休息の酒
カオが城に戻ったばかりで、椅子に座って少し休んでいると、他の兵士たちがジョンが地下牢でどうなったかについて話しているのが耳に入った。好奇心から近づいて尋ねた。
「親王はどうしたんだ?」
「地下牢で気が狂ったって噂だ。何が原因かはわからないけど」
「そうか」
少し考え込んだカオは、ローなら事情を一番よく知っているはずだと考え、ジョンについて聞きに行こうと思った。ジョンのことは本来自分には関係ないが、あの子供たちを助けるためなら、リスクがあっても――
「じゃあ、ローはいまどこにいる?」
「もちろん、ジョンの部屋にずっといて世話してるよ」
「それじゃ、ちょっと聞きに行きにくいな」
カオは小さくつぶやいた。ローが今ジョンと一緒にいるなら、さすがに聞きに行くのは難しい。
城内の大広間を通り過ぎると、窓辺に座って何か考え込んでいるシーンが見えた。
「シーン、そこで何ぼーっとしてるんだ?」
「ただ、兄貴のことを考えてたんだ。ずいぶん会ってないし、連絡も来てない…」
シーンはため息をつき、海を眺めた。兄のことがとても気にかかり、どこに行ったのかもわからない。
カオは彼の肩を軽く叩き、慰めるように言った。
「たぶん旅行でもしてるだけさ。もしかしたら将軍にでもなってるかもしれないぞ」
「そうかな」
「じゃあ、なんか食いに行かないか?捕まえるのに夢中でろくに飯も食ってないだろ」
二人は一緒に食堂に向かった。そこでは何人かの兵士が食べ物を食べたり酒を飲んだりしており、中には酔いつぶれている者もいた。この光景を見たカオは、酒を飲みたい欲が湧いてきた。
「なあ、ちょっと酒でも飲まないか?少しだけでいいよ」
カオは笑いながらシーンに言い、誘うような口調だった。シーンは仕方なさそうに首を振って彼を見た。
「こんな朝早くから酔うつもりか?お前、ほんと気が緩みすぎだろ…」
「飲もうぜ、飲もう!リラックスするんだよ!明日何が起こるかわからないんだ。もしかしたら明日には飲めなくなるかもしれないぜ~」
「はあ、お前には敵わないな。ほんとにちょっとだけな」
カオはビールを二杯持ってきて、自分とシーンの分を用意した。久しぶりのビールだった。飲み始めると止まらなくなり、次々と飲み続けた。
「ほら、やっぱりこうなる!カオ、もう飲むな!めっちゃ飲んでるぞ!」
「まだまだ!全然飲めるって!お前ももっと飲めよ!」
シーンはこんな状況を予想していたかのようだったが、飲み始めたカオを止めるのは無理だった。次から次へと杯を重ねるカオを、シーンはただ見守り、酔いつぶれた後に部屋まで送るしかなかった。
「よお!もっと飲むぜ!!飲む!」
「はあ…ちょっとだけって言ったのに…こんなに飲んで…」
シーンはため息をつき、目の前で酔いつぶれて意識を失った友を見て、しみじみと思った。そうだ、俺たち兵士は明日のことがわからない。もしかしたら明日、軍が攻めてくるかもしれない。リラックスできるときはリラックスすべきだな。




