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【完結】毒針クリティカル  作者: ふぁち
第五章『天空編』
199/258

199 成長限界

 とりあえず騎士団長を治す為に治療薬(毒)を生成してあげた。


「す、凄いな……普通の治療薬ではこんなに劇的に治らないものだが」


 騎士団長が驚いて自分の体の各所を触って確かめている。

 私の毒はファンタジー毒だから魔力さえ込めれば回復速度も自在だからね。


「それで協力ってのは?申し訳ないですけど、襲撃時に顔を見られてるあなたを連れて行く事はできませんよ。味方を連れてきたと思われたら困るし」

「もちろんついて行くような事はしません。帝国に関する情報を教えるだけです。人質のいる場所が分からないと困りますよね?」


 確かに人質救出の為に、捕らわれている場所の間取り等は知っておきたい。


「おそらく人質は帝都の城の地下牢に入れられてると思います。そこまでの地図を書いてお渡しします」


 地下牢か……救出困難な場所だなぁ。

 そりゃ警備の面からも地下の方がやりやすいだろうからね。

 行きは隠密の術でいいけど、地上に出ないと人質を運べないのか。

 いや、その場所まで行ければあとは何とかなるかも?


「あと、帝国の各所には組織された反乱軍もあります。そこに話が通れば連動して騒ぎを起こしてくれるかもしれません」

「うーん、それって人質に影響ない?」

「この家の人と関係ない者達が動くのですから問題ないかと。地方でだけ動いてもらえば、城が手薄になるでしょう」


 なるほど。

 でもタイミング次第で疑われそうだから、決行時間を慎重に決めないとだね。


「わかったよ。動くタイミングは教えてもらってね」

「はい」


 早速騎士団長は手紙を書くべく談話室を出て、自分が今間借りしている部屋へ戻って行った。

 それにしても、反乱軍とか流行ってるのかな?

 つい最近王国でも反乱があったばかりだし。

 もっとも王国のは現体制に不満とかじゃなくて、乗っ取りの側面が強いけどね。

 帝国のトップがどんな人か知らないけど、人質とるような奴だし、反乱軍に味方して殲滅してもいいかも知れない。


 騎士団長との話を終えたところで、カク爺がエロジジイとは思えない真剣な面持ちで問う。


「アイナよ、本当に一人で行く気か?」

「うん。人質取られてるし、そうするしかないでしょ。大丈夫、無茶はしないから」

「お前さんの無茶しない程信用できん言葉はないのぅ」


 いや私はいつも無茶する気は無いんだよ?

 たまたまいつも無茶せざるを得ない状況になるだけで。

 でも、いつもそんな事になってたらいつか失敗してしまうかも知れない。

 そうならない為にも、更なる力が必要か。

 力こそパワーって偉い人も言ってたし。


「お嬢……」


 九曜と叢雲と吹雪が思い詰めた顔で私の前に並ぶ。


「俺達もレント嬢ちゃんにやったように強化してくれないか?」

「儂らの今の力では主殿について行く事すらできんでの」

「異空間で修行しましたが、私達はもう成長限界のようで……主殿のスキルに縋るしか無いのです」


 今回の襲撃を受けて、九曜達は自分達の力を信じられなくなったようだ。

 私が見る限りまだまだ成長の余地はあると思うけどね。

 外的要因による急激な成長は歪な強さしか生み出さない。

 ちゃんと修行して得た力じゃないと使いこなせないし、逆に過信による危機を呼び込んでしまう事にもなりかねない。

 九曜達は既にかなりの達人だし、ちゃんと修行して武を極めていくのがいいと思うんだけどなぁ。

 でも時がそれを待ってくれるとも限らないか……。

 今力が必要なのであれば、多少歪でも強くなっておきたいだろうし。

 しょうがないか……と思ったら、ぼっちさんが会話に割って入る。


「お前ら、まだ成長の余地あるぞ。この妖術使ってみ?」


 ぼっちさんが何やら新たに構築したらしい妖術を見せる。

 何でぼっちさん妖術使えるのよ?

 伝説の武器だから?

 ぼっちさんまだ謎な部分があるなぁ。


「なんだこの妖術……見た事無い印で構成されてるが?」

「こいつはアイナの使う妖魔闘気の構造を元に構築した『妖闘気』を使えるようにする妖術だ。まぁ勇者が使う魔闘気に近いものを妖術で再現したんだよ。これを使いこなせるようになれば、アイナの変な毒を受け入れなくても強くなれる筈だ」


 おいぼっちさん、変な毒って何よ!?

 確かに失敗したらアホになる可能性があるヤバい代物だけど。


「『妖闘気』……俺達妖術を使う者には勇者の魔闘気は使えないと思ってたのに。これがあれば俺達は強くなれるのか?」

「使いこなせればって言っただろ。使えただけじゃダメだから、ちゃんと修行しろよ」

「ありがとう、ぼっちさん!」

「感謝するわい」

「ありがとう」


 九曜達に感謝されて、ぼっちさんのドヤ顔が見えるようだ。

 武器だから表情とか分からないけど。

 毒で無理矢理強くするよりはいいよね、きっと。


 さて、九曜達の顔に覇気が戻った事だし、私もパワーアップする為に何かしないとね。

 人質達の安否が気になるから、あまり時間は掛けられないけど。

この物語はファンタジーです。

実在する治療薬とは一切関係ありません。

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