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【完結】毒針クリティカル  作者: ふぁち
第五章『天空編』
200/258

200 疑似体験

 どうやったらパワーアップ出来るか考えてたら、玄関の方に強い気配が降り立った。

 丁度聞きたい事がある人が帰って来たようだ。


「ヴァイスさん、おかえり!」

「アイナ様、ご無事で何よりです。というか、その気配はもしや……?」

「あっ、分かっちゃった?私、龍王になったの」

「そうですよね、無事に帰って来たという事はあいつを倒したって事ですもんね。では新たな龍王様に敬意を払いましょう」


 元龍の女王であるヴァイスさんが恭しく頭を下げる。


「いや龍王っていっても(仮)だから。一年経ったら『龍王の首飾り』はヴァイスさんに返すよ」

「いえ、私は一度退いた身ですから。他の若い龍族に渡して頂きたいです」

「そうは言っても、私は龍族と交流無いからなぁ。ヤスガイアさんぐらいしか……あ、ヤスガイアさん治療しなきゃ」


 帝国の騎士団長だけ治療したけど、他のケガ人を治療して無かった。

 ケガ人を寝かせている部屋へ行くと、ヤスガイアさんがベッドに横たわっていた。

 ルールーとレオナさんは比較的軽傷だったようで、起きて椅子に腰掛けている。

 一応カク爺達が治療してくれたようだけど、私のスキルみたいに一瞬で治せる訳じゃないのでまだ安静にしてもらっている状態だ。


「今すぐ治すね」


 治療薬(毒)を生成して注入すると、3人は直ぐに完治した。

 傷が完治したヤスガイアさんが苦渋の表情を浮かべて頭を下げる。


「アイナ様、申し訳ありません。私の不甲斐なさで人質を取られてしまい……」

「ヤスガイアさんが気に病むことは無いよ。大丈夫、すぐに取り返しに行くから。それにしても龍族のヤスガイアさんを倒すって、よっぽどの手練れがいたんだね。どんな奴だった?」

「妙な仮面を被っていて、何をされたのか全く分かりませんでした。何やら魔導具のような物を使っていましたが、気がつくと迎撃に出た全員が打ちのめされていて……」


 仮面と魔導具ね……。

 今回の襲撃者達の中に例の伯爵がいたらしいし、あの伯爵邸で見た仮面の男かも知れない。

 それにしても龍族にすら気付かせずに一瞬で倒す魔導具なんてあるのね。

 一応警戒しておいた方が良さそうだ。


「アイナ様……」


 ルールーとレオナさんが真剣な面持ちで私に声を掛けて来た。

 あら、これはまたあれか?


「もう一度あの魔力を上げるスキルを使って貰えないでしょうか?」


 やっぱりか。


「アホになってもいいなら」

「え?アホにって……?」

「あのやり方は失敗するとアホになる可能性があるんだよね。しかも同じ事を2回やった人は今のところいないから、どうなるか分からないよ?」


 2人は考え込んでしまった。

 こんな時はぼっちさん頼み。


「ぼっちさんえも〜ん」

「おい、持ち主であるお前が変な呼び方するとそれが武器名として登録されるからやめろ!」

「はいはい。それで九曜達にしたみたいに、彼女達にも何かパワーアップ手段を授けてよ」

「この2人かぁ。普通に魔闘気が使えるようになればいいんじゃね?修行あるのみだろ」

「そこを何かこう、○長老様みたいに能力引き出せないかな?」

「出来るかぁっ!!……いや、出来るかも?」

「おお、さすがぼっちさん!」

「とりあえず俺を棒状にしてあの2人に握らせろ」

「卑猥な発言すると折るよ?」

「ちげぇよ!直接体内の気と魔力を循環させて魔闘気の感覚を疑似体験させるんだよ」


 なんだ、そういう事か。

 性剣の本領発揮したのかと思ったよ。


「ルールーとレオナさんはこれを握って」

「は、はぁ……」


 2人は警戒しながら棒状になったぼっちさんを握った。


「じゃあいくよ!」


 私が魔闘気を発すると、それがぼっちさん経由でルールーとレオナさんに伝わって行き、


「きゃああああっ!!」

「いたたたたたっ!!」


 まるで電気が通る罰ゲームを受けているようにガクガクと悶え始めた。

 暫く続けると、2人とも足腰立たなくなってその場に蹲る。


「今のが魔闘気の感覚だから、それを再現出来るように修行してみて」

「……はい。何となく感覚は分かりました」

「……出来るかどうかは分かりませんが、頑張ってみます」


 力無い返事だけど、大丈夫かな?

 というか、これ以上皆に構ってられないんだった。

 早々にパワーアップして人質救出に向かわないと!


 一先ず気になっていた事をヴァイスさんに聞いてみる。


「それでヴァイスさん。私は『龍王の首飾り』を手に入れたんだけど、あんまりパワーアップしてる感じがしないんだよね。何か力を引き出すコツみたいなものがあるのかな?」

「おそらく無理でしょう。そもそも『龍王の首飾り』は龍族の力を底上げするものですからね。龍族にはそれぞれの強さを示す階位があるのですが、『龍王の首飾り』はその階位を上げる事が出来る『麟器』なのです。元龍王ワルズは自分より下の階位のドラゴンを人質にして『龍王の首飾り』を奪い、それによって私を支配下に置く程にパワーアップしたのです」


 なるほどね。

 じゃあ龍族だけがパワーアップ出来る感じなのか。

 同様に『獣王の腕輪』と『闇王の耳飾り』は、私が獣人でありヴァンパイアでもあるから効果を発揮してくれてるんだろう。

 ん?って事は……

この物語はファンタジーです。

実在する治療薬とは一切関係ありません。

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