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【完結】毒針クリティカル  作者: ふぁち
第五章『天空編』
225/258

225 人族の部分

 元魔導王の叫びと共に、遠くの方から轟音が聞こえて来た。

 その方角からは黒い光という物理的にありえないものが放射されていくのが見えた。

 闇系統の魔法によるものだろうけど、あれを遠くから視認できる程の規模で行使できるのなんて、私の知る限りでは一人しかいない。


「あれって『暗黒爆裂掌』よね?」

「そのようです。ですが、いつもより威力が弱いのは気になります」

「そうだね。規模は同じぐらいなのに周囲を破壊してないし」


 とりあえず黒い光の発信源まで行ってみる事にした。

 元魔導王は呆然としながら後をついてくる。

 私が転移魔法を一発で使えるようになった事で自信喪失したらしい。

 使ってたのはぼっちさんだけど。

 まぁ私も使おうと思えば魔素(毒)で再現できるし。


 生物の気配の無い不気味な森を歩く事数分。

 目的の人物がいたので声をかける。


「ミミィ、何してんの?」

「む?おお、アイナか。妾は帝国兵を追い返していただけじゃ。お前こそ何しとるんじゃ?」

「ちょっと面倒な事になって、戦力を集めてるのよ。それでミミィにも声をかけに来たの」


 そこでヴァイスさんが思い出したように私に問いかける。


「そういえば何も聞かずに協力を了承しましたが、面倒な事とは何が起こったのですか?」


 それを説明して無かったね。

 説明してないのに了承するヴァイスさんも凄いけど。


「端的に言うと、天空族が人族への侵攻を計画してるらしいんだよね。それを叩き潰したいって感じ」


 と言ったらミミィとヴァイスさんは微妙な顔に。


「失礼ながら、アイナ様ってもう人族の部分無いですよね?別に人族に肩入れしなくてもいいのでは?」


 人族だった頃に言われたら本当に失礼だったけど、確かにもう人族の部分は無いと言っていいと思う。

 そもそも獣王の腕輪を装備した時に100%獣人になってたっぽいし、ベースはもう獣人よね。

 そこにミミィに噛まれて抵抗する為にヴァンパイアになって、妖術使うために吹雪の遺伝子取り込んで東方の獣人となり、最後に龍王の首飾りの能力を発現させるためにヴァイスさんの遺伝子取り込んで龍族にもなった。

 見た目は人族、中身はキメラ。

 迷遺伝子美少女魔王とは私の事だ。

 尚、美少女の部分は外せない。


「確かに私に人族の部分はもう無いと言えるけど、一応人族の友人達がいるし。それだけじゃなくて、どうやら私を狙って帝国と教皇国も動くみたいなんだよね。それぞれ思惑は違うと思うけど。あと、ついでに元魔導王との約束で、天空族の国にある『天珠華』ってのを取ってこないとなのよ」

「なるほど、理由は分かりました。……いえ、ちょっと今気になる事を言いましたよね?魔導王がというのは?」

「そっか、元魔王達は帰郷してたから知らないんだったね。魔導王の籠手が今は私に装着されてるのよ。あ、ついでに不死王の指輪もね」

「……理解が追いつかないのですが、僅かの間に2人の魔王を降したという事ですか?」

「いや、どっちも戦って降した訳じゃなくて、色々あってそうなったの」

「その色々が超重要そうなんですが……」


 ヴァイスさんはいまいち納得いかないような表情を見せる。

 一方ミミィは元魔導王を指さして、腹抱えて笑ってた。


「ぷぷーっ!大事にしてた籠手奪われてやんのっ!!」


 笑われてる元魔導王は私が転移魔法使えたショックからまだ再起動していない。

 電源ボタン長押ししたろか?


「それで、ヴァイスさんは話を聞いてみて協力する気は無くなった?」

「いえ、ただ確認しただけですので。アイナ様が世界を滅ぼすと言っても従いますよ」


 言わんわそんな事。

 ヴァイスさんの忠誠心がちょっと怖い。


「それでミミィにも協力して欲しいんだけど」

「うーむ、そうは言ってもなぁ。どうやら闇王国の戦力ががた落ちしてるらしく、帝国の兵がこれ幸いにと攻め込んで来てるらしいのじゃ。妾がいないとこの国が蹂躙されてしまう」

「それでさっき『暗黒爆裂掌』ぶっ放してたんだね」

「いや、あれは殺してしまわないように威力を弱めた『暗黒吃驚掌』じゃ。殺してしまうと食糧としての価値が下がってしまうからな。やっぱり生きてるままの血の方が美味い」


 へぇ、そういうものなんだ。

 私はあんまり吸血衝動は無いからよく分からないなぁ。

 あ、でもヴァイスさんの血はヤバいぐらい美味しかった。


「だが殺さずに追い返すというのが難しくてな。もっとダメージを与えた方がええんじゃろか?」


 脳筋ミミィには適度に恐怖を与えるというのは難しいのだろう。

 しょうがない、現闇王でもある私が一肌抜ぐとしますか。

この物語はファンタジーです。

実在する魔素とは一切関係ありません。

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