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第19話 そんな理由で……

 風呂上がりの由香が女将の話を遮ったことで明良がホッとした顔になる。

 女将がお風呂に行ったのを見送る恒が「しまった」という顔になる。

「どうした? 恒」

「どうしたじゃなくて、ミリーを預かってもらう予定だったのに、どうする?」

「それは……大丈夫じゃないか?」

「え?」

「ほら!」

 明良がそう言ってミリーを一瞥するとドリーに抱かれたままの状態でいつの間にか寝ていた。

「な? だから、このままドリーの部屋で寝かせてから、俺達の部屋で話せばいいじゃん」

「だね。由香達もそれでいい?」

「それでいいけど、誰かドライヤー……って、あるわけないよね」

「あるよ」

「え? あるの?」

「まあ、ここじゃなんだから、俺達の部屋に行こうか」

「「うん」」

「じゃあ、ワシはミリーを寝かせたらお邪魔するよ」

「わかった」

 ドリーはミリーを起こさないように注意しながら、ゆっくりと歩き、恒達も出来るだけ静かにその後を着いていく。


 明良がドリーの部屋の扉を開けるとドリーは明良に軽く頭を下げてから部屋に入る。

「じゃあ、俺達の部屋がここだから。さあ、入って」

「「お邪魔しま~す。って、ほとんど一緒だね」

「ホントだね」

「それより、ドライヤーが欲しいんでしょ。そこのベッドに腰掛けて。で、どっちからする?」

 恒に言われ、ベッドに腰掛ける二人だが、恒の()()()()()にお互いが牽制し合う。

 先にして欲しいと思う気持ちもあるが、先にされてしまえば、後に控えるもう一人の為に早く終わらせなきゃと思ってしまうし、後の方はそんな気を使わなくていいから、ゆっくりしてもらえるハズだと互いにそんなことを考えているため、由香も久美もどうぞどうぞと譲り合っている状態だ。

 すると恒がにっこりと微笑み二人に言う。

「そんなに譲り合わなくても大丈夫だから」

「「え?」」

「俺も出来るから。ほら? どっちがして欲しいんだ?」

「「え~」」

「じゃあ、久美が明良で。私は恒にやってもらうから」

「由香。それはちょっと酷いんじゃない?」

 そんな二人の言い合いに明良は不満が顔に出てしまい、少しイラついてしまうが、それならと恒が提案する。

「じゃあ、俺が久美の髪を乾かすから、明良は由香をお願いね」

「おう、任せとけ!」

「やった!」

「え? ちょっと。なんで?」

 由香が恒の提案に不満を口にするが、恒をそれを遮り、由香に説明する。

「今、俺の前に久美が座っていて、由香の前には明良が立っている。なら、この組み合わせが面倒もなくていいでしょ。はい、これで決まり。もう、文句は受け付けません!」

「ん~」

 恒はそう言い切ると、話はこれで終わりと久美の髪を手に取り乾かし始める。

「もう!」

「そうプンプン怒るなよ。なんなら、次は恒にしてもらえばいいじゃないか」

「あ! それもそうね。明良のクセにいいこと言うじゃない」

「一言余計だな」


 そうやって二人の髪が乾くと由香と久美は恒と明良にお礼を言う。

「じゃあ、今度は恒が私の髪を乾かしてね」

「あ、それなら大丈夫。はい。『貼付(ペースト)』」

「「え?」」

 恒が二人の手を握ると『ドライヤー』の魔法を貼り付ける。


「恒。何したの?」

「もう、使い方は分かったでしょ。二人には『ドライヤー』の魔法を貼り付けたから、今度からは好きに使いなよ」

「あ~」

 明良が嘆息し、そんな明良を由香が睨み付ける。

「話が違う!」

「俺だって、そこまでは予測出来ないよ!」

「じゃあ、明良のはどうやって手に入れたのよ!」

「そりゃ、お前。今みたいに恒が……」

「やっぱり! なら、明良はこうなることを知っていたんじゃないの!」

「いや、だけど……」

「もういい! 明良のバカ!」

「おい! ミリーが起きてしまう。もう少し静かにしてくれ」

 ドリーがそう言いながら部屋へと入ってくると、当事者の明良と由香がドリーに謝る。

「「ごめん(なさい)」」

「まあ、いいが。壁は薄いってことは忘れるなよ」

「は~い」

「で、話ってのはなんだ? ミモネ」

 ドリーに言われ、ミモネが姿を現す。

『話す前にワタル、ちょっと結界をお願い』

「ああ、分かった」

 ミモネに頼まれ、恒は部屋の範囲で『遮音結界』を張るとミモネは恒に礼を言うと話し始める。

『あのね、話って言うのはミリーのことなの』

「なんで? ミリーなら、ドリーの子供じゃないってことで話は着いたでしょ?」

「由香。まだミモネが話し始めたばかりだ。黙って聞いてて」

 由香は恒に注意されると、少し不貞腐れたように返事をする。

「わ、分かったわよ」

『じゃ、続きね。ミリーの父親はドリーじゃなくってモリーって言うの。で、このモリーって言うのが南半球を管理している最古龍の白竜なの』

「「「「「え?」」」」」

 ミモネからミリーの父親の名前は聞いていたが、まさかドリーと同じ最古龍だったと言われ、恒達は驚いてしまう。それはドリーも同じだったようだ。そして、恒はその話の出所には一応、心当たりはあるが念の為にとミモネに確認する。

「ミモネ、その話は誰から……って、あの女神か」

『うん、そうなの』

「それで、そのミリーの父親のモリーがどう関わってくるんだ?」

『ミリーはドリーの娘だって言われてきたのは知っているでしょ。それで今まではドリーは、もう少ししたら死んでいるハズだったの』

「うっ……もう違った未来が待っていると知っていても、『死ぬ』と言われるのは慣れないな」

 ミモネの口から『死んでいるハズだった』と言われドリーは少し落ち込む。だけど、そんなドリーを誰も気遣うことなくミモネに話の続きを促す。

『でね、問題はドリーが死んだあとの崩壊の理由がね、ミリーなの』

「「「「「はぁ?」」」」」

 ここでミリーが出てくるのかと恒達は、まだあの小さなミリーがどう関わってくるのかと驚く。

『だからね、ドリーっていう最古龍が死んだこと。討ち取ったことをあの国が世界中に触れ回るの。そして、ミリーが自分の父親がそのドリーだってことを教えられるの。そこでミリーは自分が龍の血を引いていることを確信して覚醒しちゃうの。そして、あの国を滅ぼすんだけど、ミリーはモリーが父親だったことを知っちゃうの。それでミリーとモリーが争い始めて、その結果……』

「壊滅って訳か……」

「あの国が滅ぶのは勝手だけど、親子喧嘩のついでに世界が滅ばされるの?」

 ミモネの言葉を恒が引き取り、由香が呆れてしまう。


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