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【完結】毒針クリティカル  作者: ふぁち
第五章『天空編』
218/258

218 勇者の証

 元魔導王が元勇者……元が重複しててややこしいわ。

 しかし、こんな奴が勇者だったなんて、勇者も結構アレだなぁ。

 なんて思ってたらキャサリン姉がジロリとこちらを見た。


「アイナちゃん?何か失礼な事考えてない?」

「気のせいでは?」


 そして不死王も元勇者ね。

 前世のラノベなんかだと魔王を倒したら魔王になっちゃうはあるあるだけど、この世界でも倒したら『麟器』が継承されちゃうから魔王になっちゃうんだね。

 そういえば白銀の人には何故か『麟器』が継承されなかったけど、勇者であっても継承されちゃうんなら何で獣王の腕輪は私に継承されたんだろう?

 もっとも、勇者は円卓で会った6人だけだし、白銀の人は勇者では無いと思うけど。

 いや、そもそも勇者が6人ってのが思い込みかも知れない。

 他にも勇者がいるかも知れないし。

 いるのかな?


「そういえば、魔王の定義は『麟器』を持ってることだけど、勇者の定義って何?『神器』を持ってるとか?」

「勇者は、魂に『勇者の証』が刻まれるのだ。先代が継承を容認し、受け継ぐ者が相応しい器であれば勇者となれる。勇者が魔王になった場合は自動的に継承状態となり、一番適した者に受け継がれる。殆どの場合は弟子がそれにあたるが」

「その勇者の証って世界に6個だけなの?」

「そう言われている。魔王の数だけ勇者がいるらしい」


 おお、アホでもそういうのだけは博識だね、元魔導王。


「おい、今失礼な事考えただろう?」

「気のせいでは?」


 ここで当然ながら疑問が出てくる。

 タケル君も一応勇者なんだよね。

 召喚された勇者は勇者に含まれますか?


「異世界から召喚された勇者にも『勇者の証』が刻まれてるの?」

「その場合は例外だな。本人の魂が変質して擬似的に勇者の証を持ってる事になる。魂自体が変質しているので、継承も出来ない一代限りの勇者だが。しかも擬似的な勇者の証なので、効果としても完全に劣化版だ。その対価として召喚時に強いスキルが付与されるらしいが、焼け石に水だろう」


 焼け石に水どころか、そのスキルのせいで龍化した時に精神が乗っ取られて暴走してたし。

 勇者の証は劣化版、スキルは乗っ取られ、挙げ句に帝国に命を狙われるって、タケル君不遇過ぎない?


「おぅい、話が逸れとるぞい」


 そこへ不死王が茶々を入れる。


「それでこの呪いは解いて貰えるんか?」

「うん、無理だね」

「ぬはぁ〜、お主でも無理かぁ……」

「でも呪いを何とかする事は出来るよ」

「んん?そりゃどういう意味だや?」


 不死王が困惑したような仕草を見せる。

 骨だけなので表情はまるで分からないけど。


「呪いを解いたら、解いた人が呪われるんでしょ?それなら呪いは解かないで、効果を書き換えればいいのよ」

「……言いたい事は分かるが、そんな事できるのか?」

「寧ろそっちの方がスキルの本領発揮できるよ。向かってくる呪いを回避する方法探すよりよっぽど簡単だと思う」


 なんせ毒ってのは体の状態を変化させるものだからね。

 ファンタジー毒で呪いの方向性ベクトルを書き換えればいいだけなのだ。


「って事で、先に情報を教えてよ」

「いやいや、先に呪いを何とかして貰えんかね?本当に出来るかどうか分からんけぇ」

「それを言ったら本当に情報を持ってるかどうかも怪しいんだけど?」

「情報はちゃんとある」


 うむむ……水掛け論になってきちゃった。

 キャサリン姉達が持ってる真実の宝玉を使わせて貰おうか?

 勇者達は一つずつ真実の宝玉を持ってるらしいし。

 でも情報を持っている事が真実だったとしても、私達にとって本当に有益な情報かどうかは分からないんだよね。

 しゃーない、私が折れてやるか……。

 呪いを肩代わりする事にならないなら、私が失うのは魔力だけだし。

 寝れば回復するから損はしないだろう。


「じゃあ先に呪いを書き換えるよ。その後でちゃんと情報教えてよね。もし嘘だったらみんなでボコボコにするから」

「おう、頼むわい。とっておきの情報を教えちゃろう」


 契約成立ね。

 ちなみにクーリングオフは受け付けませんので。


「ちょっとアイナちゃん、そんな簡単に契約しちゃダメよ!世の中には魔法少女にしてあげるとか言って、実は魔女にしちゃうような奴もいるんだからね!」


 この世界にもそんな白い獣っぽい奴いるのね。

 それはさておき、


「大丈夫だよ、キャサリン姉。私がいつも突飛な事しちゃうのは、私の勘が命掛けてでもやった方がいいと囁くからなんだよ。今回のも必ず良い方向に向かうはずだから」

「何よその根拠の無い自信は?でもその目は絶対譲らないって感じね……。ホントもう変なとこだけ頑固なんだから。何かあったらすぐに止めるからね」

「うん。その時はお願い」


 私は不死王の前に立った。


「じゃあ、いくよ」

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