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【完結】毒針クリティカル  作者: ふぁち
第四章『円卓編』
183/258

183 闇王

「こう次々におかしな薬を使う者が出てこられては敵わんな。まったくどこのバカが流しておるのか」


 カク爺のぼやきに龍王がピクリと反応する。

 こっちの犯人も分かりやす過ぎるんですけど?

 あれれ〜?って言っちゃってもいいかなぁ?

 一方、薬を使って青いドラゴンっぽいものに変化した奴は、


「オオオオオっ!漲るっ!力が漲ってくるぞおおぉっ!!」


 もうヴァンパイアの面影は全く無くなっている。

 えっと、名前は何だっけ?

 確かロバー……ロバでいいや。


「で、麟器は?」

「そんなものは必要無いっ!!魔王に匹敵する力を手に入れたのだから、俺が闇王だっ!!」


 強さだけならレントちゃんの方が間違い無く魔王だよ。

 でも魔王の定義としては麟器が必要って魔導王が言ってたでしょ。


「えーでも、闇王はこの『闇王の耳飾り』を持ってるのが条件でしょう?」


 髪をかき上げ、耳に輝く緑の耳飾りを見せつけた。

 それを見たロバは驚愕に目を見開き、他の魔王達も私が2つの麟器を持っている事を知り顔色を変える。

 いや、龍王だけは知ってたみたいで、忌々しげに私を睨んでくるだけだった。


「お、お前が持っていたのか!?それは私のモノだぁっ!!」

「必要無いって言ってたくせに。そもそもあんたのモノじゃないでしょ。これはいずれミミィに返すんだから」

「それをよこせえええっ!!」


 聞く耳持たずロバが私に向かって手を伸ばす。

 けっこう速い!?

 私は即座に魔闘気を練って、体を捻りながらその手を叩いて逸らした。

 ほんのそれだけの手合いでしかなかったのに、ロバは踏鞴たたらを踏んでよろめいた。

 あれ?そんな隙を晒したら……、


「ほいっと!」

「ぶべっ!」


 顔面に裏拳を入れるとロバは簡単にひっくり返ってしまう。

 ロバの魔力は増大してるし龍の鱗で固くなってる。

 でも動きが全然素人みたいだ。

 体は強いのに実戦経験が足りなすぎて、これなら王城で闘ったバズとクレグの方が手強かったかも。

 ミミィがそんなに強くないって言ってたけど、『龍の嘆き』を使ってるのにここまで弱いなんて……このまま魔闘気で応戦するとオーバーキルで殺しちゃいそうだなぁ。


「き、貴様っ、よくもやったなぁっ!!」


 ロバは体内の魔力を全力で放出した。

 確かに魔力による威圧は凄い。

 だけど所詮薬で手に入れた偽物の力だね。

 私は魔闘気を全力で練ってロバにぶつけた。


「ひぃっ!?な、何なんだお前はぁっ!?」


 おや、さすがに気絶はしなかったか。

 でも自称魔王がガクブルと震え始めちゃったよ。

 全身青くて分からないけど、青ざめてるのかな?


「私は獣王(仮)兼闇王(仮)よ」


 言うと同時にロバの懐に潜り込む。

 私を見失ったロバはキョロキョロと辺りを見回していた。

 ホント闘いは素人なんだなぁ……相手の気や魔力すら探れないなんて。

 でも手加減はしない。

 ロバの体のクリティカルポイントに的確に毒を打ち込んでいくと、直ぐに変化は現れ始める。

 ゴツゴツした鱗は青白い皮膚へと戻り、顔も元のヴァンパイアに変わっていく。


「う……あ、ああ……」


 絶望の表情でその場に崩れ落ちたヴァンパイアを、マル婆が魔導具で拘束した。


「さて、会議の間は大人しくしててもらうよ」


 そう、ここは会議の場なのである。

 何度も戦闘が起こってるのはおかしいのだ。

 当初の予定では戦闘は最後に一回だけのはずだったのになぁ……。

 ジャネスとロバという予定外の奴らが参加していたせいだ。

 それもこれも、歪んだ欲望を持つ者に薬を渡してる奴がいるのが問題なのよ。

 漸く、その一番の問題を解決する時が来たかな。


「えー、あそこに転がってる2人が使った薬、世間では『龍の嘆き』と呼ばれています。今見た通りろくでもない薬なんですが、その材料にはどうやら『龍の肝』が使われているようなのです。この事について龍族を束ねる龍王にお聞きしたい。どのようにお考えかと」


 私の問いに即答はせず、目を閉じて何か考える素振りをする龍王。

 暫しの長考……おいこら、寝てんじゃないよね?

 ようやく僅かに口元が動くと、


「……義憤を感じるな」

「ですよねぇ。なら何故、肝を奪われそうになってる同族を助けに行かなかったのですか?あなたのスキルなら龍種の行動は全て見えているはず」

「なっ、何故それをっ!?……はっ!」


 龍王は思い当たったようで、苦虫を噛み潰したような顔になる。


「もちろん私が教えました」


 絶妙なタイミングで姿を現したヴァイスさんに、全員の視線が集まった。


「やはり、お前か……」


 龍王が睨み付けるも、ヴァイスさんは涼しい顔のままだ。

 そりゃそうよね。

 修行によって現龍王よりも前龍の女王であるヴァイスさんの方が遙かに強くなってるし。


『くっ、一抜けしたか』

『次こそは妾が姿を現す番だっ!』


 元魔王共、あんたら何の順番争ってんのよ?

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