むかしのこじん⑴
「よくできましたね、シリバヴィ。でも、あなたは少し“残酷”すぎるんじゃないかな」
少し若々しく端正な顔立ちの男が、優しくシリバヴィという名の少年に語りかけながら、そっとその頭を撫でた。
少年は頭を下げ、恥ずかしそうにその剣を見つめている。
「本当に申し訳ありません……父上……この剣を上手く扱うことができず、本当に少し……」
「扱いにくい? いいえ、そうじゃない。ただあなたはまだ相手の気持ちを気にしてしまうだけだよ。もう死ぬ相手なのに、どうして気にする必要があるのかな」
地面には、同じく剣を持っていた大人の男が倒れている。ぼろぼろの服を着て、切り裂かれた喉から血が流れている。
しかし彼の死因はそれではなく、心臓を一突きに貫かれたことだった。一撃で命を絶ち、一切の苦痛を与えなかった。それどころか、恐怖と絶望に歪んだ瞳を、誰かがそっと閉じてやっていた。
「あなたが彼の目をつぶってあげたから、もうあの同情を誘う瞳は見えなくなったね。私たちは一番“優しい”目で彼の苦しみを憐れんであげないと。敬意を払うべきだよ」
けれど少年は、父の瞳に優しさや憐れみの色など微塵も見出せなかった。そこにあるのは、病的なまでに読み取れない双眸で、ただ高みから地上の男を見下ろしているだけだった。
「知ってるかい、シリバヴィ。この男はもともと死ぬべき存在だったんだ。ただの死刑囚さ。でも、彼が激しく命乞いをしたから、僕は彼に目をつけたんだ。彼は生きたかった。とても強く生きたかった。『生きること』って、とても大切なものなんだよ。そういう欲求こそが普通なんだ。だから僕は彼にチャンスをあげた。あなたを殺せば、すべての罪を赦してやるとね。でも、どうやら命乞いをするだけでは『強く生きたい』という証明にはならないみたいだね。それはあくまで前提の一つに過ぎなかった」
言葉には熱がこもっていた。けれどそれはこの男に対してではなく、彼が口にする「生きること」に対してだった。
「つまり……彼は僕を殺すつもりだったんですか……父上……僕が死ねば彼が生けるってことだったんですか……」
「ある意味ではね。でも彼は『命乞い』が生きることの前提の一つに過ぎないことを証明してくれた。だから彼には、僕が優しくしてあげる価値があった」
少年は精神的な疲労を感じ、目の前に倒れている男を見て不快感を覚え、吐き気がした。
「……父上、休ませていただけますか……少し吐きそうで……」
父親は口元を押さえる少年を、不思議そうに見つめ、少し困惑した様子で言った。
「体が慣れないのか? それは困ったね。僕はあなたに、こういう場面を一人で乗り越える意志があると思っていたのに」
「でも……父上……僕はどうすれば……」
父親は微笑みながら少年を見つめ、幼い頬をそっとつまんだ。少し考えた後、答えた。
「とてもいい質問だね。うーん……まずは彼を“分割”してみたらどうかな」
少年は血溜まりに倒れている男を見た。やりたくなかった。手が出せなかった。自分が原因でこの男が生きられなくなったことに罪悪感を抱いていたのに、今度は父がその男を切り刻めと言う。
恐ろしかった。それでも少年は父の指示に従い、手足を切り離した。そして手足の皮を剥ごうとした。
その過程で少年は何度も吐いた。吐くものがなくなっても、ただ空えずきを繰り返すだけになった。
結局、皮膚を剥ぐことはできなかった。精神も肉体も、それを拒絶していた。皮を剥ぐ理由などどこにもなかった。
「どうしたの、シリバヴィ? どうして手を止めたの? 何かおかしいところでもあった?」
「もう続けられません……許してください……父上……本当に……手が動かなくて、怖いんです! 気持ち悪いんです!!!」
しかし父親は、自分の意思に背いた少年を、それでも微笑みながら見て、優しい声で言った。
「いいんだよ! これからまだまだチャンスはあるから。今日は本当によくやったよ。この男もね。いいんだよ。じゃあ、次の人に行こうか」
「……はい……父上……」




