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【完結】毒針クリティカル  作者: ふぁち
第四章『円卓編』
185/258

185 多数決

 決を取るとは言っても、挙手で端的には取れないのよね。

 間で揺れ動いてる人もいるようなので、意を決した人から順に賛成か反対かを答えてもらう事に。

 最初に発言したのはジっちゃんだった。


「アイナよ、すまんが儂ゃ反対じゃ。レイアが正式に後継者となったばかりで世界が荒れるのは望ましくないでな」


 予想通りの答えだね。

 次いでキャサリン姉とリスイ姉がほぼ同時に答えた。


「あたしは当然反対よ。理由は世界の均衡を大きく変えない為よ」

「私も反対。世界の均衡が大事」


 早くも反対3になってしまった。

 しかし予想外にカク爺とマル婆が長考している。

 事前に話してあったんだし、即決してくれるものとばかり思っていた。

 いや、逆に円卓の解体を提案する理由も言ってあったから、時間が有ったばかりに考えがブレてしまったのかも知れない。

 勇者側の残る一人ライズさんはニコニコと微笑んだまま成り行きを待っているかのように発言は控えていた。

 ちゃんと考えてるんでしょうね……?


 そして魔王側。

 早々に口を開いたのはやはり魔導王。


「賛成だ。そもそも俺にとっては円卓など煩わしいだけだからな。さっさと解体して欲しいと思っている」


 解体前から自由に動き回ってたんだから当然だよね。

 次いで龍王が吠える。


「賛成に決まっている!!解体を提案した事を後悔させてやるぞ、小娘っ!!」


 あーはいはい。

 後でちゃんと相手したげるよー。

 一人やたら盛り上がってる奴がいると周りって冷めちゃうものよねー。

 それにしてもこいつ理解わかってるのかな?

 円卓を解体したら自分を守ってくれる盟約が無くなるって事を。

 円卓の盟約は実は魔王を守っているものでもある。

 勇者が全員結託して一人の魔王に襲いかかったら、いかに種族の力を結集しようとも勝てないだろう。

 それは実は私自身にも言えるんだけど、キャサリン姉とリスイ姉は少なくとも敵対しないと信じてるから、今回の解体を提案出来たんだ。

 でも龍王の味方をしてくれる勇者なんているのかな?

 龍の嘆きで世界を混乱に陥れているんだから、討伐されても文句言えないんだし。

 もっとも龍王は、勇者には手出しさせずに私が一人でぶっ飛ばす予定だけどね。


 そして次に天空王が意外な事を言い出す。


「本来であれば私が円卓の解体を提案しようと思っていたのだがな。まさか新参者の魔王が言い出すとは思わなかった。もちろん賛成だ」


 笑顔ではあるが目の奥は笑ってない。

 天使のような外見だけど、中身はどうなんだろうね。

 ひとまずこの場で敵対してないだけマシか。

 でも何か近い将来対立しそうな予感はする。

 気のせいであってほしいけど……。


 ここまで魔王達の賛成が3となった。


 しばし沈黙が漂う。

 不死王とライズさんはこの場を楽しんでいるようにも見える。

 まぁはっきり言ってこの2人の票次第だと思うんだよね。

 と考えてる間にどうするか決めたカク爺が顔を上げる。


「すまんがやはり反対じゃ。立場上賛成は出来んわい」


 それに続くようにマル婆も目を開く。


「私も反対だね。混沌を招く事に賛成はできないよ。でも尻拭いはしてやるから安心しな」


 やはりカク爺とマル婆は反対か。

 まぁ勇者の立場としては当然なんだけど、考えてくれただけありがたいよ。


 さて、カタカタと顎の骨を鳴らす不死王とニヤニヤといやらしい笑みを浮かべてこちらを見ているライズさんは、私の反応を見てからという雰囲気だし、私の番かな。


「もちろん提案した私は賛成だよ。ちなみに私は麟器を2つ持ってるんだけど2票分って事でいいのかな?」


 周囲を見回して訪ねるが、これには特に反対意見も無さそうだ。


「当然だろう。我は元獣王としてアイナの票を支持する」

「あ、ずるいぞっ!妾も!妾も元闇王としてアイナの票を支持するぞっ!!」


 何故かこのタイミングで姿を現す師匠とミミィ。

 ずっと出るタイミングを見計らってたけど、こんなどうでもいいタイミングで出て良かったの?

 一部の人、龍王とか天空王ぐらいしか驚いてないよ?

 っていうか、興味無さそうな人が多すぎるのか。

 麟器を持ってないと魔王としての存在感みたいなものが薄れるのかな?

 ライズさんだけ腹抱えて笑ってるし、一応ドッキリ成功かも知れんけど。


 これで賛成5反対5になって最も変な奴らに判断は委ねられた。

 大丈夫か、この会議?


 そして顎骨カクカク言わせてた不死王が急に雰囲気を変えた。


「我が意見によって世界が変わるか。魔王冥利に尽きるでや。では反対……ってのはうそだんべぇ」


 う、うざい……。


「ケケケ、お前は顔にすぐ出て面白いねや。もうちっとからかっていたいが、あんまり怒らすと後が怖そうじゃて。では賛成って事でよろしゅう」


 どこの方言なのかよく分からない喋り方するなぁ。

 とりあえず賛成してくれたし、これで賛成6となった。


 でも同率の場合は却下されちゃうのかな?

 多数決する時に偶数だと揉めるよね。

 ライズさんは仮にも勇者だから賛成はしないと思うし、同票では何らかの交渉を勇者側としなければならないか……と覚悟してたんだけど、


「あ、俺も賛成〜」


 軽い口調でチャラ男勇者ライズさんが魔王側に迎合してきた!?

 あ、勇者達が殺気立ってるよ……。

 大丈夫か、チャラ男?

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