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【完結】毒針クリティカル  作者: ふぁち
第五章『天空編』
202/258

202 指輪

 龍化(?)出来た事を喜んでたら、誰かが部屋のドアをノックした。

 ルールーとレオナさんは修行に向かった筈だけど、何か忘れ物したのかな?


「どうぞ〜」


 入ってくるように促してみたら、やってきたのは帝国の騎士団長。


「失礼しま……うわっ!魔物っ!?」

「私だよ、私」

「え?その声はアイナ様ですか?アイナ様は魔物だったんですか?」

「レディに向かって失礼だよ……。私は獣人とヴァンパイアと東方人と龍族のクォーターなだけだから」

「……ソウナノデスカ」


 あ、目が虚ろになった。

 思考放棄しおったな。


「それで何かあったの?」

「はっ!?そうでした。帝国の反乱軍から返事が来まして」

「早っ!手紙書くって言ってたから数日待つものかと思ってたよ」

「それは『転送リング』という魔導具を使いましたので。暗号を入力すると指輪サイズのリングに入る物だけ転送できるのです。そこに紙を丸めて送ったので、直ぐに返事も来ました」

「へぇ、そんな魔導具があるんだね。でもそれなら通信の魔導具の方が早くない?」

「直接通信できる魔導具はかなり高価ですので……。私の給料ではとても買えません」


 そうなのかぁ。

 科学的には転送の方が高度な技術が必要だから高そうなのに……。

 魔法で2つの物質の空間を共有する方が簡単なのかな?

 基地局も無しに通信するのも大変と言えば大変だろうけど。

 この世界の技術って歪だなぁ……私みたいな中途半端な知識を持つ転生者なんかが、適当に再現した技術なのかも知れない。

 今のところ転生者はぼっちさん、召喚者はタケル君ぐらいしか会ってないけど、他にもいるのかな?


「それでですね、反乱軍のトップがアイナ様に会いたいと言っているのですが」

「ん?何で?」

「連携を取るような動きをするのに信用出来る人物でないと危険であると……」

「あー、まぁそりゃそっか」


 確かに、私が敵に情報を流すような人物だった場合、反乱軍が殲滅される恐れもあるもんね。

 でも会ったぐらいで信用って得られるものかなぁ?

 契約魔法でも使う?

 レントちゃんの時みたいに、私の意思に関係なく契約不履行になるのも怖いんですけど。


「まぁ会うぐらいはいいか。どうせ帝国に行くんだし」

「ありがとうございます。ちょっと癖は強いですが、悪い奴ではないので」

「反乱軍が悪い奴じゃないって事は帝国の方が悪いって事になるけど、帝国の騎士団長としてそれはいいの?」

「それは私としても葛藤するところなんですが、現状がそうでありますから……」


 そりゃ思うところあるだろうね。

 そして騎士団長から反乱軍の本部がある場所の地図と、帝都の城の見取り図を受け取ってすぐに出発する事にした。

 反乱軍と連絡が取れたのなら、人質救出は一刻も早い方がいいからね。

 でも出発する前にマル婆から魔導具を借りないと。


 談話室へ一旦戻り、私が魔導具を貸して欲しい旨を伝えると、マル婆は大きく溜息をついた。


「悪いがこの収納の指輪は貸すわけにはいかん。色々強力な魔導具も入れてあるんで、おいそれと他人に渡せないでな。どこへでも行けるドアだけは貸してやってもいいが、ちゃんと帰る時に回収して来な」


 収納の指輪を借りる事は出来なかった。

 ドアぐらいは持てるけど、結構な荷物になりそうだなぁ。

 念のため私しか開閉出来ないようにして、通れる人員もソフィア王女とタケル君と聖女とユユちゃんだけにしてもらった。


「そういえばマル婆が私の救出をハヤテさんとミカヅチさんに手配してくれたんでしょ?ありがとう」

「……はぁ?何の事か分からん。そもそも、そのハヤテとかミカヅチってのは誰の事言ってんだい?」


 あれ?マル婆が手配してくれたんじゃないの?

 偽名だから分からないって訳じゃなさそうだ。

 そういえばハヤテさんもミカヅチさんも、そんな事一言も言って無かったかも……。

 マル婆が持ってる指輪と同じものをミカヅチさんが持ってたから、マル婆が白銀の人に救出を願い出て、それでハヤテさんとミカヅチさんを派遣してくれたんだと勝手に思ってた。

 他の誰かが動いてくれたのかな?

 白銀の人と顔見知りである師匠だろうか?


「違うならいいや。そのミカヅチさんって人がマル婆と同じ指輪してたから、知り合いかなって思っただけだから」

「同じ指輪をしてたじゃと?これを持ってるのは私以外には一人だけ……」

「とりあえずドア借りてくね〜」


 マル婆が考え込んでしまっていたが、時間が惜しいのでさっさと出発する事にした。


「ねぇぼっちさんえもん。ポケットにこのドア入らないかな?」

「そんな四次元的なもん俺には付いてねぇ」

「ぼっちさんなら時間停止のスキルを魔法で再現出来たんだし、収納の指輪の機能も再現できるでしょ?」

「……まぁ、やってみる価値はあるか」


 ぼっちさんがまた魔法の構築するために引き籠もったので、私が龍化して飛んで行く事にした。

 ドアを抱えて飛ぶ翼の生えた猿の姿は一般人には刺激が強いので、超高高度の地上からは見えない高さで帝国へと向かった。

この物語はファンタジーです。

実在する四次元的なアレとは一切関係ありません。

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― 新着の感想 ―
[一言] 「ドアを抱えて飛ぶ翼の生えた猿の姿」だと、ははは〜 確かに刺激が強いね〜
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