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【完結】毒針クリティカル  作者: ふぁち
第二章『冒険者編』
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065 レーザー

 『獣化する為のファンタジー毒』を自身の体に打ち込み、全身に白銀色の体毛が生えて猿になる。


「なんだ、人族かと思ったら猿の獣人か。それでもチビガキじゃ相手としちゃ不足過ぎだな」


 巨大化すれば強いなんて小学生男子の発想だね。

 今の流行は小さいのに高性能だよ。

 そもそも獣化だけで終わりだと思ったら大間違いだから。

 私はキャサリンさんがやったように、自らの力が増すクリティカルポイントに針を打ち込んでいく。

 毒を使った時と違って、クリティカルポイントに気を流し込むだけだから後遺症は少ない……はず。

 筋肉が隆起して、気の流路が解放され、爆発的に力が高まる。

 気が溢れ出した事で白銀色の体毛が、巨大ライオンの時の師匠みたいに黄金色へと変化する。


「うわぁ、アイナちゃんに色々見せちゃうと全部盗まれちゃうわねぇ」


 キャサリンさんが攻防の手を緩めずにこちらを覗って呟いた。

 相性がいい技は真似しやすいからね。

 キャサリンさんの視えてる急所と、私が視えてるクリティカルポイントがほぼ同じものだから出来る事だ。


 でも、これだけで終わりじゃないよ。

 今度は魔素(毒)を生成して体中に纏わせる。

 リスイさんがやった体全体に描く魔方陣を再現して魔力を込めると、全身の魔力の流路が爆発的に高まり、赤いオーラに包まれた。

 私の体の周りには黄金と赤のまだらなオーラが渦巻いて、とても禍々しい見た目になってしまった。


「私の魔装も真似られた。二つ名は『盗人ぬすっと』で広めていい?」


 リスイさんが高速で移動しつつ魔法を打ちながら不吉な事を呟いた。

 そんな二つ名、嫌に決まってるでしょっ!!


「な、なんだお前……ただのガキじゃねぇな!?」


 銅色のミノタウロスが驚愕している。

 私は地面を蹴り、瞬時にミノタウロスの懐に潜り込む。

 クリティカルポイントに針を打ち込もうとしたが、体を捻って躱されてしまう。


「ふん!以前ならくらったかも知れんが、今の俺には見えてるんだよ!」

「巨体のくせに素早いね。でも目だけで追ってる時点で私の敵じゃないよ」

「何ぃ……?うがっ!?」


 ミノタウロスの背後に展開しておいた時限式リモート魔法が発動して、銅色の背中を炎が襲った。

 後ろを振り返ったミノタウロスを、今度は上空から別の炎が襲う。

 次々に別方向から炎が放たれ、銅色のミノタウロスの皮膚を焼いていく。

 そして隙をついて、自らも攻撃を加えていく。

 相手の体が大きすぎて針が通りにくい為、透明な足場で立体機動しながら、拳や蹴りの打撃技で攻撃。

 強化した素早い動きで翻弄すると、ミノタウロスの意識がこちらに向くので、再びリモート魔法で背後から炎を浴びせる。


「ちぃっ!炎なんぞ大したダメージじゃねーが、鬱陶しいな!ウガアアアアアアアアっ!!」


 ミノタウロスが叫ぶと、銀色のミノタウロス同様に皮膚が鱗状になって硬質化した。


「ぶへへ……。これでもう魔法は通じねーぞ!」


 それはどうかなぁ?

 流路を見る限りでは、魔法を無効化しているのではなく、魔法に対する耐性が高まっているんだと思う。

 つまり、その耐性値の上を行く魔法をぶつければいいのよね。

 ただし、さっきみたいに不用意に強い魔法を放つと、辺り一面焦土になっちゃうし、キャサリンさんとリスイさんまで巻き込んじゃうから、なるべく収束した範囲に放つ魔法が必要になる。


 私はミノタウロスが奮う斧を避けながら、魔素(毒)を生成していく。

 前世の世界では、あるテクノロジーが開発されると、同じ技術をより小さいサイズで再現する事が求められた。

 同様に、今回生成する魔法もより小さいサイズで再現する事にする。

 魔方陣を描く模様には違いが出ないように注意して、同じ形でもっと小さく形成してみる。

 但し、魔素密度は数倍にするけど。

 更に、込める魔力量は放出される炎が広範囲に広がらないギリギリまで込める。

 果たして魔法は完成し放たれるが、通常の魔法の炎とは違い、レーザーのように収束した炎の筋となってミノタウロスを襲った。

 その一筋の煌めきは、龍のような鱗を貫き、ミノタウロスを串刺しにする。


「ぎゃあああああっ!!な、何だぁ!?なんで魔法が効くんだよっ!?」


 二の腕に穴が穿たれたミノタウロスは、狂乱したように暴れ出す。

 私は空中に足場を形成して、立体機動で攻撃を避けながら、第二、第三の魔法を撃ち出す。

 目だけで私の姿を追っているミノタウロスは、死角から放たれる魔法のレーザーに対処する術が無い。

 ダメージが重なって、徐々に動きが鈍くなるミノタウロス。


「くっそおおおぉっ!!てめぇは絶対ぶっ殺すっ!!」


 威勢だけはいいけど、それだけ動きが鈍くなったらもうただの的だよ。

 私は2本のレーザーをミノタウロスの目から脳に至る角度で放射した。

 一瞬で光りの筋が交差して、牛頭の脳を貫く。

 プスプスと目から煙を出したミノタウロスは、叫ぶ事もできず、膝をつき完全に沈黙した。


「なっ!?バカなっ!!」

「銅がやられただとぉっ!?」


 金と銀のミノタウロスが、戦いながら信じられないと叫びを上げる。


「実力的に問題無いとは思ってたけど、まさかアイナちゃんに先を越されちゃうとはね」

「驚愕。でも、その魔法で貫けるなら、私も真似る」


 キャサリンさんとリスイさんも戦いながら驚いているようだ。

 でも、私はここで時間切れ。

 10分経って獣化も解けちゃったし、2人の能力の真似をした事で、体への負担が大きすぎてもう動けないよ。

 瞬間的にはキャサリンさんとリスイさん並に戦えるけど、継戦能力はまだまだだ。

 今は2人がいてくれるから無茶できるけど、今後はもうちょっと考えてやらないとかな?

 じゃ、あとはお任せしまーす。

この物語はファンタジーです。

実在する獣化する為のファンタジー毒及び魔素とは一切関係ありません。

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