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【完結】毒針クリティカル  作者: ふぁち
第三章『学園編』
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083 ホラー?

 数日後、学園に入学試験の結果が張り出されるというので、再び登校する。

 まぁ、不合格は無いんだし、どのクラスか見に行くだけだけど。


 受験時にいた人達もみんな見に来ているようだ。

 一番上のAクラスから順に名前が書かれている。

 ……あれ?Aクラスに私の名前が無い?

 まさかの九曜の言ったフラグ回収しちゃったの?

 つまり、この学園には私より強い人が結構いるという事か……オラ、ワクワクしてきたぞっ!

 実技試験してないから、てっきり王女が忖度してくれてたのかと思ったけど、そんな事は無かったみたいだ。

 クラス離れちゃったけど、護衛大丈夫かな?

 でもBクラスなら隣だし、なんとかなるでしょ……と思ったら、Bクラスにも名前無いんですけど?

 あれれ〜おっかしいぞ〜?


「なぁ、お嬢の名前、一番下に書いてあるんだけど」


 九曜がそう言うので下の方へ視線を移すと、あったよFクラス。


「私ってやっぱりかなり弱いんだね……」

「んな訳あるかよ。実技試験やらなかったから、実力示せてないだろ?」

「そういえばそうだけど、じゃあ何で私だけ実技試験免除だったんだろ?」

「それは分からん……」


 謎が謎を呼ぶ入学試験。

 魔力測定機みたいなもので、どこかから遠隔で実力を測ってたのかな?

 いずれにしても、Fクラスだと王女に何か言われそうだなぁ……。


 一応発表があったその日のうちに、各クラスに挨拶に行かなければならないらしい。

 Fと書かれた腕章を渡されたので、それを付けて私はFクラスの教室へと向かった。

 廊下を歩き、Aクラスから順に教室があるのを見ていくと、B……C……D……E……で終わってるし。

 Fどうした!?

 教室が無い……ホラー?

 初日から学園七不思議に巻き込まれるとは思ってもみなかったよ。

 ミミィの館で魔物のゴースト見てるし、今更幽霊とか出ても驚かないけど、亜空間系のホラーってどう対処したらいいの?

 私、ここから出れるよね?

 最悪の場合は光属性毒をフルパワーでぶっ放す……。


 と、突然後ろでガラッと扉が開く音がしたので、ビクッと肩を震わせてしまった。

 べ、別に怖かった訳じゃないんだからねっ!ちょっと驚いただけだしっ!

 そろりと振り返ると、Aクラスの教室から数人の人が出て来た。

 その中に王女もいる。

 こちらに向かってくるので、王女が話しかけてくるかな?と思ったけど、無視して通り過ぎていった。

 Aクラスになれなかった落ちこぼれなどに用は無いという事だろうか?

 いや、ひょっとして私の姿が見えてないっていうホラー?

 でも他の人達はなんか見下すような目を私に向けていたので、見えてはいるようだ。

 なんだろうこの学校、怖いんですけど……帰ろうかな?

 あれ?王女が戻って来た。

 そしてじーっと私を見つめる。

 一応私の事見えてるみたいだけど、私の顔に何か付いてる?


「あなた……ひょっとしてアイナさん?」

「なんで疑問形?そだけど?」


 王女の目が据わった様な気がしたけど、気のせいかな?


「そういえば、私Fクラスになっちゃったんだけど、教室が無いんだよね。どこか分かる?」


 ビキリと音がするかと思うほど、王女のこめかみに明確な青筋が立った。


「ちょっとこっちにいらっしゃい!」


 王女が私の手を引いて、近くの空き教室へと連れ込んだ。

 なんか赤髪の女性も一緒に付いて来たけど、王女の護衛かな?


「あなた、どうしてFクラスになってるのっ!?」

「さぁ?」

「さぁ?じゃないわよっ!それに何で黒髪っ!?先日会った時は金髪だったじゃない!」

「目立つと貴族に絡まれると思って黒髪にしたんだけど……」


 そういえばあの日は師匠達に認識してもらうために金髪にして、そのまま徹夜で説教されてたから、王女に会った時は金髪のままだったかも。

 それにしても王女、めっちゃ怒ってるなぁ。

 何でFクラスになったかなんて知らんもん。

 なんとか怒りを鎮めてもらおうと、入学試験の時の事をつまびらかに話した。


「実技試験が免除された?おかしいわね、金髪の少女が来たらスキルランクに拘わらず公平に試験するように言っておいたのに……って、まさか試験の時も黒髪で行ったの?」

「うん、絡まれたくなかったし」


 王女が頭を抱えた。

 一応忖度というか、公平に試験してもらえるように取り計らってくれてたみたいだけど、私が黒髪で行ったために台無しになったって事か。

 話によると、この学園はかなりランク至上主義みたいなとこがあるらしい。

 実際スキルランクをくつがえせる例は稀らしく、クラスとランクはほぼほぼ一致しているとのこと。

 なので、私が金髪で無かった事とFランクだから見下されて、実技試験を省かれてしまったんだね。


「殿下、その子が例の護衛候補ですか?」

「ええ、そうだったんですけど、Fクラスになってしまっては……」

「そんな弱そうな者を護衛にする必要はありません。私がいるではありませんか」


 赤髪の女性が私の事をディスって来た。

 やっぱり私って弱そうに見えるのかな?

 それにしても、この赤髪の女性、どっかで見た事あるような……?

 端正な顔立ちで赤髪をポニーテールにしてて、腰には細身の剣を装備している。

 でも王女の護衛としてはかなり弱い流路で、これなら以前冒険者ギルドで魔力解放してあげた子達の方が強いと思う。

 たしかに王女が言ってた通り、護衛としては物足りないかも知れないね。


「まぁ、なっちゃったものはしょうがないし、Fクラスの教室の場所教えてくれない?」

「貴様!さっきから殿下に対する口の利き方がなってないぞ!」

「レオナ、この方はいいのです」

「し、しかし……」


 いやに忠誠心溢れる人だなぁ。

 熱すぎて、ちょっと私とは合いそうにないよ。

 そして、王女は私に衝撃の事実を告げる。


「アイナさん、Fクラスには教室はありません」


 ホラーじゃなかった……。

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