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【完結】毒針クリティカル  作者: ふぁち
第五章『天空編』
221/258

221 戦う理由

 この世界にもロボがあるんだね。

 っていうか、前世の世界ではほぼ空想上の産物だった。

 工業用のロボは多数あったけど、人型で実用的なものはほとんど無かったと言える。

 それがこのファンタジー世界ではちゃんと人型兵器として運用されているとは。

 たぶん駆動系統は完全な機械式じゃなくて、魔法で誤魔化してる部分が多いだろうとは思うけどね。

 そもそも神器だから不思議パワーで自律起動してそうだよね、ぼっちさんみたいに。

 それよりも、搭乗型って事はかなり巨大であると予想されるのが問題だ。

 どうやって闘えばいいんだろう?

 こっちの巨大化できる元魔王達を召集して挑むか……。


 あとは、勇者側がどういう動きをするか確認しておかないと。


「キャサリン姉、勇者は今回の事に対してどう動くの?」

「そうねぇ……。魔王が人族の領域へ侵攻するというなら動かざるを得ないかしら」

「元魔王達も呼んだ方がいいよね?」

「う〜ん、どうかしら?今回の事は天空族対人族の色合いが強いみたいだから、元魔王達にとってはどうでもいい事だと思うのよね。戦力としては魅力的だけど、本人達が果たして参戦してくれるかどうか」


 まぁ、それはあるか。

 獣人やアンデッドやドラゴンには特に関係無い話だもんね。

 天空族の支配領域が増えて力関係が変わる可能性はあるけど、人族への報復が目的みたいだし、他種族への侵略に関してはまだ分からない。

 元魔王達に動いて貰う説得材料が薄いから、キャサリン姉の言う事ももっともだ。

 確実に動いてくれそうなのは、『天珠華』っていう餌がある元魔導王と、何故か私に忠誠を誓っている元不死王。

 いや、師匠は強い敵と戦いたがる気がするし、ミミィは面白そうとか『暗黒爆裂掌』を撃ちたいとかいう理由で動く気もする。

 あとはヴァイスさんだけど、なんやかんや龍王の件で恩義を感じてくれてるっぽいし、お願いすれば動いてくれると思う。

 ただ、大規模な闘いにおける共通の大義が無いのは、ちょっと気になるところだ。

 裏切りとまでは行かなくとも、離脱される可能性はあるよね。


 いや、その前に一番重要な事を聞いて無かったよ。


「その『赤き落日』はいつ決行されるの?」

「3日後です……」

「時間無いじゃん!!」

「日時も問題ですが、場所も更に問題ですね」


 場所?どういう事?

 私が小首を傾げるしぐさをすると、元不死王がヒントをくれた。


「天空族が敵対目標に掲げる国があるという事です。アイナ様が帝国で見た光景を思い出してください」

「帝国……あぁ、そういう事か。拙いね」

「ええ。天空族は最終的に人族全てを討伐するつもりかも知れませんが、最初のターゲットはアイナ様が深く関わっているあの国になるであろうという事です」


 帝国の皇帝の下に現れた天空族と教皇国の教皇。

 以前は天空族の代わりに龍王がその位置に立っていた同盟か。

 それらが攻めてくるとしたら、この大陸に於いて最大の規模を誇る国——王国しかないって事ね。


 そういえば王国の件が宙に浮いたままだった。

 侯爵は失脚させたけど、王位に座ってる公爵がそのままなので、早急にソフィア王女に王位を返還させなければならない。

 王子も一応いるけど……無いな。

 王子を王位に着かせたら背後から撃たれそうだし。


 さて、時間が無いとなればやっぱり先にアレを覚えておく必要があるよね。




☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆




「という訳で、転移魔法教えてよ」

「お前、それだけで用件を察しろというのは余りに乱暴だぞ」


 突撃訪問だよ、元魔導王の部屋。


「あなたが言った『赤き落日』の日が迫ってるの。あちこち移動してると時間が足りないから、転移魔法で移動しなきゃなのよ。どこにでも行けるドアは壊しちゃったし」

「最初からそのように説明しろ。まぁ教えてやらんでもないが、まだ魔力が回復しきってないから直ぐには無理だ」

「魔力が回復してないのね。ほいっと。どう?回復したでしょ?」

「何だ今のは?……一気に魔力が回復しただと!?」


 魔力回復薬(毒)を注入してあげたら、元魔導王は目を見開いて驚いていた。

 通常、魔力回復薬はとても高価で、しかも一本丸々飲んでも気休め程度にしか回復しない。

 それが目に見えて回復してたら驚きもするでしょうね。

 ただ、魔力回復薬(毒)は当然の如くコスパは悪い。

 回復させる魔力量よりも私の使用魔力量の方が多いから、他人に急速充電するような使い方しか出来ないのよ。

 今みたいに時間が無い時にしか使えない技だ。


 しばらくフリーズしていた元魔導王が何とか自力で復活する。

 時間無いんだから、いちいち驚いてる暇無いよ。


「まったくとんでもないスキルだな。では使ってみせるが、行きたいところはあるか?」

「複数人で飛ぶと魔力消費量は上がるの?」

「当然だな。飛ぶ距離によっても違ってくる」

「行った事が無い場所にも飛べる?」

「座標で指定すれば飛べなくもないが、危険だから見える範囲で飛ぶ方がいいだろう」


 上空に浮かぶ天空族の国まではかなり距離があるから、飛んで近づいてから転移した方がいいって事だね。


「じゃあ、最初に飛ぶところは……」

この物語はファンタジーです。

実在する魔力回復薬とは一切関係ありません。

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