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【完結】毒針クリティカル  作者: ふぁち
第五章『天空編』
258/258

258 次の冒険

 あれから、暫しの時が経った。

 久しぶりに冒険者ギルドに来てみたんだけど、案の定絡まれたよ……。


「おい、ここはお前みたいなガキが来るとこじゃねーぞ!ここがどういう場所なのか分からせてやろーかぁ!?」


 自分より弱そうなのを見つけてイキる奴ってのは何処にでもいるもんだね。

 あ、受付嬢さんが青い顔してギルマスを呼びに行った。

 早くしないと大変な事になっちゃうもんね、この人が。

 でももう遅いみたい。

 武器を抜いて舌舐めずり始めちゃったし。


「おいガキ!無視すんな!あぁん?ビビって声も出ねーか?」


 ガキって言うけど、私もう120歳なんだよねぇ。

 見た目は10歳で止まってるけど。

 いや、長寿な種族から見たらまだまだガキなのかも?

 なんかこの世界には1000年以上生きる人とかいるみたいだし。

 まぁリビングデッドな私が年齢をカウントしていいのかって問題もあるけど。


「ひゃっへぁー!俺様の武器で切り刻んでやるぁ!!」


 私に向かって振り下ろされる安物の剣。

 私はそれを指で摘まんで真ん中から折ってやった。


「な、何いいいいぃっ!?」


 散々イキってた冒険者は、あっさりと武器を折られると驚愕の表情を浮かべる。

 って言うか、何で周囲の冒険者達は見て見ぬふりなのよ?

 美少女が絡まれてるんだから助けなさいよね。

 いや、寧ろこの冒険者を助けなくていいの?

 チラリと周囲に視線を向けると、全員がさっと眼を逸らした。

 おい。

 絶対お前ら分かってて放置してるな?

 よーし、いい度胸だ。

 全員巻き込んだるかんね。

 面白半分で見物してた奴らは後悔するがいい。

 私はコーヒー(毒)を生成して無数のGを生み出した。

 次々に生み出されるG達は冒険者ギルドの床面を埋め尽くす。


「ひいいいいっ!?こ、こっちまで来たあああっ!!」

「ぎゃあああああっ!!に、逃げろおおおおぉっ!!」

「うわああああぁっ!!お、俺は何もしてねーだろおおおぉっ!!」


 傍観は共犯と同義だ。

 地面を埋め尽くしたG達は冒険者達の口や鼻の穴めがけてモゾモゾと這い寄って行く。

 うん、いつ見ても気持ち悪い光景だ。

 私に絡んで来ていた冒険者は早々に気絶してしまったようだ。

 他の冒険者達は慣れたもので——というか、以前に私に絡んだ経験がある奴ばかりなので命の危険は無いと知っているのか、そこまでの悲壮感は無い。

 でも気持ち悪い事は気持ち悪いので大騒ぎしているみたい。


「アイナ様っ!そこまでにしてくださいっ!!」


 残念、ギルマスが来て止められてしまった。

 これから新しいタイプのGも生み出すとこだったのに。


「ほんとにもう。またですか、アイナ様……」

「または私の台詞なんですけどぉ?教育が行き届いてないよ」

「そいつは流れの冒険者ですよ。うちを拠点にしてる奴らにはちゃんと釘を刺してありますよ」


 なるほど流れの冒険者だから私の事を知らなかったのか。

 それじゃあ仕方無いね。

 元々ギルマスに用があったので、呼んでくれて手間が省けた。


「ほい、これ。スタンピードの原因になりそうだったオークキングの首。体の方は再生しないように溶かしたからもう無いけどね」


 私が収納から直径2mほどもあるオークキングの首を取り出すと、先程までGに大騒ぎしていた冒険者達がどよめく。


「オークキングって首だけであんな大きさなのかよ」

「本体はどれだけデカいんだ?あんなものどうやって倒したんだろうな?」

「さすが『——』だぜ」


 ん?今よく聞き取れなかったけど、何か私の事を普通じゃない言い方しなかった?


「オークキングが付近に居たとは……。発見報告も無かったので助かりました」


 ギルマスがオークキング討伐の報酬を受付嬢に言って用意させる。

 それを待ってる間、ちょっと疑問に思った事を聞いてみた。


「ねぇギルマス。なんか周囲の冒険者達が私を見て名前とは違う呼称で呼んでる気がするんだけど、何て言ってるか知ってる?」

「あぁ、アイナ様には二つ名が付けられてますからね。きっとそれでしょう」


 おお、ついに私にも二つ名が!

 両親のようなちょっと痛い二つ名じゃないといいけど……。


「それってどんな二つ名?」

「……『Gの戦慄』です」

「なんじゃそりゃあああああああぁっ!!」


 私が叫び、周囲の冒険者達をキッと睨むとさっと眼を逸らされた。


「アイナ様がいつもGを撒き散らして、周囲の冒険者達はそれに戦慄を覚える事から付けられたらしいですよ」

「撤回してっ!!その残念な二つ名撤回してええぇっ!!」

「いやぁ、私が言わせてる訳じゃないですし、冒険者の口伝えで広まってる二つ名ですから……」

「うああああっ!!じゃあその名を口にした冒険者達を駆逐してやるうううぅっ!!」

「止めてくださいっ!!魔王である貴方がそんな事したら勇者が出てきますよぉっ!?」


 両親の二つ名より痛すぎるじゃないのよっ!

 くっそー!

 次の冒険は決まったぞ!

 二つ名を覆す!


「おいアイナ、魔力が溢れ出過ぎて大地が揺れてるんだが?」

「うるさいよぼっちさん、今それどころじゃないから!行くよっ!!」

「お、おう……」


 私の冒険はこれからだっ——!!

この物語はファンタジーです。

実在するコーヒー及びGとは一切関係ありません。


ここまで読んでいただきありがとうございました。

一旦ここまでで完結となります。

拙い物語ですが最後まで読んでいただけて嬉しく思います。

また気が向いたら続編を書くかもしれませんが、今のところ未定です。


今後の活動として新作を何本か投稿してみました。

もし興味がありそうなものがありましたらブクマしていただけると嬉しいです。


ステルサー静香 〜うざい勇者から隠れようとするアサシン〜

https://ncode.syosetu.com/n6760ik/


Logic Magic 〜空間収納スキルで魔法世界を物理無双〜

https://ncode.syosetu.com/n6772ik/


吾輩は豚である 〜我が豚生に一片の悔い無く生きたい〜

https://ncode.syosetu.com/n6799ik/


東方転生 〜剣道小町は和風ファンタジーな世界を生き抜く〜

https://ncode.syosetu.com/n6813ik/


これらの中で、もしもっと続きが読みたいと思えるものがありましたら、ブクマや評価していただけると励みになります。

今後もより多くの人に楽しんでいただける作品を書きたいと思います。

ありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[一言] 面白かった! 設定なにそれ美味しいのって感じで突っ走っていましたが、むしろそれで頭空っぽにして読み切れた感があります。 ありがとうございました!
[一言] よ見切った おもろかった ちと疲れたけどw
[一言] 完結、おめでとうございます〜 まさかこんなあっさりと完結したとは。 『Gの戦慄』、確かにビッタリの二つ名ですね。
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