表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】毒針クリティカル  作者: ふぁち
第五章『天空編』
203/258

203 天空族

 悠々たる空を自力で飛んで行くのって最高!

 飛行機とはまた違った爽快感があるね。

 私は調子に乗ってグングンとスピードを上げる。

 ついでに高度も上げて、山々の嶺を見下ろしながら飛んだ。

 この速度なら帝国まであっという間に行けそうだ。

 って下ばかり見て飛んでいたら何故か急に曇ったように影が差し、不意に上空から敵意を感じた。

 咄嗟に身を捻って躱すと、今まで私がいた場所をレーザーのような光線が通り過ぎる。

 敵かと思って私が飛ぶ位置よりも更なる上空を見上げると、そこには戦艦のような巨大な島が浮かんでいた。


「あ、やば……天空族の国に近づき過ぎてたのか」


 いつの間にやら天空族の国付近を飛んでいた。

 おかしいな?帝国に向かって飛んでた筈なのに。

 なんて思ってたら、雨霰の如くレーザーが私へ向けて照射された。

 飛行では間に合わないので、毒で透明な足場を作って躱わす。

 安全圏まで飛んで逃げようと思ったけど、何かあの島追いかけて来るんですけど!?

 自然浮遊だけじゃなくて自律飛行も出来るんかい。

 今は相手してる暇無いのに……。


 そのまま逃げ続けてたら、空飛ぶ島から何かが複数飛び立った。

 クリティカルポイントから分かる形状は、人の姿に翼が生えたような感じ。

 明らかに天空族だ。

 なんとか振り切ろうと飛行速度を上げるも、徐々に距離を詰められる。

 飛ぶ事に関しては天空族に分があるようだ。

 しゃーない、あんまり強そうな気配も無いし、迎え撃つか。

 途中でホバリングに切り替えて体を反転させる。

 すると追いついて来た天空族達が、警戒しながら私を囲むように空中に陣取った。

 その中の一人が一歩分前へ出る。

 天空王も美形だったけど、この人もやたら綺麗な顔立ちだ。

 全員が皮で出来たような鎧を着込んでいる中、一人だけ立派な鎧を着けている。

 恐らくこの一団のまとめ役であろうその人が、私を睨みながら問いかける。


「我らが国に無断で近づく貴様は何者だ!?」


 無断でって言われても、許可の取り方とか知らんし。

 地上に窓口とかあるんですかね?


「たまたま空飛んでたら近くを通ってしまっただけですが?」

「嘘をつくなっ!!」


 あー、これは話通じない感じですねぇ。

 ここで殲滅してもいいけど、空中で無力化って難しいんだよね。

 飛べないぐらいまでダメージを与えたら墜落しちゃうし。


 私はまだあんまり飛ぶのに慣れてないから、戦闘に備えて足場を作り、翼を折りたたんだ。

 右腕にはドアを抱えているのでちょっと戦闘がやり辛い。

 飛んでいないのに空中で立っている私を警戒して、全員がやや距離を取った。

 そして何やら銃のようなものを構える。

 え?この世界って銃あるの?


「撃て!」


 号令に従って銃の引き金が引かれた。


「いだだだだだっ!?」


 リスイ姉から教えて貰った魔法に土属性の石礫を飛ばすものがあるけど、その上位版みたいなものが飛んで来た。

 鉛弾じゃなくて、土属性の石を弾丸状に形成して放つ感じかな?

 龍化している私の皮膚を貫通する事は出来なかったので威力はそれほどでもないが、弾速は常人が目で追えない程度に速い。

 私は避けようと思えば避けれるけど、大した魔力も感じ無かったのでちょっと受けてみたら思ったより痛かった。


「バ、バカな……全く効いてないだと!?」

「全く効いてないって?そんな訳ないでしょ。今のは痛かった……痛かったんだぞーっ!!」


 魔闘気を練って足場を蹴る。

 なんかムカついたのでリーダーと思われる天空族の人に思い切り頭突きしてやった。


「ぐはっ!?」


 顔面に頭突きを食らった天空族の人は、飛ぶ力を失ったかのようにふらりと落下を始める。

 その首根っこをがっちり掴んで落下を食い止めた。


「まだやる?私、急いでるから手加減出来ないけど?」


 魔闘気を多めに練って、周囲を取り囲む天空族達を威嚇する。

 ギリギリ気を失わないように調整したお陰で誰も落下はしなかったが、天空族達はガクガクと恐怖で震えてしまい、戦意喪失して武器を取り落とす。

 こらこら、下に人が居たら危ないでしょうが。

 私は素早く飛んで落下する武器を全て回収する。

 代わりに気を失ったリーダーを彼らに渡してやった。


「じゃあ私は行くけど、もう追ってこないでよね」


 唖然と見送る天空族達を置き去りに、私は再び帝国へ向かって飛び立った。

 もちろん拾った銃は全部貰っていく。

 余計な荷物が増えちゃったけど、放置して誰かが暴発させたら危険だし。


 それから暫く飛ぶと、漸く帝国の領土が見えて来た。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] その落下かけた武器(=銃?)たち、リーダーみたいの人に渡したの?それども貰った??
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ