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【完結】毒針クリティカル  作者: ふぁち
第四章『円卓編』
158/258

158 それぞれが求めるもの

 皆で館の談話室へと集まり、これからどうするかを話す事になった。


「国同士の揉め事なんて話し合いで解決するのが一番だと思うけどね。あれ?でも裏取引で成立してるからある意味話し合いで解決出来てる?」

「それ解決出来てないだろ。悪さしてる奴が得するだけだし」


 私の言葉に九曜が反論した。

 まぁそうよね。

 特に王国のバカ貴族共が得してんのはちょっと許せない。


「一度殲滅するしか無いだろうな」

「師匠、発想が物騒すぎ……。でも、他の方法って言われると分からないけど」


 一個人である私がどうにかできる問題じゃないと思う。


「そもそも我は帝国はぶっ潰したいと思ってたんじゃ。以前は獣王という縛りがあったから人族の国に攻め込む事は出来なかったが、今は一人の獣人でしかないからの」


 一騎当千だけどね。

 とそこで師匠に、焦って声をかけるタケル君。


「ま、待ってください!帝国には僕に優しくしてくれた人達もいるんです」

「なんじゃ小童。帝国が獣人国に攻め入ってる事を知らぬとは言わせぬぞ」

「そ、それは……」


 気持ちは分からなくもない。

 そこで生活していたタケル君にとっては、帝国と一括りに出来ないだろうし。


「じゃあタケル君はどうしたいの?」

「僕は帝国が戦争をする事自体を止めたい。でも、僕にはそんな力は無いから……」


 私の問いに尻すぼみになってしまった。

 それを見ていた師匠はガバッと立ち上がると、


「ええい、見ててイライラするわ!来いっ!あの空間で我が鍛え直してやるっ!!」


 タケル君の襟首を掴むと、引き摺るように部屋を出て行った。

 それを見ていたレントちゃんが、


「はわわわっ!あんなボンキュッボンの女性と二人きりなんて、タケル様の貞操の危機ですっ!わ、私も行きますぅ!」


 タケル君達を追いかけて行ってしまった。

 私は何も見なかった事にした。


「とりあえず、マル婆も監督役として行ってあげて欲しいんだけど」

「しょうがないのぅ。あと一人はどうしようかの」

「私がご一緒します」


 なんとソフィア王女が手を上げた。

 一国の王女が修行とかして大丈夫なの?

 今は隠れ住んでる状態だから特に咎める者もいないけども。


「殿下、お一人で行かれるのは危険です!私もお供します!」


 咎める人いた。

 レオナさんが止めに入って来たが、ソフィア王女は首を横に振る。


「残念ながら定員オーバーですよ。大丈夫、魔物が出るという事は無いそうですから。それに王国が危機的状況にある今、私自身が強い力を身に付ける必要があるのです」

「しかし……」


 真面目なレオナさんは心配そうに見つめる。


「ごめんね、レオナ。でもこれは王位を継ぐ者として通らなければならない道なのです」

「……承知しました。お気を付けて」


 渋々王女を見送るレオナさんだけど、修行が数百日に及んでもたぶん明日には帰ってくるからね。

 待ってる方としては拍子抜けするんじゃないかな?

 ひとまず第2弾修行メンバーは、師匠(2回目)、タケル君、レントちゃん、マル婆、ソフィア王女に決定した。

 すると今度はミミィがモジモジしながらすり寄って来た。


「なぁアイナ。妾、新しい必殺技である『暗黒爆裂掌』を撃ちたい衝動に駆られとるんじゃが、どこか爆裂させるのにいい場所は無いか?」

「あれを撃つ場所かぁ……さすがにこの森で撃ったら自然破壊がヤバい事になりそうだし、異空間以外で撃てる場所なんてあるかなぁ?」

「聖属性の力場なら多少減衰するから、どっかの聖域ならぶっ放しても大丈夫じゃろ」


 闇属性の技だから聖属性の力場では減衰するのか。


「聖域なんてどこにあるんだろ?」

「聖域なら教皇国にあるけど……」


 めずらしく聖女がこちらの会話に加わって来た。


「そこって『暗黒爆裂掌』をぶっ放しても大丈夫なの?」

「その変な名前の技は知らないけど、普通に聖域で攻撃魔法の類いを使ったら捕まるわね。そもそも攻撃的な技なんて発動すら出来ないと思う」

「変な名前って言うな!一生懸命考えたのじゃ!よーし、その聖域でぶっ放してくるどー!!」


 ミミィに変なスイッチが入ってしまった。

 私は再び見なかった事にした。


「さて、じゃあ私は例の侯爵と大剣使いのスキルをぶっ壊しに行こうかな」

「ま、待てアイナ。儂もついていくぞ。……というかついて行きたいから、もうちょっと休ませてくれ」

「別について来なくても大丈夫だよ。私もう魔力の枯渇で倒れる事は無いと思うし」

「強さの問題じゃない。お前さん、絶対何かやらかしそうじゃから」


 九曜と叢雲と吹雪も、カク爺に同意すると言わんばかりに頷いていた。

 解せぬ!!

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