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【完結】毒針クリティカル  作者: ふぁち
第四章『円卓編』
179/258

179 嫉妬

 薬かぁ……。

 まぁいつものパターンだろうと成り行きを見守る。


 ジャネスは懐から取り出した薬を飲み込むと虚ろな目でこちらを睨む。

 錠剤を水無しで飲むと喉に引っかかる感じがするのって私だけかな?

 などとどうでもいい事を考えられるぐらい怖くないんですけど?


「『狂戦士化バーサーカー』っ!!」


 ジャネスは薬を飲んですぐにスキルを発動した。

 大体考えてる事は分かるよ。

 薬によるパワーアップ×スキルによるパワーアップで俺最強!をやりたいんだよね、きっと。


「薬によるパワーアップとスキルによるパワーアップで俺は最強になるっ!!」


 まんま言いやがった……。


「ふははははっ!!凄いぞっ!!狂戦士化しても自我を保っていられるっ!!流石『龍の嘆き』……んおっ!?なんだこのピンク色の体はっ!?」


 今までは狂戦士化したら緑色の体になってたのが、可愛らしいピンク色へと変化した事に戸惑っているようだ。


「ちっ……薬の副作用か?力を得た代償ならば仕方ねぇ」


 ごめん、それ力の代償じゃなくて私の八つ当たり。

 あと自我を保っていられるのも私がやった。

 いちいち自我を失うと元に戻すのが面倒だから、毒に自我を失わせない副作用を付与しておいたんだよね。

 更にジャネスには保険としてもう一つ毒を打ち込んであるんだけど、それはしばらく泳がせてから種明かししようかな。


「ジャネス……やっぱり私の両親を陥れたんだね」

「そうだよ。あいつらがダンジョンへ行くという話を聞いて後をつけた。深層で転移の魔導具を使えば、より深い階層に転移させる事ができるからな。100階層で使ってやったから200階層相当の場所に送ってやる事が出来たぜ。いかにあいつらが強かろうと、たった2人で200階層を突破できる筈が無い。あぁそれと、お前を王国の伯爵に売り渡したのも俺だ。両親が居なくなって一人は寂しかろうと思ってな。俺も懐が潤ったしWin-Winだよな」


 こっちは全然Winじゃなかったわ。

 寧ろ一人の方が良かったまであるし。


「ほぼ予想通りだけど、何でそこまでする必要があったの?」

「ただお前の両親が気に入らなかっただけだ。俺のスキルは暴走するタイプだから使いどころが難しい。それに対してあいつらはいつも華々しい活躍を魅せていた。同じパーティにいた時から嫉妬していたんだよ。それでも一応仲間だと言ってくれてたから仲良くはしてたがな。しかし、あいつらが勇者の弟子になったと聞いた時、俺の心の闇は堰を切ったように溢れ乱れた。殺してでもその場所が欲しくなったんだ。まぁ俺の中の闇は勇者様には簡単に見抜かれてたみたいだけどな。だが、それももう関係ねぇ。この力さえあれば勇者だろうが魔王だろうが恐るるに足らずっ!!」


 力強く握った拳がギリリと音を発した。

 ふむ、大体聞きたい事は聞けたかな?

 長々と語ってくれたけど終幕と致しましょうか。


「力を手に入れたって言うけど、レントちゃんから見てどう?」

「え?私ですか?……あのぉ、言いにくいですけど色が変わっただけで、さっきと何が違うのか分からないです」

「ふん、小娘が。『龍の嘆き』でパワーアップした俺様の力を理解出来ないとはな」

「いやいや、レントちゃんが正解だから。あんた全然パワーアップしてないよ」

「はあ?そんな訳が……」


 違和感を感じ取ったのか自分の体を確認し始めるジャネス。

 ようやく気付いたかな?

 じゃあ種明かししてあげよう。


「ちなみに今パワーアップしたと感じてるのは『狂戦士化』した時に自我を保てるようになったからだよ。今まで無意識に奮っていた力を感じれるようになっただけ」

「な、何を言ってる!?『龍の嘆き』のパワーアップとはその程度だとでも言いたいのか!?」

「違う違う、自我を保てるようになったのとピンクになってるのは私がやったんだよ」

「はぁっ!?」

「あとジャネスの体は『龍の嘆き』の効果が出ないようにしてあるから」

「い、意味が分からねぇっ!!」


 ジャネスに打ち込んだ毒は3種類。

 狂戦士化した時にピンク色になる毒。

 狂戦士化した時に自我を保つ毒。

 龍の嘆きが効果を発揮しない毒。

 ちなみにこれらは後遺症として残るように魔力を目一杯込めてある。

 どうも三下感が強くて怪しい動きをしてる奴が『龍の嘆き』を使う傾向にあるから、ジャネスには予め毒を打ち込んでおいたんだよ。

 予防は大事だよね。

 あの自称闇王のヴァンパイアも『龍の嘆き』を持ってそうだから、ついでに毒を打ち込んどきたいんだけどまだちょっとチャンスが無い。


「嘘だ!お前は嘘を言ってる!俺は『龍の嘆き』によってパワーアップしたんだっ!!」


 私は真実の宝玉を目の前に翳す。


「私が今言った事は嘘じゃないよ」


 真実の宝玉は沈黙したままジャネスの希望を打ち砕いてくれた。


「う、嘘じゃないだと……?俺は何も変わってないのか……」

「さて、何か言い残す事はある?」

「くっ、こんなところで終わってたまるかあああああぁっ!!」


 自暴自棄気味になったジャネスは、ピンクの体に力を込め始めた。

この物語はファンタジーです。

実在する狂戦士化した時にピンク色になる毒及び狂戦士化した時に自我を保つ毒及び龍の嘆きが効果を発揮しない毒とは一切関係ありません。

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