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食欲の錬金術師〜草しか食べれないエルフは禁断の錬金術に手をかける〜  作者: シュガースプーン。


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第40話 待ち遠しい晩御飯

 風呂から出たフォルテとレイアが部屋に戻ると、ヤコブが驚きに固まった。


「あら? その子、女性だったのですね」


 あっけらかんとした様子で話すケミーニアの言葉を聞いて、レイアはたまらず叫んだ。


「なんだよ!全員気づいてなかったのかよ!」


 レイアは孤児で栄養不足で発育が悪く、背も低ければ、体型も女性らしくない。


 本人は14歳だと言っているが、見た目10歳程度の子供のように見える。


 かろうじて、髪の長さが肩ほどまであるが、風呂に入るまでは帽子の中に髪をしまっていたし、フォルテとしては、孤児なのだから髪を切る金もないから伸びていても気にしていなかった。


 それに、ケミーニアよろしくエルフは性欲というものが薄い。

 寿命が長く早く子孫を残そうという気にならない為、ケミーニアとしては、フォルテが少女(こども)と風呂に入っていようと気にするような事ではなかった。


 フォルテとしては、前世の記憶がある為人並みに性欲はあるが、エルフである為に意識しなければ表に出る事は無いし、それよりも有り余る食欲の方にキャパが振り分けられている。


 唯一のヤコブが固まっているのはレイアが少女であった衝撃と、フォルテと一緒に風呂に入ってきたと言う事実に今後の事を考えているのだ。


 貴族では無いものの、成人前から料理人見習いとして貴族社会の中で生きてきたヤコブは、女性が裸体を晒すのは伴侶になる者で、結婚前に見た場合にはそれなりの責任を取らなければいけないというのが常識であった。


 身分の高い者なら生涯の面倒を見る事。低い者なら打首。


「ヤコブ、固まってないで早く汚れを落としてきなさい」


 ケミーニアの言葉に、ヤコブは、考える事をやめて頭を冷やす為にも「はい」とだけ返事をして風呂に向かっていった。


 唯一の常識人であったヤコブのいなくなった部屋では、レイアの事はおいておいて、ケミーニアがフォルテに話をしだした。


「フォルテ様、食事を期待していいと言っていましたがどんな物が出るでしょうか?」


「そうだな。今まで平民の食べ物は不味い串焼きしか食べた事がなかったから分からんが、自信があるようだったから楽しみだな」


 肉食エルフ2人は、レイアが女だった事実よりも夕食のメニューの方が気になるようである。


 2人の様子を見て、怒ることに馬鹿馬鹿しくなったのか、レイアはため息を吐いて2人に質問をした。


「なあ、それって、もしかして俺も食べれんのか?」


「当たり前だろう。お前は栄養が足りていないし沢山食べろ!美味いものを食う事は行きたいと思う活力にかわる」


「なあ、それってやっぱり昼のジャガイモより美味いのか?」


 晩御飯に興味を持ったレイアは、フォルテに色々と質問する中、ケミーニアはめざとく昼のジャガイモと言う単語に尖った耳をピクリと動かした。


「あれはただ蒸し焼きにしただけだ。ちゃんと調理したものには敵わない。ジャガイモも調理をすればもっと美味しくなるんだ」


「あれよりも!」


 レイアは想像ができずに言葉を失ってしまった。


 その後、ヤコブが部屋に戻って来て、ケミーニアは晩御飯が待ち遠しくなって、足早に風呂に入りに行った。


 戻って来るのは、子供が烏の行水と怒られる程に早かったが、しっかりと全身綺麗に洗ってきていたのであった。

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