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【完結】毒針クリティカル  作者: ふぁち
第三章『学園編』
133/258

133 決勝戦 対Aクラス 3

 さて、あの傀儡の鏡という魔導具は複数人相手にも使えるのかな?


「貴重な魔導具を使ってしまって良かったの?それって一人にしか使えなかったやつよね?」

「よく知ってるな。確かにこの魔導具はもう使えないが、一番厄介な奴を潰したのだから目的は達している」


 カマかけたら素直に答えてくれた。

 私の方が心が汚れてるみたいで、ちょっと複雑なんですけどぉ……。

 確かにこちらの最大戦力が戦闘不能になったのは痛いけど、果たして一番厄介なのはレントちゃんかな?

 私は毒ファン○ルを生成して自分の周りに展開すると、水魔法使いに向かって駆け出す。

 水魔法を使おうとしている魔力の流路が見えたので、それはジャミングしておいた。


「くっ、魔法が発動しない!?セオの魔剣を模倣したのか!」


 これは私のオリジナルよ。

 まぁ、魔剣の方が私の知らないとこで先にやってたかも知れないけど、パクリじゃないもん。

 しかし、魔法をジャミングしても、次の攻撃を加えようとすると軽技師が妨害してくる。

 軽技師は超低空で複雑に軌道を変え、私に接近する。

 それをファン○ルで撃ち落とそうとしたが、近距離で気持ち悪い体の動きで躱された。

 そして腹部への蹴りをモロに食らって、私は壁際まで吹き飛んでしまった。

 こんなに綺麗に攻撃を受けたのは何時以来だろうか?

 軽技師はAクラスにしては派手さが無いスキルかと思ってたけど、この人も代表に選ばれる程の人なのだと再認識した。

 もっとも、この程度のダメージでは虫に刺された程にも及ばない。

 寧ろ虫が体に付く事の方がはるかに恐ろしいわ。

 虫大嫌いっ!


「アイナ様っ!大丈夫ですかっ!?」


 レオナさんがこちらを気にしているけど、そのせいで魔剣士に押され気味になっていく。


「他人を気にしている余裕があるのか?」

「ちぃっ!」


 レオナさんは剣と魔法がチグハグだから、そもそもスキルの使い方はあまり上手くない。

 魔剣のせいで魔法が使えない中、剣のみに集中している今の方が動きが良いぐらいだ。

 はっきり言って、長年の鍛錬で培った剣術による戦いは、スキルに頼る戦いよりもレオナさんに向いているのだろう。

 しかし、そのレオナさんの剣の技に、魔剣士もついて行ってるのが凄い。

 そして魔剣士はその剣の冴えが、自身のスキルにマッチしているので厄介だ。


「いつまでも同じ魔剣だと思うなよ!」


 魔剣士が一歩後ろに下がって魔剣を素振りすると、今まで魔剣に纏われていた黒いオーラが、赤いオーラへと変化する。

 そしてレオナさんに向けて振ると、その剣の先から炎の斬撃が飛んだ。


「くっ……!」


 レオナさんは辛うじて横飛びで躱したが、体勢を崩してしまう。

 そこへ追撃の炎の斬撃が飛んでくる。

 あわやレオナさんに直撃する寸前で、私が生成した毒の盾でなんとか防ぐ事が出来た。


「レオナさん、今なら魔法使える!」

「はいっ!」


 魔剣が黒いオーラを放たなくなったので、魔素を喰われなくなった。

 レオナさんが魔法陣を構築し始めたが、そこへ軽技師が空中から妨害しようとする。

 毒の盾を軽技師の攻撃に合わせて防御するように動かすと、軽技師はその盾の下へと低空で身を翻してレオナさんに蹴りを入れた。


「ぐっ!」


 せっかく撃とうとしていた魔法は掻き消されてしまい、レオナさんも私のいる方へと吹き飛ばされてしまった。

 うーむ、Aクラス代表は他のクラス代表の戦闘能力と、差が有り過ぎる気がするんですけど?

 まぁ、この学園のスキル至上主義にかんがみれば、教師も自分の実績を残したいが為にAクラスにだけ注力したんだろうなとは思う。

 他者を見下す性格はいただけないけど、実力は本物であると認めざるを得ないね。


「アイナ様、あの3人を少しだけ抑える事が出来ますか?」

「何かやるの?」

「私の奥の手を使います。ただ、ちょっと溜めが必要になるので」

「分かったよ」


 私はレオナさんをその場に残し、一人で3人の方へ向かう。

 そして広範囲にファン○ルを展開して、Aクラスの代表達の意識をこちらへ向けさせた。


「この程度は、また魔剣に喰らわせればいいだけだ」


 魔剣士が魔剣のオーラを黒に戻すと、魔剣士の周りのファン○ルが掻き消える。

 それでも半数は残っているので、毒のレーザーを水魔法使いと軽技師に向けて放った。

 水魔法使いは水の盾で防ぎ、軽技師は上空へ飛んで逃げた。

 次いで私は魔剣士に向かって駆け出す。


「おいおい、魔法使いが魔素の無い中でどうするつもりだ?」

「殴るつもりだよ」


 歩法で一気に距離を詰めると魔剣士の腹へ拳を繰り出す。

 それを魔剣士は剣の柄で弾くように防御する。

 そもそも当たると思って無かったけど、反応が早いなぁ。

 私は魔剣士の足を払いに行くが、それは距離を取って避けられた。

 そこへ追撃はしない。

 何故なら既にその場所へレオナさんが迫っていたから。


「はあっ!!」


 膨大な魔力を刃に纏った剣が魔剣士に向かって振り下ろされた。

 レオナさんのスキルは確か『魔法剣士』。

 前世の知識では魔法剣士って、剣と魔法の両方が使える以外にも、剣に魔法を纏わせて戦うパターンもあったのよね。

 たぶんそれに近い事をやろうとしたんだろうけど、スキルがまだ未熟だから魔法を纏えずに魔力だけが乗っているみたい。

 きっと極めれば魔剣士と同等ぐらいの強さになるんじゃないかな。

 それでも、レオナさんの強化された今の魔力量ならかなりの強さになっているはず。

 振り下ろしたレオナさんの剣が魔剣士の剣に当たると、甲高い音と共に魔剣士の剣は根元付近で折れてしまった。


「やったか!?」


 レオナさん、それ言っちゃダメなやつ!

 ほとんど柄だけになった剣を魔剣士が素振りすると、オーラが刀身のようなものを形成する。

 そしてその剣が、大技を放って体勢が崩れているレオナさんに向かって振るわれた。


「ぐああああっ!!」


 壁まで吹き飛んで強かに体を打ち付けたレオナさんは、崩れ落ちてそのまま動かなくなってしまった。

 流路を見る限り命に別状は無さそうだけど、完全に気絶してしまっているので復帰は難しいかも知れない。

 毒針で無理矢理復帰させようかと思ったけど、既に私はAクラスの3人に囲まれてしまっていた。


「さて3対1になったが、降参するか?」

「するわけないでしょ」


 寧ろ一人になって周りを気遣う必要が無くなったし、ここからは全力でお相手するよ!

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