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【完結】毒針クリティカル  作者: ふぁち
第五章『天空編』
244/258

244 作戦

 では作戦を決行するとしよう。

 私は天空王にバレないように、今空にいる味方と念話のパスを繋いだ。

 最近は慣れたもので、直接接触しなくても付近にいればパスを繋げる事が可能になった。


『あーテステス。聞こえますかぁ?』

『む?念話か?』

『聞こえるぞ』

『問題ありません』

「な、何だっ!?頭の中にアイナの声がっ!?」

「何これっ!?なんで頭の中にアイナちゃんの声がっ!?」

『こら、そこのポンコツ夫婦、声に出して喋るなっ!!これは味方だけに通信してるんだから、喋ったら天空王にバレちゃうでしょ!話したい事は頭の中で喋って』


 こんな残念な夫婦の子供もさぞ残念な事だろう。

 私やないかい……。


『これより、私と師匠とミミィとヴァイスさんで赤き月に向かいます』

『赤き月にある熱射線の元を奪取するのですね?』

『いや、たぶんあれは神器“朱雀”が無いと起動出来ないと思う。私達の目的は別にあるの』

『何をする気なんじゃ?』

『天空王の鎧は赤き月の影響を受けて強さが増す。だから月を破壊します』

『アイナ、マジで言ってるのか?頭おかしくなったのか?』


 師匠とミミィとヴァイスさんは私の正気を疑っているようだ。

 頭おかしくなってないからっ!


『マジです。赤き月からのエネルギー供給を断つには、月を破壊するしかない。師匠達と私の最大の技をぶつければたぶん破壊できると思う。ね、ぼっちさん?』

『そうだな。この世界の月は俺達の知る月よりかなり小さいから、元魔王達とアイナの攻撃力なら破壊も可能だ。但し体積はそれなりにあるから、かなり全力でぶっ放さないとだけどな』


 前世の漫画で、月を見るとパワーアップする宇宙人が攻めてくる時、事前に月を壊しておいたって話があった。

 月でパワーアップさせたくないなら破壊しちゃえばいいじゃない——という事で破壊します。

 文学者が告白出来なくなろうが知った事ではない。

 お団子は月が出なくても食う。

 獣人族が巨大化出来なくなるのはちょっと困るけど、毒でなんとかするよ。


『でも、あの天空王が素直にそれを見逃すとは思えんが?』

『うん。だから、“疾風(笑)”と“迅雷(笑)”の2人には、少しの間だけ天空王の足止めをお願いしたいの』

『二つ名に悪意を感じるのは気のせいか?』

『なんか(笑)とか付いてそうなニュアンスに聞こえるんだけど?』


 ちっ、さすが我が父と母。

 微妙なニュアンスに勘付いたか?


『仮にも勇者の弟子なんだから出来るでしょ?』

『仮じゃなくて正式に勇者の弟子なんだよ』

『でも今の天空王は勇者でも手を焼くと思うわよ。元龍王より強い気がするし』

『大丈夫、そこは私のスキルでパワーアップしとくから』

『『えっ!?』』


 若干不安げな夫婦のお尻に、私の毒針が突き刺さる。


「いだっ!?」

「きゃあっ!?」


 これ以上両親がポンコツ化しないように、毒は一時的に魔力をブーストするだけにしてある。

 永続的にしてアホになられたら困るからね。

 でも一時的とは言え、二人合わされば今の天空王に匹敵出来る程魔力が高まるはず。

 そして、それ程の毒を食らえば当然、


「「あばばばばばばばばば……」」


 それなりに反動は来るよね。


「ア〜イ〜ナ〜?」

「ア〜イ〜ナ〜ちゃ〜ん?」

「……じゃ、じゃあお願いねっ!10分経ったら効果が切れるから、その時は逃げてね!」


 父と母がなんか怖いので早々に離脱する。


「待てっ!!貴様ら逃がさんぞっ!!」


 天空王は私達が逃げると思ったのか、炎の翼をはためかせて追って来ようとしていた。

 そこへ私の愛する両親が立ち塞がる。


「後でお仕置きだな」

「後でお尻ぺんぺんよ」


 不穏な言葉は聞かなかった事にしよう。

 今は急がねばなるまい。

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