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【完結】毒針クリティカル  作者: ふぁち
第三章『学園編』
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086 Fクラス

 レントちゃんの様子を見に戻ると、鼻が折れているらしく出血がかなり酷かった。

 たぶん呼吸も相当苦しいだろう。

 直ぐに魔力多めの治療薬(毒)を鼻に注入してあげると、レントちゃんの顔が輝き、瞬時に鼻が元に戻った。

 ついでに浄化液(毒)で血糊も消してあげた。

 ふふふ、ルミノール反応すら出さない特別製の毒なので、証拠は完全に隠滅できるのだよ。


「ふぁっ!?あれ?私、鼻血が出てたはずなのに……?」

「大丈夫?」

「あ、アイナさん?うわ、なんでこんな事に……」


 リーゼント達が白目を剥いて気絶してるのを見て、レントちゃんが若干引いている。

 私的にはまだ全然やり足りないのに。


「リーゼルト様は公爵家のご子息ですよ?こんな事して大丈夫ですか……?」

「あぁ、大丈夫だと思うよ。私にはこの国の王女って言う後ろ盾があるから」


 王女は何かあったら自分の名前を出していいと言ってたし、こんな時こそ印籠だよね。


「リーゼルト様は王女殿下の婚約者候補なのですが……」


 ……マジか?そんな引きあるぅ?

 キャサリン姉に怒られる要因が増えちゃったじゃないの……。

 まぁ候補なら平気かな?


 とりあえず、こっちも証拠隠滅しておくか。

 私は金髪リーゼントの足も、不本意ながら治療薬(毒)を注入して治してやった。

 ケガを負わせたという事実が無ければ、相手も何も言えまい。

 何か言ってきたら次はコーヒーミルク(エイリアン形毒)だけどね。


「さて、じゃあ今度こそFクラスに行こうか。大丈夫、レントちゃんがいじめられてたら私が守ってあげるから」

「いえ、別にいじめられてる訳じゃないんですけど……」

「ん?いじめられてるんじゃないの?じゃあ、何でトイレで泣いてたの?」

「そ、それは、訓練がキツくて……。逃げ出したいけど、両親が無理してお金を出して入学させてくれたから。少しでも頑張らないとと思ってるんですが、時々どうしても辛い時はトイレに逃げ込んでました……」


 あぁ、そゆことか。

 それだと私が口出す問題じゃないよねぇ。

 頑張って耐えて貰わないと。


「とりあえず、私は今日のうちにFクラスに挨拶に行かなきゃいけないから、今度はちゃんと案内してね」

「ひっ!は、はいっ!ご案内しますっ!!」


 にっこり微笑んだのに、レントちゃんは盛大に顔を引き攣らせた。

 解せぬ。


 ようやく校舎裏にたどり着き、割と傾斜の急な山を登って行った。

 木々は生い茂ってるのに、足下の茂みは少なくて意外と歩きやすい。

 訓練に使われてて、人が踏みならしてるからかも知れない。

 暫く登ると、小さめの山小屋みたいな物が見えたけど、そこには今は誰もいないようだった。

 更に歩いて登って行くと、数人の人が倒れているのが見えてくる。

 何があったの?

 そしてその中で只一人佇む、キャサリン姉並の筋肉ムキムキな男。

 頭は完全なスキンヘッドで、肌は日に焼けて浅黒く、サングラスとタンクトップという、どこかの軍でブートキャンプとかしてそうな風貌である。

 ひょっとしてこの人がFクラスの先生なのかな?


「くおらぁっ!!レント二等兵っ!!どこへ行っていたぁっ!?」

「ひいっ!ごめんなさい、トイレに行ってましたぁっ!」

「トイレなら良しっ!!」


 いいんかい。

 まぁ生理現象だし、しょうが無いよね。


「貴様は何だっ!?」

「はいっ!自分は今日からFクラスに所属する者です!名前はアイナですっ!」


 思わず敬礼で応えてしまった。


「よし、アイナ二等兵っ!これから行軍訓練を開始するっ!即時参加せよっ!」


 え?今日は挨拶だけって聞いてたのに、参加しなきゃなの?

 九曜を待たせてるから、早めに帰りたかったんだけど……。

 でも、初日から教官殿に異を唱えるのは良くないだろうし、とりえあず合わせとこう。


「サー、イエッサー!!」

「うむ!!良い返事だっ!!」


 茶番だと言う事は分かってるから、そんなジト目でみないでよレントちゃん。


「はぁはぁ……なんだあいつは?新人か?」

「はぁはぁ……あんな弱そうな奴がヴェリー軍曹の訓練に付いて来れるもんかよ」


 地面で死屍累々と化している生徒らしき人達が何か言ってる。

 軍曹という事は、教官じゃなくて上官だったようだ。

 ……っていうか、Fクラスって軍隊なの?

 でも、他のクラスの人と顔合わせる事無さそうだし、これはこれでいいのかも知れないね。

この物語はファンタジーです。

実在する治療薬及び浄化液及びコーヒーミルクとは一切関係ありません。

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