第一話 かすまの愚痴
俺の名前はかすま。探偵業をやっている。みんなは俺のことをへっぽこ探偵と言っているが、俺は自分を名探偵だと規定している。
今日依頼人が訪ねてきた。若い女だ。
「すいません。探偵の看板を見て来たのですが、今大丈夫でしょうか?」
「どうぞ。そこへお掛けください。」
女はソファに腰をかけた。結構無防備な女だ。俺は目のやり場に困った。
「ここへはどういったご用件で?」
俺は訪ねた。
「実は主人が先月から行方不明で、どこに行ったのか調査して欲しいんです。」
なんだ、こぶつきかよ。俺は少しというかかなりがっかりした。こんな美人なら彼氏や旦那がいてもおかしくないな、と俺は何故かいきなり現実を見だした。
「わかりました。引き受けましょう。あなたとご主人のお名前を教えていただけますか?」
「はい、私は大島麻耶といい、主人は大島白馬といいます。」
俺は捜索依頼をこなすため、まやさんにご主人のことについて質問した。
「ご主人はいつもよくどこへお出かけになるんですか?」
女は一瞬で答えてきた。
「主人はよくスノーボードをしに行っているんです。家からスノーボードがなくなっていたのでどこかのスキー場にいると思うのですが、一ヶ月も帰ってこないので心配なんです。」
チッ、そこまでわかってるんだったらどこのスキー場にいるかくらい調べとけよこのクソアマが!と俺は人間にあるまじきことを考えていた。しかし、俺はそれがわかっているならわざわざ探偵を訪ねてこないかと考えを改め直した。
「ご主人とよく出掛けていたスキー場はどこか覚えていますか?」
「はい、京都のaとbスキー場ですね。」
ここから京都かよ。ここは三重なんだから大人しく地元で滑っとけよ。探すのだりいなー、と考えていることは口が裂けても言えない。
「わかりました。行ってみましょう。どっちこら行きます?」
女は答えた
「はい、aの方に行きたいと思います。」
俺たちは今車で京都のスキー場へ向かっている。かなり美人で目のやり場に困る女と二人きりでドライブできるなんて最高だなぁ〜、と俺は思いながら車を運転している。しかし、俺は一つ疑問があったため質問してみた。
「大島さんはスノーボードが家から無くなってたからスキー場にあると予想していましたよね?」
「はい」
「それなら、なぜ自分で探しにいかず探偵事務所を利用したのですか?」
女は黙っている。
「もしかして、免許を持っていないとか?」
女は答えた。
「はい、そうなんですよー。電車で行くにしても遠くて、乗り換えなどにも疎くて」
俺は答えた。
「確かに!わかります。」
結局、俺はスキー場に行くための手段として使われたということかよ。くそが、と普通の人なら思うだろう。だが、この女は探偵事務所へ来た時に車を運転して来ていた。なぜ、この女は免許がないといったうそをついたのか?これはなにかある、と俺は考えた。そろそろ京都のスキー場に到着する。
「このスキー場にご主人がいるといいですね。」
「はい、はやく会いたいです。」
しかし、この時の俺はまだ気づいていなかった。このスキー場でなにがおこるのかを。