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【完結】毒針クリティカル  作者: ふぁち
第一章『逃亡編』
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035 巨大化

 鎮静剤(毒)を打ち込みたいけど、赤いオーラが邪魔して近づけない。

 毒針を刺す事を諦めて、経口摂取させるために毒を飛ばしてみたけど、それも赤いオーラに触れたとたん蒸発した。

 魔力量の差がありすぎて、今の私じゃどうする事もできない。

 ミミィの身長の拡大は止まったけど、魔力の増加は続いているようで赤いオーラがどんどん大きくなっていく。

 あの巨体で暴れ出さないのはいいけど、オーラのせいでもう近づく事すらできそうにない。


「魔力量150万超えた……」


 ……爆発しないよね?

 あれに匹敵する魔力を得るには、相応の『魔力を解放する毒』を生成しなければならない。

 先日ミミィに打ち込んだ毒でも1万程度しか増えなかったから、その100倍以上が必要?

 そんな毒打ち込んだら確実にアホになるわっ!


 周囲は赤いオーラの光で昼のように照らされている。

 地上は昼なのに、空は一面闇という前世の大都会のような光景。

 その中にあっても隔絶したかのように佇む満月が、こちらを見下ろしていた。


——ドクンッ。


 ミミィを見上げた先で月を視界に捉えた瞬間、心臓が跳ねた気がした。


——ドクンドクンッ。


 あれ?気のせいじゃない?

 なんか体が熱いんだけど、あの赤いオーラに当てられたせい?


——ドクンドクンドクンッ。


 急激に早鐘を打つ心臓。

 息が詰まるっ……。

 私はあの血を飲んでいないのに、なんか苦しくなって来た。


 拙いと思い、急いで意識を失わないようにファンタジー薬(毒)を生成して自分に打ち込む。

 いや、慌て過ぎた。鎮静剤が先だ……と思ったが、変化が急に現れて持っていた針を落としてしまった。


「ううぅっ……!?」


 体が徐々に大きくなっていく……。

 私もミミィみたいになっちゃうの!?

 あれ?巨大化に合わせて、妙に毛深くなって来てるような……。

 そして衝撃的な事が起こる。

 ミミィは服ごと大きくなっているのに、私の服は破けた。


「嫌あああああぁっ!!」


 スッポンポン……かと思いきや、異常な程毛深くなった事で重要な部分は全部隠れていた。

 良かっ……良くないっ!!

 同じ巨大化なのに、なんで私の服は破けちゃうのよっ!?

 耳に付けてた魔力測定機だけは一緒に大きくなってるけど、これはたぶん私のスキルで生成したものだから追従したんだと思う。

 でも、毛深くなってるのは何でっ!?

 謎の全身毛むくじゃらで、身長は巨大化したミミィに追いついてしまった。

 どうしてこうなったのかは分からないけど、都合のいい事に魔力や気も大幅にパワーアップしていた。

 ミミィとは違って、どっちかって言うと師匠のライオン巨大化に近いのかも?

 とりあえず全裸だけど全裸じゃないし、毒のおかげかミミィみたいに自我を失ってない。

 このまま何とかしよう……。


 とは言っても大きさだけ互角になっても、私の最大の武器である毒針が使えないのは困る。

 魔力測定機の中に針があるけど、感覚的に針の大きさは変わってない気がするし、今元に戻しても手が大きすぎて掴めないと思う。

 何か無いかと辺りを見回す。


「あれ……?これって使えるかな?」


 私はそれを力任せに半ばから折った。


「いけそうな気がする……」


 針の名を持つ樹『針葉樹』。

 私のスキルはどうやら先端が針っぽいものなら何でもいいみたいだ。

 金属製じゃないのがちょっと不安だけど、そこは気とか魔力でコーティングするから多分大丈夫。

 枝を落として、針というより槍に近い感じになった。

 先端だけしかスキルが適用されてないのは感覚的に分かるけど、今はそれで充分だ!

 私はミミィのクリティカルポイントを視る……。

 魔力が集中している場所は——あそこだっ!!


「せいっ!!」

「ほげえええええええええええぇっ!!」


 針葉樹は赤いオーラを突き破り、深々とミミィの尻に突き刺さった。

この物語はファンタジーです。

実在する鎮静剤及びファンタジー薬とは一切関係ありません。

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