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第50話 やらかした

 竜馬(ドレイクホース)に乗った恒達が先に行ったホスの元へと近付くとホスはまだ竜馬(ドレイクホース)に跨がったままだった。


「ホスさん、まだ離れがたいんだな……」

「おい! 黙って見とらんで早く下ろしてくれ!」

「へ?」

「何をしている! 早く!」

「あ、はい……」


 恒はホスが竜馬(ドレイクホース)にしがみ付き感傷に浸っているのかと思っていたが、どうやら単に竜馬(ドレイクホース)から下りることが出来ずにいただけのようだった。


 恒は小夜をそのままに自分だけ竜馬(ドレイクホース)から下りると、ホスを乗せている竜馬(ドレイクホース)に近付き、声を掛ける。


「お兄ちゃん、ホスさんを下ろしたいから少し屈んで貰えるかな」

『分かった……』

「よいしょっと……」


 竜馬(ドレイクホース)が両前足をゆっくりと折りたたむように屈むと、恒はホスの両脇に手を差し入れて抱えるようにして下ろす。


「ほぅ助かったわ、ありがとうな。お前もありがとうな……大事にしてもらえよ」

『うん!』

「そうかそうか、うんうん……さて、では馬車に繋ぐが大人しくしといてくれよ」

『分かった』


 ホスには『ヒヒン』としか聞こえていないハズなのに何故か会話が成立しているようで恒はそんなホスと竜馬(ドレイクホース)の様子をジッと見ていた。


 ホスは竜馬(ドレイクホース)を馬車に繋ぎ終わると,恒達に向かって「終わったぞ」と声を掛ける。


「ありがとうございます。ホスさんにはホントにお世話になりました」

「なんのなんの、こちらこそだ。この子達を引き取ってくれて本当にありがとうな……」


 ホスは恒にお礼を言うが、ホスの目尻から一筋光るものに恒は気付く。


「さ、別れは尽きないが、いつまでも惜しんでいる訳にもいかん。これから冒険者ギルドに寄ってこの子達の従魔登録を済ませてくるんだ」

「あ~やっぱり必要ですよね」

「当たり前じゃ」

「そうですか……では、ホスさんにお願いがあります」

「ん? お願いとは?」

「はい。この子達の名付けをお願いします」

「……どうしてワシに頼む? この達はお前のものとなった。ならば、お前が付けるのが筋だろう」

「はい。ですが、名付けとなると俺はこの子達に今日会ったばかりなので、どんな性格かも分からないので、どんな名前が相応しいのかも分からないのです」

「だが……」

「おじいちゃん、恒に任せたらダメよ!」

「そうよ、おじいちゃんが考えてあげて!」

「そうじゃな。恒に任せると『ウマオ一号』とかになるかもしれぬぞ」

「そうだな。恒のセンスはちょっとアレだからな」

「ホスじいちゃん、なまえはおやからのさいしょのおくりものなんだよ」


 恒はホスに竜馬(ドレイクホース)達の名付けを頼むとお願いするとホスはそれは恒の役目だと遠慮するが、恒の後ろから由香、久美、小夜、明良、ミリーと恒に対し辛辣な意見を言ってくる。


「そうか、親か……」

「そうですよ。ホスさんはこの子達の親でもあるんですから」

『そうだな。俺もじいさんに付けて欲しい』

『『俺も!』』

「この子達もホスさんに付けて欲しいと言ってますし、お願いします」

「「「『『『お願いします!』』』」」」


 恒がホスに対しお願いしますと頭を下げるとその後ろにいた由香達どころか、竜馬(ドレイクホース)も一緒になってホスに対し頭を下げる。


 ホスはそんな様子に涙が滲んでしまうが、先程のミリーが言った『親からの贈り物』が胸に染みる。


「そうじゃな、ワシはこの子達の親になると決めて森から連れて来たんじゃ。いつかは巣立つと思い名前を付けずにいたが……そうか、お前達もワシを親というてくれるか」

『当たり前だ!』

『『じいちゃんはずっと親だよ!』』

「そうかそうか……ならば、立派な名前を付けんとな」


 ホスはそう言うと腕を組み、両目を閉じる。


 恒達もホスの様子を固唾を呑んで見守る。やがてホスは両目をカッと見開くと、馬車に繋がれた竜馬(ドレイクホース)の前に行く。


 ホスが竜馬(ドレイクホース)の鼻先を触りながら、「お前の名前は『ドラゴ』……ずっとお前に合うと思い暖めていた名前だ。どうだ?」

「ドラゴか……うん、いいんじゃない!」


 よかったねと恒がドラゴと名付けられた竜馬(ドレイクホース)を撫でる。


『ドラゴ……俺の名前はドラゴだ!』


『ドラゴ』と名付けられた竜馬(ドレイクホース)のお兄ちゃんが自分の名前を呟くと恒は自分の体から何かが吸われる感触があり、その後、ドラゴの体がまばゆく光る。


『うわぁ~やっちゃったね』

『え? ミモネ、どういうこと?』

『ワタル、自分のステータス見てみなよ』

『ステータス? え……どうして』


 恒が自身のステータスを確認すると、そこには『竜馬(ドレイクホース)』ではなく『魔竜馬マジカル・ドレイクホース』となっていた。


「どうしたの、恒?」

「まさか、またやっちゃった?」

「その様子からだとそうみたいだな」

「ふむ、妾の時と同じか」

「なにがあったの? ミリーわかんない」


 恒が何かしでかしたと決めつけてくる由香達に一瞬ムッとするが、仕出かしたことは事実なので「後で話すから」とその場を濁し、ホスに付き添う形で他の竜馬(ドレイクホース)達に近付く。


「お前は『ドラジ』、お前は『ドラザ』」と名付ける度に恒がそれに追随する形でそれぞれに名前を告げる度に恒から何かが吸われ、竜馬(ドレイクホース)達の体が光る。


「これって公表出来ないよね」

『うん、ちゃんと隠してね』

「だよな~」


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