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【完結】毒針クリティカル  作者: ふぁち
第四章『円卓編』
173/258

173 魔王達

 円卓の方へ向かってみれば、既に何人か席に座っている。


 金髪金眼で背中に翼が生えた人は顔立ちがめちゃくちゃ綺麗で、どうみても天使。

 あれで魔王なのかな?

 そもそも魔王の定義って何?

 前世の知識では悪行をする者とか魔族の王とかが魔王って呼ばれてたけど。

 私の場合はなんか貴重な魔導具を持ってるせいで魔王認定されてしまったんだよね。

 あの人も何か魔導具を持ってるのかな?


 その隣に座るのは対照的に、不気味な黒いローブを纏って頭までフードを被っていていかにも魔王っぽい。

 そこから除く顔はどう見ても髑髏なので、おそらくアンデッドだと思われる。

 アンデッドの王が闇王なんだと思ってたけど、それとは別に不死王ってのがいるらしいから、たぶんあれがそうかな。

 闇と不死の違いがよく分からん……。


 更に隣には無骨な体格の男が座っている。

 人族に近い姿だが、体の各所に見える鱗と私を睨む視線で分かった。

 あれが龍王ね。

 金色の瞳が私への敵意をありありと示していた。

 今すぐぶっ飛ばすと円卓の盟約とやらで面倒な事になるらしいので、とりあえずまだ我慢だ。


 そしてその隣の椅子に、先程のヴァンパイアの男が腰を下ろした。

 あれ?あの人魔王なの?

 闇王国に居た人だから闇王?

 でも闇王の耳飾りは私が付けてるよ?

 どゆこと?


 まぁあの人が4人目の魔王だとしても、私を含めて5人だからあと1人。

 と、突然この円卓の部屋への入口が開き、一人の男が入室して来た。

 ロン毛だけど、勇者の一人であるライズさんとは違ってチャラくない。

 むしろクールな雰囲気を出している無表情な人だった。

 リスイ姉も無表情で一見クールに見えるけど、実は悪戯好きで分かりにくいだけで表情は豊かだ。

 それとは違ってそのロン毛は本当に冷たい感じのクールな表情をしていた。

 キャサリン姉とリスイ姉はその男に鋭い視線を向けている。

 あれが魔導王か……。


 魔導王が席に着いた事で、勇者6人と魔王5人が円卓を囲んだ形になる。

 私は最後の一人として席へと向かった。


 ちなみに師匠とミミィとヴァイスさんは態々気配を消してついて来ている。

 カク爺とマル婆は呆れてたけど、まぁちょっとしたサプライズよ。

 さて、師匠達が姿を消しているので、それぞれの席の後ろに立つ従者の数も少ない。

 キャサリン姉とリスイ姉は誰も連れて来なかったので、勇者側はレイアさんとレントちゃんとジャネスの3人。

 実際はヴァイスさんもいるので4人だ。

 魔王側は、天使魔王の後ろに美人の天使が一人立ってるだけ。

 龍王は私による支配の解放を警戒して一人で来てるんだろう。

 他の人は別に一人でもどうという事は無いと言った顔をして座ってた。

 いや、なんか闇王の席に座ってるヴァンパイアの男は少々心細そうだけど、一緒に来てくれる友達居なかったの?

 あとは私の後ろに師匠とミミィがいるけど、それでも3人だ。

 やばい、勇者に従者の数で負けてる!……ってどうでもいい事を思って席についた。

 するとヴァンパイアの男が私に文句を付けてくる。


「おい貴様、そこは魔王の席だぞ!従者は立っているものだ!」


 いや、あんたがそれ言うの?

 どうしてくれようかと思ったら、今ほど入ってきたクールロン毛の魔導王がぼそっと呟いた。


「彼我の実力差が分からないお前の方が魔王かどうか怪しいが。そもそもお前は誰だ?」


 雰囲気的に私を庇ってくれてる訳じゃなくて、本当にヴァンパイアの男が誰か知らないから聞いてるみたい。

 私もあの男については何も知らんから、聞いてみたかったのよね。


「我が名はロバール!今代の闇王だ!!」


 それを聞いた魔王達の反応は様々。

 天使は無関心。

 髑髏はケタケタ笑ってる。

 ロン毛は目を細めてバカにしているみたい。

 龍王は……微妙な表情。なんて言うか、やらかした味方を見てるみたいな顔してる。何で?

 私は名前もよく知らなかったので、ほーんって感じで聞いてた。

 一応ミミィにあいつについて念話で確認しとく。


『ミミィはあの自称闇王について何か知ってる?』

『妾の側近だった男じゃが……闇王を名乗れる程強くは無かった筈じゃ。以前従者として円卓に連れて来た時は扉に弾かれた程弱かったし。今回扉を通れただけでも驚きじゃ』

『じゃあ、どうしよっか?』

『とりあえず闇王の耳飾りは見せないようにしておけ。その方が面白そうじゃし』


 闇王の耳飾りは私の髪で隠れているので、あえて見せない限り着けているのも分からない。

 闇王である事を言えないなら、私は獣王って事にしようか。

 私は袖をまくって獣王の腕輪をロバールに見せつけるように翳した。


「私はアイナ。獣王だよ。文句ある?」


 ついでにしっぽもフリフリして若干挑発する。


「な、何だとっ!?」


 ところが驚いているのはロバールだけで、他の魔王はそれとなく気付いていたようだ。

 さすが本物の魔王・・・・・ともなると、私が気を抑えていてもそれなりに実力が看破されちゃうか。

 ロバールは納得いかない顔ながらも、これ以上文句を言ってもしょうがないと気付いたのか、渋々ながらも席に戻った。

 ふと勇者の一人であるライズさんの方を見ると、面白い玩具を見つけた少年のような瞳で私の方を楽しそうに眺めていた。

 あの人がどんな人か知らないけど、なんかヤバい人に目を付けられた感じがして背筋が寒くなった……。

 一先ず全員が席について、その後ろに従者が立った事で円卓の会議の場が整った。

 魔王側の人達の年齢は定かじゃないけど、一番外見が年長っぽいカク爺が音頭をとるようだ。


「さて、これより円卓の会議を開始する、と言いたいところじゃが……」


 ん?会議始めないの?


「魔王達には悪いが、先に勇者側の問題を解決させてほしい」


 そう言ってカク爺はジャネスの方へ視線を向けた。

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