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【完結】毒針クリティカル  作者: ふぁち
第五章『天空編』
252/258

252 予見する人

 武器から魔法が発動されたので、てっきり攻撃魔法かと思いきや、七色に輝く扉のようなモノが現れた。

 そこからぬるりと出て来たのは一人の天空族の女性。

 続いて、もう一人天空族の男性と人族の女性が現れた。

 あれはぼっちさんが使う瞬間移動系の転移魔法ではなく、マル婆のどこにでも行けるドアと同様のゲートタイプの転移魔法のようだ。

 それにしても、白銀の人はこの人達を召喚して何をするつもりなのだろう?

 疑問に思って天空王とライズさんの方に視線を向けると、2人は驚愕に目を見開いていた。


「ば、ばかな……生きている筈が無い……」

「何のつもりだ!?こんな幻覚を見せて動揺すると思うなよ!!」


 いやめっちゃ動揺してるやん。

 というか、この2人がこれほどの反応を見せるって事はもしかして……?


「頬に涙のあとが付いてるわよ。大きくなっても泣き虫は相変わらずね」

「姉さん……」


 天空族の女性が話しかけると、天空王の瞳から再び涙が流れ出した。

 しかし今度のは怒りに染まったものではなく、奇跡に心が揺れた滴だろう。

 やはり前の天空王であったという現天空王の姉か。

 いやまてよ?

 既に『天空王の小環』は私が装備しちゃってるから、元天空王になるのか。

 そうするとあの女性は元元天空王?

 ややこしいので元天空女王としておこう。

 名前とか知らんし。


「ライズ……大きくなったな」

「ライズ、今まで生きていた事を伝えられなくてごめんね」

「う、嘘だ!父さんと母さんはあの時確かに天空王に殺された!これは幻覚だ!!」


 こちらの天空族の男性はライズさんのお父さんで、人族の女性はライズさんのお母さんか。

 でもライズさんはそれを認められずにいるようだ。

 そりゃそうよね。

 生きてるんなら、子供をほったらかしにせずに会いに来てあげるべきだと思うし。

 それがかなりの時を経て、恨みが募りに募ってしまった今になって姿を見せられても、心が追いつかないだろう。


 恐らく白銀の人がこの人達を助けておいたんだと思う。

 疑問は尽きないが、やはり白銀の人は未来を見通せるようだ。

 ライズさんの攻撃を見切ったのも、そこに攻撃が来る事を予め知っていたかのように動いた。

 ライズさんと天空王が将来的に怨嗟の渦に沈む事も予見して、元天空女王とライズさんの両親を助けていたんだと思う。

 そういえば最初に会った時も偶然にしては完璧すぎるタイミングで、ヒーローのように私を助けてくれたっけ。

 あれもきっと私が危険な状況になると予見していたんだろう。

 元龍王との闘いだって、私の両親があの場へと駆けつけるのが早すぎた。

 元龍王が呼んだドラゴン達より先にあそこに来れたのは、私達が転移する前から動き始めないと不可能だし。

 いや、さっきの転移魔法を使った可能性もあるのか。

 でも転移魔法って位置情報を把握してないとだし、つまり一度はあの場所に訪れているって事だから、やっぱりそれも予見してたんだろう。

 あと、私が闇落ちしそうになるところにジャストタイミングで両親を送り込んだ事とか、天空王の放つ熱射線も予見していて天空族の国を転移させた事とか。

 そもそも私の両親がジャネスの罠に嵌まって危機に陥ったところも、たぶん助けてくれてたんじゃないかな?

 白銀の人が動いてくれたおかげでこれまで万事解決してきた。


 でも何故、天空王の姉とライズさんの両親を助けたすぐその場で引き合わせてあげなかったんだろう?

 私の両親についても、つい先程まで生存していた事すら知らされなかった。

 下手な偽名を使って正体を隠すという小細工までしていた。

 善行をしているようなのに、そこが腑に落ちないんだよね。

 でも目の前のこの人から悪意は全く感じられない。

 だからこそ理解出来ない……はがゆい。


 しかし、何も出来ていない私が白銀の人に意見など出来る筈も無く。

 ただ事の成り行きを見守るしかなかった……。

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