ドロップ・アイテム
「じゃん、けん、ぽん!」
あいこが、2回。それから、美香が手をかえて。
3回目のあいこの後に、グーで、さつきが勝った。
「やったあ!」
ちいさく叫んで、航の手から、黒い立方体を受け取る。てきとうに選んだ1面を上に見立てて、ぐっと拳を押しつける。
ずぷりと、拳が立方体のなかに入っていく。
「これ気持ち悪いんだよねえ、」
軽口をたたきながら、中に入っているなにかを、指先でつまんで一気に引っ張り出す。
しゅるりと、布のこすれるような音がして、……不定形の流体が、立方体の上面から飛び出して、さつきにからみついていった。
ふわり、と光が散って、
次の瞬間には、さつきの服装は、がらりと変わっている。
「うえ、」
さっきまで着ていた服は、いつのまにか足下に落ちている。
右足の先で、ごちゃっと引き寄せて拾いあげる。下着が中にくるように、くるっと丸めて。
「いつもながら、どうなってんだろ。その……変身バンク?」
「知らーん」
さつきは、ちょっと嫌そうに首を振って、丸めた服の一式を、鞄に詰めた。
「それ、置いてけば? 荷物になるじゃん」
航がいうと、さつきは嫌そうに眉をしかめた。
「ワタル、それはないでしょ……」
「うん、ないよ」
「えぇ……」
ほかの二人に言われて、航は目をふせて、口をつぐんだ。
「……で、どう? その防具」
「防具っていうか……、」
良二に聞かれて、さつきは少し口ごもる。
白と青の、丈の短いワンピース。それから、肩からふわりと膝まで伸びた、灰色のマント。きつめに締まった細いベルトには、小さな宝石片が。
全体的に、前の服装よりも、ぎらぎらして、派手。動きやすそうではある。
「……防御力、なさそう」
「意味あんのか、それ?」
「いや、……魔力の通りが、よくなったような」
さつきは軽く杖をふってみせた。
「いいじゃん、かわいいし。あたしも、そういうのが良かったなぁ」
美香が、小さくつぶやく。
「やぁだ。露出度上がっちゃったし。脚見えてるでしょ、これ」
「つっても、制服のときと大して変わらんでしょ。スカートは」
「そう言われれば、まぁ……」
床に置いたかんてらの光で、照らされた青いスカートの柄をみて、……ま、いいか、とつぶやく。
ともかく、……魔力の通りはよさそうだ。それでいい。




