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【完結】毒針クリティカル  作者: ふぁち
第二章『冒険者編』
42/258

042 誤解

 紅い髪をポニーテイルにしている女性は、私の方を睨む。


「これは君がやったのか?」


 この場に立っているのは私だけだし、一番に疑われるよねぇ……まぁ私がやったんだけど。


「せ、閃紅姫っ!?」

「たっ、助けてくれぇっ!!」


 今凄く痛々しい二つ名みたいのが聞こえた気がしたけど、気のせいだろうか?

 地面に伏している冒険者達はコーヒー蛇が迫る恐怖で錯乱しながらも、紅髪の女性に助けを求める。

 ……この人かなり強いかも?

 魔力測定機で測定したらレベル120、魔力量15万、スキルランクはなんとA。

 私が勝てるのは魔力量だけだ。

 スキルランクAってだけでかなりの驚異だろうに、レベル120は勝てる気がしない。

 ここは正直に話して、それでも敵対するようなら奥の手を使うしかないかな。


「私がやりました。冒険者と冒険者ギルドが手を組んで、冒険者登録しようとしていた私を食い物にしようとしたので。やむなく反撃して今逃げようとしていたところです」


 私が正直に話すと、女性は眉を顰める。


「貴様ら、そんな下衆げすな事をしていたのか……。すまない少女よ、こいつらは私が叩き切っておく」

「ちょ、待てええええぇっ!!俺達はそんな事してねぇっ!!」

「そ、そうだっ!!その子の勘違いだああああっ!!」

「本当に親切心からやってたんだよおおおおっ!!」


 冒険者達は口からコーヒーを零しながら必死に言い訳を始める。

 あれ?よく思い返してみると、顔は厳ついけど言ってる事は確かに親切っぽかったような……?

 でも、めっちゃガラ悪かったし、受付のお姉さんも変な目配せしてたし。

 やっぱり怪しいよね?


「うわっ!何だこれっ!?」


 あ、冒険者の少年達3人が戻ってきた。

 この子達もグルだと思ったけど、何か反応見ると違うっぽいね。

 一応、売り渡された訳じゃないのかな。


「あっ、ミミィさん。これ、何があったんですか?」

「あぁ、何か絡まれたから……」

「か、絡んでねぇっ!!」


 冒険者のおっさんが何か叫んでたけど、それどころじゃ無くなった。

 何故か突然、紅髪の女性の雰囲気が変わったから……。


「ミミィだと……?その膨大な魔力……貴様、闇王かっ!?」


 あれ?ミミィの知り合い?……にしては顔を知ってないみたいだけど。

 じゃあ、ミミィの中二病の自称『闇の王』が王国にまで届いているの?

 なんて残念な……うわっ、あの人剣抜いたぁっ!?


「ここで何をしてる、闇王っ!!」


 正眼の構えで私に剣を向けてきた。

 武術素人の私でも分かるぐらい綺麗な構えから、相当な達人である事が窺える。

 ドラゴンと戦ってからちゃんとした針の補充が出来てないから、この女性程の達人と戦える針は2本しかないんだよね。

 今一酸化炭素とコーヒーを生成してる針は、私が石から削り出した即席の針なのでいまいち精度が良くない。

 どうやら精度が良くないとイメージを完全に再現できないので、強者と戦える程の高性能な毒を生成できない為使えない。

 まぁ奥の手は1本あれば出来るんだけど……。

 そもそも、私ミミィじゃないんだし、誤解を解けばいいだけじゃない?

 ——と思ってたら、冒険者ギルドの2階から新手の増援が降りてきた。

 クリティカルポイントの流路が、これまた達人級にヤバそうなのが……。


「なんじゃいこりゃ?騒がしいと思って降りて来てみれば……」


 聞き覚えのある声に振り返ると、頭頂部だけ黒髪の白髪おじいさんが階段を降りて来ていた。


「あれ?ジっちゃん……?」

「んぅ?誰じゃったかの?」


 あ、髪の色が違うから分からないか。

 私は髪の色をヴァンパイア化する前の金髪に偽装した。


「私、私」

「ん?……おぉ、ヒナではないか!」


 良かった、ちゃんと覚えててくれた……。

 ここでジっちゃんに会えたのは幸運だ。

 これで私がミミィじゃないって証言して貰えるもんね。


「い、今、髪の色が変わった……!?」

「え?ミミィさん?ヒナって……?」

「どういう事だ?クソジジイの知り合いなのか?」


 とりあえずこれで何とかなりそうかな?


「なんじゃヒナ、またギルドカード偽造でもしてトラブルになっとるのか?」


 あっ、あの時のバレてたんだ……。

 ちょっとぉ!偽造って聞いて、紅髪の女性の眼がまた鋭くなってるんですけどぉ!?

この物語はファンタジーです。

実在する一酸化炭素及びコーヒーとは一切関係ありません。

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