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【完結】毒針クリティカル  作者: ふぁち
第五章『天空編』
213/258

213 暫しの休養

 元魔王達は自分の国が気になるという事で、一時帰郷する事になった。


「白銀がお前に鎧を渡した事で獣人国の防衛に影響が出てないか見てくる」


 元獣王の師匠が獣人国に向かうというので、白銀の人とハヤテさんとミカヅチさんにお礼を言っておいて欲しい旨を伝えた。

 元龍王との闘いではお世話になったし。


「ロバールが闇王の名を語ってたんで、一応闇王国の様子を見てくる。まぁ闇王なんていなくても、みんなアンデッドだから好き勝手に生きてるとは思うがな」


 元闇王ミミィは闇王国へ向けて飛んでいった。

 天空族の国に近づき過ぎて撃たれないようにね。


「元龍王がどうなったか気になりますし、龍族の仮の纏め役を選出して来ようと思います」


 元龍の女王ヴァイスさんは白い龍の姿となって飛んでいった。

 なんでヴァイスさんの遺伝子を元にしてるのに、私の翼は黒いんだろう?

 ほんとにドラゴンの翼なのかな?

 ヴァンパイアの方の蝙蝠の翼だったら、龍化なのかも怪しくなってくる……。


 そして私は魔力を回復するために暫し休養を取ることにした。

 1日寝れば全回復するかと思ったけど、思ったより魔力が増えていたようで満タンになるまでに3日を要した。

 家の防備はキャサリン姉とリスイ姉が居てくれるので問題無い。

 2人は九曜達の修行にも付き合ってくれているようだ。

 九曜と叢雲と吹雪は、ぼっちさん考案の『妖闘気』を使用できるようになろうと奮闘中。

 ルールーとレオナさんは『魔闘気』を使うべく魔力と気の練度を上げている。


 カク爺は王国、マル婆は教皇国の様子を見てくると出て行った。

 円卓解散後の各国の動きが気になるそうだ。

 早々に教皇国が天空族と接触していたという事実もあるので。


 残った人達は何かぼーっとしている。

 ソフィア王女と聖女は、あっさりと人質にされた事で自信喪失しているようだ。

 タケル君は最初こそまた修行して強くなろうとしてたけど、吹雪に構って貰えないユユちゃんと模擬戦してボコボコにされたので、これまた自信喪失している。

 ユユちゃんは成長著し過ぎて皆が模擬戦等も避けるので、ふてくされて寝ている事が多い。

 そしてレントちゃんは、ヴァイスさんの代わりにヤスガイアさんと一緒に料理担当になっている。

 思いのほか水操作が料理に活きてて、腕前はかなりのものだ。

 タケル君の胃袋をつかもうと頑張ってるようにも見える。


 あと誰か家にいたっけ?——と思考を巡らせて、ある人物がほったらかしだったのを思い出す。

 王国の王子がいたんだった。

 一応誰かしら食事は運んでいたようで、生きてはいた。

 しかし無駄に高いプライドを持って喋るので誰も相手をしたくないらしく、基本放っておかれている。

 どうにも扱いに困る人だ。




☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆




 そして更に数日が過ぎた。

 私は早々に帝国へリベンジに行きたかったけど、キャサリン姉からのお許しが出なかった。

 そもそも人質が取られていない今、余計な事をするなと言われた。

 円卓の盟約が無効となって、各国の動向が気になる時にトラブルが起こると困るらしい。

 でも、夜行のバリア女をそのままにしておくと、かなり面倒な事になりそうなんだよね。

 こっそり抜けだそうかなとも考えたけど、姉達はお見通しのようで、常にリスイ姉が私に張り付いていた。


「色々やらかしてるし、自業自得だな」


 ぼっちさんうるさいよ。


 しかし、特に世界に大きな動きは無いままだった。

 裏で色々企んでる人がいるのかも知れないが、その筆頭であろう元龍王にもうその力は無い。

 そして勇者は6人とも健在である。

 悪が蔓延はびこるのは難しいだろう。


 そもそも魔王も悪とは限らないんだけどね。

 私以外で残ってるのは天空王、魔導王、不死王。


 天空王はとにかく美形。

 何考えてるか分からないけど、配下の天空族は意外と粘着質なのかも。

 一度はやり過ごしたのに、追撃してきてとんでもない超兵器とか使ってくるし。

 まぁ、あれは私が不用意に天空族の国に近づき過ぎたせいもあるんだけどね。


 魔導王は何か目的があって動いてるようだけど、それ以外には全く興味が無いようで、龍の嘆きみたいな危険なものを作って平気で世にばらまく。

 でも元龍王がいない今、わざわざ世界に悪意を振りまくとは思えない。

 余計な事して勇者に目を付けられたくないだろうし。


 不死王は不気味な存在。

 特に何かやってるという事は無いらしいけど、普段の動向は勇者ですら分からない。

 キャサリン姉とリスイ姉が不死王の拠点に向かった時は特に変わった事は無かったそうだ。

 あんまり邪気のようなものも感じ無かったけど、それを隠せる能力があるとしたら危険かも?


 という事で世界にとって危険視されている魔王達であるが、今のところ何か事を起こすとは言い難いと思う。


 ——などと考えていたのがフラグだったのか……。

 ある日突然、家の前にクリティカルポイントが出現した。

 上空から飛んで来たでもなく、本当に突如出現したと言える。

 魔法がある世界だし魔導具もあるから、転移自体は珍しくも無いんだけど、何故我が家の前に出現した?

 カク爺かマル婆が帰って来たのかとも思ったけど、体格が全く違う。

 それどころか、どうやら家の前で倒れているようだし、かなり流路も弱っていた。

 私は急いで玄関の扉を開けて駆けつけた。

 そこに倒れていたのは、先日円卓の間で会った魔王の一人——


「なんで魔導王がここに……?」

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