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【完結】毒針クリティカル  作者: ふぁち
第一章『逃亡編』
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015 ライオン

「ああああああっ!頭いだあっ!!」


 ライオンは前足で頭を押さえて蹲った。

 その片方の前足には装飾の施された腕輪が付いている。

 明らかな人工物を身につけてるって、飼いライオンなのかな?

 あと、声は女性なのにたてがみがあるって、この世界のライオンってそうなの?

 喋るし二日酔いだし、なんか人間臭いライオンだなぁ……。

 とりあえず喋れるんなら、なんとか交渉の余地があるかも知れない。

 私は皿(毒)を生成して、そこに水(毒)を入れて差し出した。

 体の7割が水だとしても飲み過ぎたら体に毒なのだから、水だって生成できちゃうのよ。(個人の見解です)


「お水飲みます?」


 頭を押さえたまま視線だけを私に向けるライオン。


「……毒じゃあるまいな?」


 毒ですけど!?


「ソ、ソンナワケナイジャナイデスカ……」

「ふん、どうせ人族程度が作った毒なんぞ我には効かんがな」


 神様がくれたスキルで作った毒だから効いちゃうかもね?

 ペロペロと舌で水をすくうように飲んでる。

 ライオンが水飲むとことか初めて見たけど、猫とほぼ一緒なのね。

 そう思うとちょっと可愛く見えてくる。


「むむ?何故か二日酔いが軽くなったような……?」


 水(毒)に二日酔いを回復する効果もイメージしたからね。

 ライオンにも効いて良かったよ。

 そして私の毒がライオンにも効く事が証明されてしまったね。

 では、交渉と行きましょうか。


「今の水には特殊な毒が盛ってあります」

「なあっ!?き、貴様あぁっ!謀ったなぁっ!!」


 スキルで作った特殊な毒だし、嘘は言ってない。

 ってか毒効かないとかイキってたのになんで急に青ざめてんの?


「その毒を解毒できるのは私だけです」

「くっころ!」


 どこでそんな言葉覚えたのよ?

 いや、別にいやらしい事しようとしてる訳じゃないんだけど……。


「とりあえず私を食べないでください」

「ん?別に食おうとなんてしてないぞ?」

「それは良かった。ではもう一つ」

「……な、なんだ?」

「帝国へ行く道を教えてください」

「帝国……だと……?」


 ん?どうしたんだろう?

 急に雰囲気が変わったけど、私何か変な事言った?


「貴様、帝国の人間だったのかああああああああっ!!」


 ななな、何っ!?何で急に怒りだしたの!?

 ライオンの目が赤くなって、体も何故か徐々に大きくなっていってる。

 5mぐらいにまで巨大化したライオンは体が黄金色に輝いた。

 何かもう交渉の余地無しって感じなんだけど、何故にっ!?

 急ぎ針を出して臨戦態勢をとるも、勝てる気は全くしない。

 やばいな、動きを封じるために本当に毒を盛っておくべきだったか?

 いや、敵対しないためにもそれはダメだ。


「ちょっと待ってっ!私は帝国の人間じゃな……」

「だまれっ!帝国に行くならこれから帝国兵になる可能性がある!今のうちに潰しておくっ!!」


 ダメだ、話を聞いてくれないっ!

 ライオンは巨体とは思えない素早い動きで、爪を伸ばした前足を振り下ろした。


——避けきれない!


 ほとんど身を強ばらせるしか出来なかったが、数秒しても一向に衝撃は来なかった。

 不思議に思い閉じかけていた目をライオンに向けると——空中で白い何かがライオンの前足を受け止めていた。

 よく見るとそれは白銀の鎧と白く輝くマントを纏った、全てが清廉な印象を与える人だった。

 兜はフルフェイスなので顔は確認できないが、僅かに見える髪の色も白銀。

 空中で止まっているのは何かのスキルだろうか?

 それにしても、私とそう変わらない体躯であの大きなライオンの腕を受け止めているって、どれほどの膂力なんだろうか?


「今の君には荷が重いだろう。ここは私に任せてくれ」


 声は若い女性のようだった。

この物語はファンタジーです。

実在する皿及び水とは一切関係ありません。

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