表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
食欲の錬金術師〜草しか食べれないエルフは禁断の錬金術に手をかける〜  作者: シュガースプーン。


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

37/60

第37話 毒イモ

 フォルテ達は、旅をしてある街にやって来た。


 この街はケミーニアの視察の仕事がある為に寄ることになっていた街である。


 ケミーニアは歓迎を受けて領主に案内されていくが、フォルテ達は遠慮して街に繰り出すことにした。


 フォルテとヤコブを羨ましそうに見るケミーニアを尻目に、街を歩き、王都では出回らない食材やスパイスがないか歩いて回る事にした。


「うーん、やはりここはまだ王都と近いから目新しい物はないな」


「そうですね、それにこの街はあまり治安が良くなさそうです」


 ヤコブはフォルテに返事をしながらチラリと路地を見た。

 大通りからすぐ横の路地でさえ、スリやひったくりを狙う子供達が大通りを覗いている。


「まあ、たしかに……」


 フォルテは、同じように路地裏を覗いた所で路地の方へ歩いて行き、そこに居た子供の手を掴んだ。


 子供は驚いた様子だったが、すぐにフォルテを睨んで怒りだした。


「何すんだ!これは俺のだぞ!」


 子供が持っていたのはコロッケやピザでも使ったジャガイモであったが、子供の持っているそれは芽が出ているどころか生である。


「それをそのまま食べれば死ぬぞ?」


「死ぬのは分かってる。でも食べなけりゃひとは死ぬんだ。だから、食べて死ぬか食べずに死ぬかなら俺は食べる。食べて死ななかったやつもいるんだから俺はそっちに賭けんだよ!」


 フォルテは確かに王都とは違うとため息を吐いた。

 王都ではここまで切羽詰まった者はいなかった。

 買い出しの為に街は歩き回ったが、王都では孤児は教会がきちんと面倒を見ていた。


「それを絶対に死なずに食べられる方法を教えてやる。お前、ここいらの子供は仲間か?」


「そうだよ。最近は警備が厳しくなって盗むこともできない。捨てられた毒イモを食ってでも生きるしかないんだ」


「だから安全な食べ方を教えてやると言っているだろう。その今はな、国王も美味しいと言って食うんだぞ?」


 フォルテの言葉に、子供は目をパチクリとした後に疑いの目でフォルテを見た。


「本当かよ?」


「だから死ぬのをちょっと先延ばしにして俺の言う事を聞いてみろ。そしたら腹一杯食えるぞ?」


「わ、分かった。でも、コイツらも……」


 子供は自分だけなのかと聞くように周りの子供達を見た。

 その様子を見てフォルテはニヤリと笑った。


「全員まとめてだ。その代わり、盗むのはもうやめにしろ。そしてお前がリーダーだ。他の子供達のまとめ役になれ」


 フォルテの言葉を聞いていた周りの子供達が、本当に腹一杯食えるのかと聞いてくるので、フォルテは大きく頷いた。


「だから、約束を守るんだぞ?」


「「「「「「わかった!」」」」」」


 この路地に居るのは子供ばかりだ。多分口減しの為に捨てられた子供なんだろう。


 盗むのも生きる為。そんな子供ばかりである。

 治安は悪いが悪い大人がいないのが救いであった。


「お前の名前は?」


「俺の名前はレイアだ。嘘ついたら全員でボコボコにしてやるからな!」


「よし、そうと決まればその毒イモをありったけ集めてこい後は、空き地が必要だな。ヤコブ、ひとっ走りして領主に空き地を貰ってこい。ケミーニアに理由を説明すればなんとかなるだろう」


「分かりました!」


 今までの話を聞いていたヤコブは笑顔で領主館まで走った。


 子供達も捨てられた毒イモ(ジャガイモ)を撮りに行った。


 そしてフォルテは、逃げ出さないようにとレイアに見張られて、準備が整うのを待つのであった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ