で濡れた背中を拭いた。その動きは極めて優しく、まるで生まれたばかりの赤ん坊を扱うように、傷つけないよう慎重だった。脇の下も温水でそっと拭き、動作はとても慣れているようだった。
「いつもこうやって彼を拭いてるの…?」
「うん」
拭き終わると、ローゼルはヨハンに再び毛布をかけて、病気にならないようにした。拭いている間に、カオは朝食を取ってきてテーブルに置いた。
「朝食持ってきたよ。病気なんだからあんまり動き回らないで」
「世話してくれてありがとう。後で必ず恩を返すよ」
カオは慌てて手を振った。彼は報酬を求めていなかった。ただ自分が正しいと思うことをしただけだった。それは自分の「良心」に基づいた、取るに足らないことだと考えていた。
「いやいや!そんなのいいよ!ほんと小さなことだから!!」
しかし、大戦が目前に迫っているのに、指導者がこんなにも脆弱では、勝利する姿が想像できなかった。後の戦争の状況が心配で、ヘンロとホブムの連合軍に立ち向かうのは、まさに危機一髪だった。
「でも、親王がこの状態で、もし外の軍が急に攻めてきたらどうする?軍に代わりを務める勇気のある奴なんていないだろ」
「必要なら、俺が指揮を執る」
従者が戦を指揮するなんて、カオは予想もしていなかった。しかし、よく考えると、ヨハンの従者である以上、大貴族であり、戦略の知識を学んでいるのは当然のことだった。
「分かった。それじゃ、俺は先に朝食食べに行くよ。ゆっくり休んで」
部屋には再びヨハンとローゼルだけが残った。朝食を食べ終わると、ローゼルは急に眠気を感じ、ヨハンの手を握ったまま眠りに落ちた。
手の温もりは安心感を与えたが、すでに茨で覆われた心を埋めることはできなかった。茨の茂みの中で泣き、光輝が頭上で温かく照らしていた。でも、これは本当に「温もり」なのか?それとも、どの隅にも照らすことのできる「悪しきもの」なのか?ずっと頭上にあり、逃げられない。茨はすでに体に絡みつき、ここに長く留まりすぎた。もう抜け出せない。ただこの「温かい」陽光に照らされるだけだ。でも、だんだんと「熱」だけが残っていく――




