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【完結】毒針クリティカル  作者: ふぁち
第三章『学園編』
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092 金属スライム

 暗闇の中、蠢くクリティカルポイントが数体ある。

 不定形なそれに該当する生物は記憶に無いけど……、


「アメーバ……いや、スライムかな?」


 たぶんどこかのダンジョンに飛ばされたんだろうと思う。

 石の中じゃなかっただけ良しとしよう。

 魔導具を設計した人がセーフティとして石の中に飛ばないようにしておいてくれたのかな?

 設計者に感謝!

 そして金髪リーゼントに憤怒!

 コーヒー(エイリアン形毒)を越える禍々しい何かを用意しちゃるっ!!


 ……と、蠢くものが急激に加速した。

 速いっ!?

 辛うじて躱したけど、次々に加速して襲ってくる。

 面倒なので魔法で迎撃してみるが、当たっても効いている感じがしない。

 魔法無効化するタイプ?

 正体を探る為に発光素子(毒)を生成して辺りを照らすと、妙にテカテカした金属的な軟体生物がいた。

 某RPGの金属系のスライムにそっくりじゃん。

 あれ?こいつに有効な武器ってたしか毒針的なやつじゃ無かった?

 つまり私のスキルと相性抜群——ここはボーナスステージだったのか!

 なんだよ金髪リーゼント、ホントにお礼だったのかぁ。

 疑ってごめんよ。

 地獄が何とかって言ってた気もするけど、たぶん気のせいだね。


 光量を増して辺りを照らしてみると、見える範囲だけでも10匹は居る。

 スライムはコアを破壊すれば倒せるんだっけ?

 このスライムは表面が金属質だから、半透明のスライムと違ってコアが直接は見えないけど、クリティカルポイントが視える私には関係無い。

 ただし、私が仕込んでる針は縫い針程度の小さな針だけだから、そのままじゃコアまで届かない。

 某RPGのイメージ画では毒針ってアイスピックみたいなサイズ感だったから、あれを再現しないといけないのか。

 私は針の先に白銀鉱(毒)を生成して、アイスピック状に形成する。

 金属スライムのコア目がけて突き刺したら、ポキリと白銀鉱が折れてしまった。

 強度が足りなかった?

 このスライム、意外と固いなぁ……。

 それなら魔力を多めに込めたファンタジー高硬度金属(毒)でどうよ?

 新たに生成したアイスピック形毒針で再度突き刺したら、今度は確実にコアを貫いて、スライムは溶けるように地面に吸い込まれていった。


「これなら行けそうかな?でも、こいつら動きが速いなぁ……」


 スライムのような軟体だと動きが鈍いイメージがあったけど、このスライム達は体を伸縮させて反動を利用して高速で飛んでくる。

 追いつけない速度じゃないけど、はっきり言って面倒。

 そもそも、目が無いのにどうやってこっちの位置を感知してるんだろう?

 暗闇の中でも正確にこっちを狙っていたんだけど、空気の流れ?臭い?

 消臭薬(毒)を生成して自分の周りに漂わせてみたけど、効果は無いようで普通に襲ってきた。

 次に、生成した空気(毒)で空気の流れを変えたり、石を投げて遠くで音を出しても意味は無かった。

 ……とするとアレかな?

 今度は、ジャミング魔素(毒)を生成して体の周囲に纏うと、急に金属スライムの動きが鈍って明らかに標的を見失った。

 なるほど、魔力で感知してたのね。

 金属系だから物理っぽいけど、どっちかと言うと魔法タイプのスライムなのかも知れない。

 動きが鈍くなったら、色が違うただのスライムだ。

 私は高硬度金属(毒)の針で、動かなくなった金属スライムのコアをプスプスと突き刺していった。


 プスプスプスプス……。

 なんだろうこのダンジョン、めっちゃ楽過ぎて飽きてくる。

 経験値はいっぱい入ってる……のかな?よく分からん。

 そう思って1時間程経過した時、ある重大な事に気付いた。


「ここ、ひょっとして金属スライムしかいないの?……ってことは、食料が無いじゃん!」


 やばいね。

 栄養ドリンク(毒)が生成できるから数日は持つと思うけど、なるべく早く脱出したい。

 まぁ、半分ヴァンパイアだから血(毒)を生成できれば、飢える心配は無いのかな?

 なんにせよ、前にダンジョンに飛ばされた時と違って、今は早く帰らないと心配する人もいる。

 なのでダウジング(毒)を生成して、早々に出口を探す事にした。

 プスプスと金属スライムを刺しながら進んでいく。

 プスプスプスプス……。

 しばらくダウジングの指す方向へと進んで行くと、階段を見つけた……下に降りる階段だけど。

 こら、ダウジング……ちゃんと出口に向かってるんでしょうね?




☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆




 レオナは、どこかフワフワとした夢うつつな気分のまま学園の門を出たところで、知っている顔がいる事に気付いた。


「貴方は確かアイナ様のところに居た……」

「ん?あぁ、お嬢にコテンパンにやられた奴か」

「……まぁ否定はしませんけど」


 貴族相手でも歯に衣着せぬ言い方に、若干顔を顰めてしまう。

 しかし、今はそんな事よりもおかしな事があるので、ひとまず飲み込んだ。


「ここで何をしているんですか?」

「お嬢を待ってるんだよ、一応護衛だからな」

「アイナ様に護衛とか要るんですか?」

「あぁ、それは俺も思ってる。お嬢の方が俺より強ぇしな」

「はぁ……。でも、アイナ様は私より先に帰りましたけど?」

「マジか?でも出て来てないから、まだ学園内にいるんだろ」


 レオナはふいに嫌な予感に襲われた。


「何かあったのでは……?」

「いや、それは無いだろ。この学園に出入りしてる奴でお嬢より強い奴なんて、護衛含めても見たことねーし」

「……私ちょっと見て来ますね」


 レオナが学園内に戻って探したが、どれだけ探してもアイナの姿を見つける事は出来なかった。

この物語はファンタジーです。

実在するコーヒー及び発光素子及び白銀鉱及び高硬度金属及び消臭薬及び空気及びジャミング魔素及び栄養ドリンク及び血及びダウジングとは一切関係ありません。

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