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【完結】毒針クリティカル  作者: ふぁち
第三章『学園編』
141/258

141 突入

「どうせ殲滅するんじゃから、もうコソコソする必要も無いろうて」


 まぁ確かに師匠の言う通りなんですけども。

 でも騒ぎが起こると、主犯格に逃げられちゃうかも知れない。

 この世界には転移の魔導具って言う一瞬で長距離を移動できる厄介な物があるんだからね。

 私は逃げられないように、地下にいる人のクリティカルポイントを追い続ける。

 戦闘は、戦闘がしたい人達にお任せだ。


「ヒャッ○ー!」

「○物は消臭じゃー!」


 師匠とミミィが夜行のメンバーらしき人達を嬉々として倒していく。

 もうちょっと台詞は考えようよ。

 どう見てもこっちが悪者なんだけど?

 でも一応手加減はしてるみたいで、大怪我させずに無力化して行ってるのはさすがだ。

 取りこぼした相手は九曜と叢雲が無力化していった。


 地下は意外に広く、いくつもの部屋から次々に人が現れて襲ってくる。

 余程見られたら拙い物を扱ってるんだろうね。

 それに関しては今回はスルーだ。

 後で王女が何とかするでしょ。

 どんどん進んで行くけど、まだ最奥にいる強い気配は動いていない。

 自分の下へたどり着かせない自信があるのか、あるいは私達を待ち構えているか。


「おっと、漸く手応えがありそうなのが出てきおった」


 黒いライダースーツのような服を着た、3人の男が最後の部屋の前に立ち塞がった。

 確かに今までの人達とは一線を画す達人級の流路。

 そのうちの一人が師匠に飛びかかるが、師匠が右腕で払いのけただけで吹き飛んでいった。

 一瞬だけ気を右腕に集中させて、インパクトの瞬間に相手に叩きつける技。

 体の奥にダメージが叩き込まれているから大幅に体力が削られているはずだが、それでも足に力を込めて立ち上がってくるほど敵はタフだ。

 次のライダースーツの男はミミィに向かって駆け出すが、黒い霧になったミミィを見失う。

 そして背後から現れたミミィに噛みつかれそうになるも、素早く身を屈ませて躱した。

 私は以前噛まれちゃったから、少なくとも当時の私よりは強いみたいだ。

 最後の一人は九曜と叢雲を無視して、私の方へ突っ込んでくる。

 流石に手練れだけあって、ちゃんと強さ順を見極めて私を潰しに来たか。


「お嬢っ!!」

「主殿っ!!」

「大丈夫」


 九曜達が焦って叫ぶけど、私には流路が見えている。

 初撃はフェイント、二撃目の拳は躱し、次に来る蹴りは屈んで躱す。

 そして相手の足に毒針を打ち込もうとするも、それは飛んで躱された。


「あらら、意外と強敵だ」


 流路の強さはそれ程でもないけど、かなりの場数を踏んでいるのか勘が鋭い。

 なるほど、これだけの強者が守っているから、主犯格は逃げずに部屋に籠もっていられるのね。

 私も本気を出さないとダメかな?

 私は拳を鞭のように振るい、攻防一体の打撃で打ち抜いていく。

 でも威力はいまいちなので、相手は躊躇ちゅうちょ無く突っ込んでくる。

 その時何か魔力の流れが変わった感じがしたので、私は大きく飛んで躱す。

 何かされたような気はするけど……警戒して距離を取っていると、違和感に気付いた。

 相手の流路が途切れて視える、というか何か電波障害を起こしているような視え方だ。


「……ジャミング?なるほど、あなた闘技場の襲撃者のうちの一人ね」


 あの時もスキルをジャミングされたような感じがしたんだよね。

 やっぱり夜行があの襲撃事件に関与していたか。

 それにしても、私のジャミングと同じような事が出来る人がいるとは……。

 ニヤリと口元を歪めるライダスーツの男。

 でも残念、それには対抗手段があるんだよ。

 私が新しい毒を生成すると、ジャミングを使っていた敵の眼に一瞬動揺が走る。


「ジャミングキャンセラー(毒)よ。これであなたのジャミングは無効化される」

「お?ジャミング系の技を使ってるのか?じゃあ俺も手伝ってやろう。ジャミングキャンセラージャマー!」

「ちょっとぼっちさん、余計な事しないで!私のジャミングキャンセラーが掻き消されたじゃないのよ!もう一度、ジャミングキャンセラージャマーデリーター!」

「おいおい、俺がジャミングは請け負ってやろうとしたんだろうが。ほらよ、ジャミングキャンセラージャマーデリーターノイズ!」

「お前ら、アホじゃろ?」


 ミミィに突っ込まれるまで、ぼっちさんと味方同士でジャミング合戦してしまった。

 でも自分のジャミングが無効化されていた敵は、困惑したままで攻めて来れなかったようだ。

 いつの間にか師匠とミミィはそれぞれの相手を無力化していたので、もう普通に毒が使える私もファン○ルで早々に相手を無力化した。

 かなりの手練れを無力化されたというのに、扉の向こうにいる主犯格と思われる人物は動く気配が全く無い。

 いや、よく見ると部屋の中にはもう一人居た。

 あれ?さっきまでは一人だったと思うけど、どこか別の入口から入って来たのかな?

 とすると脱出用の通路が用意されているのかも知れない。

 私達相手に逃げ切れる自信があるから、余裕ぶってるのかも知れない。


 軋むような音と共に開けられた扉の奥には、若い女性と年老いた女性の2人が私達を待ち構えていた。

この物語はファンタジーです。

実在するジャミング及びジャミングキャンセラー及びジャミングキャンセラージャマー及びジャミングキャンセラージャマーデリーター及びジャミングキャンセラージャマーデリーターノイズとは一切関係ありません。

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