見知らぬ血縁者⑶
「本当に驚くべきことに、まだ耐えてるなんて……」
ホブムは心の中でジョンを見直していた。傷を負っているというのに、ここまで粘り続けるなんて。左足の傷に加えて右手の傷、このハンデはすでに常軌を逸している。それに……。
カトは再び剣を握り直したジョンを見つめ、静かに言った。
「お前にも分かるだろう。あの、一見すると決意に満ちた瞳の奥に、無限の後悔が宿っていることを」
「違う。あの瞳が何だというんだ。大事なのは、彼の鎧の下の肉体が、ここまで持つはずがないってことだ」
厚ぼったい鎜甲の下、ジョンの体はとっくに限界を超えて透支していた。痩せ細った体は命も体力もとっくに使い果たし、ただ信念だけで戦い続けているに過ぎない。
「ジョン、もうお前が今から何をしようと無駄だ。お前には俺を倒すことなど、もはや不可能だ……」
「黙れ! お前の言葉は全部偽善の戯言だ! だがお前がそう言うほど、俺はますますお前を殺す決意が固まる!」
ジョンは足に走る激痛を堪え、再びヘンローに向かって走り出した。もうフェイントすらかけられない。ただ真正面から突進するしかない。
剣を振り回し、何度も何度もヘンローに斬りかかる。しかし全て受け止められる。
それでもヘンローは反撃しない。ただジョンの攻撃を延々と受け流すだけ。一振り一振りがヘンローの剣にしか当たらず、しかも先ほどまでの力はどこにもない、頼りない斬撃ばかり。
「あああああああ!!!」
ジョンは怒りを叫びながら、無力に剣を振り続ける。まだ終わらせたくない。この無力感を全部吐き出したい。ただひたすらに怒っているだけだ。
「ヘンロー、死ね!! なんで死なねえんだ!! ヘンサー!!!」
「たとえ俺を殺せたとしても、父さんまでは殺せない……」
「それが無理なら! せめてお前だけは片付ける!」
誰が見ても分かる。彼はただ逃げているだけだ。怒りを使って逃げている。心の奥に隠した後悔から。
誰も知らない、誰も理解できない。彼の精神は誰よりも壊れていて、もう誰にも救えないほどに砕け散っている。
「もういい!」
ヘンローはジョンの剣を弾き、ジョンの首めがけて突きを放った。極めて迅速に。
(ああ、死ぬのか。まあいい。これは最初から決まっていた結末だ。結局何も変えられなかった……)
ジョンが我に返った時、自分は死んでいなかった。ただ後ろに跳んで地面に倒れていただけだ。ヘンローの剣は彼に当たっていない。
「どういうことだ……俺は……」
ヘンローも困惑していた。ジョンは殺すつもりはなかった。首の前で止めるつもりだった。この距離ならジョンに避ける余裕はなく、剣は確実に喉に届くはずだった。なのに……。
「あれはすでに体に刻み込まれた強烈な回避反応だな」
ホブムはジョンを見ながら、少し哀れむような口調で言った。
「思考に根深く植えつけられた恐怖だ。しかしその反応は極限状態でしか出ない。極端な危険にさらされない限り表に出ない、ごく稀なケースだ。普通の人間にはありえない、極端な本能……まさかお前から見られるとは、驚いたよ」
「俺……どうして死ねないんだ。もう死ぬ覚悟はできてたのに、普通なら避けられなかったはずなのに……」
ジョンは自分の生存を喜ばなかった。涙を流し、果てしない苦悶の表情を浮かべる。彼は悟ったのだ。結局自分は「臆病者」から逃れられなかった。今は死ぬことすら許されないと。
「……俺は……憎いよ……ジョン・ランクチェス」
ジョンは独り言のようにつぶやいた。もう立ち上がって戦う資格すら残されていない。左足はさっきの極限回避で再び捻挫し、右手ももう剣を支えられない。
「くそっ!!!!!! ジョン・ランクチェス!! この臆病者!!」
だがホブムは感服したようにジョンに言った。
「いや、お前はもう臆病者じゃない。お前は戦ったんだ。あの極限反応は制御できない。人間が自分の心臓を止めるのを止められないのと同じだ」




