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【完結】毒針クリティカル  作者: ふぁち
第三章『学園編』
89/258

089 圧倒

 風切り音と共に鋭い突きが飛んでくる。

 でも、クリティカルポイントで動作は予測できちゃうので、首を軽く捻って躱す。

 ねぇ、今顔面狙って無かった?

 容赦無い人だなぁ……。

 煽り過ぎたかな?


「ちっ!」


 舌打ちして顔を顰めるレオナさんは、次に連撃を放つようだ。

 右に避けて、左に避けて、くるっと回って、


「ワン」

「ふざけているのかっ!?」


 じゃあそろそろ真面目にやりますか。

 初手は隙だらけの左脇にミドルキック。

 おっと、辛うじて防いだね。

 次はそれを防いだ事で意識が逸れた右脇へ、空中で体を捻ってジャンピングキック。


「ぐっ!」


 見事にヒット。

 だけど両足が宙に浮いてしまったところに、レオナさんの剣が振り下ろされる。

 左足に力を込めて、レオナさんの体を蹴りながら体を捻ってそれを躱す。

 そのまま回転の勢いを利用して拳を突き出し、右肩のクリティカルポイントを殴る。

 右腕を一瞬使えなくして、次は空中で一回転して、左腕のクリティカルポイントに刺突。

 着地後、左足、右足と順に蹴り、全部使えなくしたところで、顎のクリティカルポイントを擦るように拳で打ち抜く。

 脳が揺らされて、更に足に力が入らない事で、レオナさんはその場に尻餅を突いた。


「うわぁ、えげつねぇ」

「スキルや魔法どころか、気も魔力も使っておらんのぉ」

「技だけで倒してしまいましたね」

「アイナお姉ちゃん凄いっ!!」


 ギャラリー受けもいいし、まずまずかな?

 ちなみにスキルは使ってないようで、クリティカルポイントを視てるから厳密に言えば使ってる。

 でもパッシブな能力だからオフに出来ないし、いいよね?

 まぁそれだけで充分チートなんだけど。

 通常、反射神経と呼ばれるものの速度は良くて0.2秒程度。

 0.1秒で反応できる人がいたらトップアスリートになれると言われている。

 ところが私の場合、直接脳内にクリティカルポイントの動きが描かれるので、反射神経速度は0.01秒未満なのである。

 更に流路が見える事で、どこに力を入れているかも視えるので、未来の動きも予測しやすい。

 私の反応速度を越えるには、それこそレイアさんの『閃紅』ぐらいの速度が必要なのだ。

 ……って、あれ?

 そっか、レオナさんってどっかで見た事あると思ったら、『閃紅姫』レイアさんに似てるのか。


「くっ、いい気になるなっ!私がスキルを使ったらお前なんかにっ!!」

「どうぞどうぞ。存分に使ってください」

「舐めるなぁっ!!」


 レオナさん、煽り耐性低すぎ。

 外見は似てるけど、性格はけっこう違うみたいで怒りっぽいなぁ。

 いや、レイアさんも割と怒りっぽかったようね気もするけど……、まぁあれはジっちゃんが悪いんだし。

 今レオナさんが怒ってるのは私が悪いのか?

 そもそも先に煽ってきたの、レオナさんじゃん。


 生まれたての子鹿のようにプルプルと立ち上がったレオナさんは、左手に剣を持ち替えて、右手に魔力を込めだした。

 魔力が魔法陣に変換されて炎系魔法が発動されると、私に向かって炎の塊が飛んで来る。

 魔法の規模が小さすぎて、歩法だけで簡単に避けれるし。

 そこへ身を屈めながらレオナさんが迫る。


「三連突っ!!」


 ほぼ同時に3つの斬撃が私を襲う。

 それを順番に避けていくと、レオナさんの目が驚愕に見開かれた。


「ば、ばかなっ……」


 魔法と剣の両方で攻撃するスタイルなんだろうけど、別々に使ってたら避けられるに決まってるでしょうに。

 3つの斬撃も普通なら同時に見えるんだろうけど、私にとってはスローモーションで順番に飛んで来てるだけだし。

 私は、もう一度レオナさんの顎のクリティカルポイントを打ち抜いて、脳を揺らしてあげた。

 クラリと柳のように揺れて、再び尻餅をついてその場に崩れ落ちた。


「勝負有りでいいかな?」


 茫然自失としているレオナさんにではなく、後ろで見ていたキャサリン姉と王女に確認を取る。


「そうね。圧倒的にアイナちゃんの勝ちよ」

「目の前の光景が信じられませんが、私もアイナさんの勝ちでいいと思います」


 2人のジャッジにより、私の勝利が確定した。

 さて、牡丹鍋を食べますか。

 王女達も食べてくつもりなのかな?

 姿を消してる護衛の人達はどうするんだろう?

 可哀想だけど、隠れてるって事は居ないものとして扱った方がいいんだろうね。

 護衛の人の方に哀れみの視線を送ると、またビクリと流路が乱れた。

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