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【完結】毒針クリティカル  作者: ふぁち
第三章『学園編』
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078 再会

「ちょ、ちょっと待ってっ!この獣人の子は攫ったんじゃなくて、囚われてたのを保護したんだからっ!」


 とにかく、一旦落ち着いてもらう為に誤解を解かないと。


「そんな怪しい風体で言われても信じられんわ!」

「そうですね。その覆面を取ってから言ってください」


 あんたらだって仮面付けてるでしょーがっ!

 しょうが無いので私は覆面だけ解除した。


「私だよ」

「……誰だ?」

「……どこかで見たような?」


 あっ、2人に会った時は金髪だっけ?

 最近は身バレしないように、ずっと黒にしてたの忘れてた。

 髪の色を金髪に変更してみると……、


「あっ、弟子!」

「ええっ、主様っ!?」


 そういえば2人に名前教えて無かった気がする。

 私も師匠の名前知らんけど。

 でも、ようやく話し合いが出来そうだね。


「ルールーと師匠だよね?久しぶり」

「お前……人攫いに身を落としているとは、師である我が直接引導を渡してくれる!」

「だから人攫いじゃないって言ってるでしょーがっ!!」


 話にならないんですけどーっ!!


「師匠様、例の伯爵の家から出てきたのなら、本当に保護したんじゃないでしょうか?嘘を言ってるようには見えませんよ」

「そうだよ。ほら、私も獣人だし、仲間を保護するのは当然でしょ?」


 尻尾を服の隙間から出して、ラブリーな感じでフリフリしてみる。

 なんか、師匠が猫じゃらしの前の猫みたいな動きしてるんですけど、飛びつかないでね。


『主殿、知り合いなのか?』

『うん。とりあず大丈夫だと思う』


 九曜達が不安げにしてるけど、たぶん大丈夫なはず。


「それにしても、本当に白銀の言った通り1ヵ月後に王都に現れたな」

「そうですね。あの人、いったい何者なんでしょう?」


 白銀の人が私の行動を予測してたの?

 予知系のスキル持ちなのかな?

 あれだけ強い上に未来予知も出来るとか、やっぱ凄い人なんだね。


「そうだ師匠、私も一つ聞きたい事があるんだけど」

「ん?なんだ聞きたい事とは?」


 師匠が真剣な雰囲気で聞き返すと、それを感じ取ったルールーも押し黙り、こちらを注視する。


「新しくオープンした肉の店ってどこにあるの?」

「どうでもいい話だったっ!!」


 ちょっとルールー、どうでも良くないよ。

 私も肉の店行きたいもん。


『主殿、どうでもいい話をしている場合じゃありませんよ。そろそろ行かないと』


 吹雪にまでどうでもいいって言われた。

 なんだよもー。


「残念だけど、肉の店の話はまた今度。私達はもう行くね」

「ちょっと待て、まだ話したい事があるから付いていくぞっ」

「師匠様付いて行っちゃダメです!私達には伯爵邸を調べる任務があるんですから!」

「え?任務って何か格好いいけど、何の仕事してるの?」

「ふふふ、聞いて驚け!我らは国の諜報機関に所属しているのじゃっ!東方風に言えば公儀隠密こうぎおんみつじゃな」

「ああもうっ、軽々しく所属をしゃべっちゃダメぇっ!!」


 ルールーめっちゃ苦労してそうだね。

 公儀隠密という言葉に九曜と叢雲と吹雪の流路が激しく動揺した気がしたんだけど、まさかね……。


「私は貴族街の『拳聖』と『魔操』の家にいるから、何かあったらそこに来てね」

「け、拳聖と魔操……っ!?」


 なんかルールーがめっちゃ驚いてるけど、伯爵の追っ手が来る前に家に戻らないとなので、私達はその場を後にした。


 闇夜の中を飛ぶように駆けて、ようやく家に戻ってくると、入り口の前に人影が……。


「ア・イ・ナちゃ〜ん。こんな夜更けにどこ行ってたのかしら〜?」


 仁王立ちしたキャサリン姉が、めっちゃ怒った時の男ボイスで出迎えてくれた。

 これ、あかんやつや……。

 私は反射的に隠密の妖術を発動させ、姿を消して逃げる体勢に入る。

 しかし、即座にキャサリン姉に腕を掴まれて拘束されてしまった。


「そのおかしな技もどうやって身に付けたのか、じっくり聞かせてもらおうかしら〜?」


 そういえば、私と同じように急所が見えてるんだった!!

 キャサリン姉からは逃げられないっ!?

 そのまま家の中に引きずり込まれてしまった……。

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