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【完結】毒針クリティカル  作者: ふぁち
第五章『天空編』
256/258

256 100年の行動

 白銀の人は、過去へ跳んだ私だった。

 一度経験した事だから、未来を予見したように動く事が出来てた訳だ。

 ちなみに白銀の鎧である神器『白虎』は、私が過去へ跳ぶ度に持って行く事になるので、あの周期をループし続ける事になる。

 つまりそれ以降の時の中では失われてしまうのだ。

 神器『朱雀』も私が壊しちゃったし、『青龍』とか『玄武』が出て来た時の対処に困っちゃうかなぁ?


 キャサリン姉達は一瞬で戻って来た私に呆れてたけど、実際は100年の時を地道に歩んで来たんだよ。

 その間色々あったし、結構長かったんだからね。


 過去に戻った私が最初にやったのは、もちろん天珠華を手に入れる事。

 天珠華は、赤き月のエネルギーが満ちたところを隠密の妖術で姿を消しながら、こっそり採取した。

 天空族の国に数本生えただけだったけど、そのうちの1本をぼっちさんの収納魔法に入れて確保。

 100年経っても経年劣化無しで保存出来るので、とりあえず一番の目的は達成出来た。

 天珠華が1本無くなった訳だが、天空族の動きに大きな変化は無いようだったので、たぶん歴史が改変されるような影響は無かったと思う。


 その後、ミミィの誕生に立ち会う。

 ヴァンパイアは何も無い闇の集合の中から突然生まれる。

 どういう原理か、魔素溜まりから可愛い赤ん坊が出て来た。

 暫くあやしたりしてたけど、たぶん私の事は覚えてないよね。

 後に時間逆行前の私と仲良くなったのは、過去に行った私のこの行動に起因するのかも知れない。


 次に元天空王の姉が人族に殺されそうになっているところを助けた。

 胸を貫かれて傍目には完全に絶命したように見えてたと思うけど、姿を消した私が直ぐさま回復薬を投与していたので出血はしてても傷口は塞がっていた。

 その場で命を繋ぎ止めたと分かると天空王との闘いが無くなってしまうので、元天空王の姉を連れて一時撤退。

 なるべく人が来ないような無人島に拠点を構えて、そこに身を隠してもらった。

 歴史を変えない云々を信じて貰うまでが大変だった。


 同様にライズさんの両親も助けておいた。

 こちらは幼いライズさんを一人にする事をかなり渋られたが、なんとか説得して隠れてもらった。

 ある程度自律した生活を送れるようになるまで、こっそりライズさんを支援するという条件付きで。

 特にやることも無いのでライズさんが勇者として覚醒するまで見守った。

 ライズさんが隠蔽のスキルを取得したのは、ずっと隠れて近くに居た私の影響があったかも?


 そしてちょっと大変だったのが私の両親の救出。

 世界最大のダンジョンの深層まで単独で潜らなければならなかったし、しかも両親がそこへ転移してくるのを待ってなきゃいけなかった。

 待ってる間ももちろん魔物達が襲ってくるので、ほぼ休み無く闘ってたし。

 睡眠が必要無いリビングデッドだからなんとかなったけど、生身の人族があそこに行くなんて不可能だよ。

 そして何とか両親を救出して、時間逆行前の私と合わないように注意して貰ってた。


 その後、獣王国の付近で初めて自分自身と邂逅する事に。

 師匠を倒して獣王の腕輪を渡す事が出来た。

 あの時白銀の人に獣王の腕輪が装着されなかったのは、既に持っていたからなんだね。


 ところが一つ問題が発生した。

 龍王との闘いの際に両親にレプリカの鎧を用意しなければならなかったのだが、かなり高度な技術で作られた鎧だったので、どうやって用意したらいいのかとても悩む事になった。

 しかしそれは、助けた元天空女王とライズさんのお父さんが、高度な天空族の技術を用いて再現してくれたので何とか解決出来た。

 人助けはしておくもんだね。

 それすらも時の流れの中で決まっていた事なんだろうけど。


 あとは闇落ちする寸前の私の元へ両親を送り、熱射線が襲う天空族の国を丸ごと転移させる。

 それからライズさんの攻撃が来るのは知ってたから防げたし、拠点から元天空女王とライズさんの両親を呼び寄せて今に至る。


「まさかずっとそこにいた白銀鎧がお前だったとはな……。それで天珠華は手に入れたのか?」


 おいこら元魔導王。

 100年もの旅路を経た私をもうちょっと労いなさいよ。

 まぁ私が月を壊した自業自得なんだけどさぁ。


「もちろん手に入れたよ。ただ、今は収納魔法の中で天珠華の時を固定してあるけど、取り出したらすぐに劣化が始まるらしいのよ。だから私が直接エレノアさんの所に行かないとだね」

「よし分かった。今すぐ行くぞ!」


 だからもうちょっと労えっての!

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