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【完結】毒針クリティカル  作者: ふぁち
第三章『学園編』
131/258

131 決勝戦 対Aクラス 1

 遂に決勝戦、Aクラスとの対決である。

 さて、あの水魔法使い、今度は何を仕掛けてくるかな?

 と思ってたら、何故か試合場の舞台が片付けられて行く。

 なんで?


「僕らとの決勝戦は個別の試合ではなく、3対3の団体戦とします。その際今の舞台では狭すぎるので、この闘技場全体を舞台とし、舞台外への落下による敗北は無しになります」


 水魔法使いが決勝戦のルールを説明してくれた。

 舞台外への落下が敗北だったとか、今知ったし。

 そういう説明一切無かったんですけど?

 それはいいとして、3対3ってレントちゃんに一掃されちゃうだけじゃない?

 いや、その対策が出来てるからこその団体戦か……。

 魔導具が解禁になってるから、それで何か用意しているのかも知れない。


 舞台に上がる必要が無くなり、両クラスの代表が3人ずつ並び向かい合う。

 ここまでのFクラスの快進撃を見ているはずなのに、相手は余裕の笑顔なのが不気味だ。

 程なくして、試合開始の合図が上がる。

 さすがにAクラス相手なので、レオナさんも棄権させられる事無く参加出来ている。

 そのレオナさんが剣を抜いて構えると、相対するAクラスの『魔剣士』が同様に剣を抜いた。

 互いに刃を潰した模擬戦用の武器でありながら、両者の武器には明確な違いがある。

 レオナさんの武器は普通の鉄の剣だが、魔剣士の武器は黒いオーラのようなものを纏っており、不気味な雰囲気を醸し出している。

 あれが魔剣士のスキルによる武器の魔剣化ね……。


 魔剣士が姿勢を低くするとともに駆け出す。

 その向かう先は、何故かレントちゃんの方だった。

 レオナさんがすぐに反応して、それをカバーするように間に割って入る。

 ガキンという金属がぶつかり合う音が周囲に響き渡った。

 一応レオナさんの素の武器でも魔剣と渡り合えているので、強度に大きな差があるという訳ではないようだ。

 レオナさんに守ってもらったレントちゃんは後方から水レーザーを生成する。

 しかし、それは放たれる事無く霧散した。


「えっ!?何で?」


 困惑するレントちゃんとは対称的に、ニヤリと余裕の笑みを見せる魔剣士。


「この魔剣は武器としての強度を捨てる替わりに、周囲の魔素を喰らう仕様になっている。この魔剣の周りでは魔法は使えないぞ」


 へぇ、私のジャミングみたいな事を魔剣でやってるのか。

 レントちゃんのスキル『水操作』のように、遠隔で何かを操る系のスキルには周囲の魔素の存在が必要になる。

 目に見えない魔素が繋がった先の水を操ってるので、その魔素が断絶されると操作できる範囲が制限されてしまうのだ。

 しかし、レントちゃんは込める魔力を上げる事で、魔素を周囲にまき散らした。

 魔力を放出するとそれは魔素に還元され、周囲に『フィールド』を形成する。

 魔力量が多ければ多いほど、その場をより強く支配できる。

 魔剣が喰らう以上の魔素を発した事で、レントちゃんは一時的に水操作できる場を作り上げた。

 その場を利用し再度水レーザーを生成して打ち出すが、魔剣士は魔剣でそれを弾きながら防いでいく。

 スキルだけじゃなくて剣の腕も相当なもので、さすが『勇者の弟子』候補と言われているだけの事はあるみたいだ。

 レオナさんがレントちゃんの攻撃に乗じて魔剣士に襲いかかるが、今度はその上空から別の敵が舞い降りる。

 『軽技師』が空中の足場を蹴って、頭上から飛びかかるように上空からの攻撃を放つ。

 上を向くと重力によってバランスを崩されてしまうので、上からの攻撃は人型の生物には防ぎにくい。

 だが、そもそもレオナさんはそれを防ぐ気配すら見せなかった。

 何故ならそこには私がいるから。


「ていっ!」


 軽技師がやったのと同じように空中に見えない足場を作って、私は軽技師に蹴りを入れてレオナさんへの攻撃を防ぐ。

 そこで宙に浮いたままの私の視界に、魔剣士の後ろから水魔法を放とうとしている水魔法使いの姿が見えた。

 レントちゃんのレーザーには及ばないまでも、高速で撃ち出される水の束が私を貫こうと襲う。

 以前見た水魔法は、やはりこちらを侮って手加減してたものだったか。

 でも、それは私に当たる直前にグニャリと曲がって四散した。

 レントちゃんの水操作によって、相手の水魔法は操作を乗っ取られたからだ。

 一連の攻防を終えると一旦両チーム共離脱し、お互いに距離を取った。


 Aクラスは自尊心の塊みたいな人ばかりに見えたので、こんなにもしっかりと連携して来たのは意外だった。

 たぶんダンジョンに潜った時に培ったものだろう。

 逆にこちらの連携はつたないのが露見してしまった……。

 レントちゃんは元々戦闘系スキルじゃないから、そんな訓練は全くしていない。

 レオナさんは自分自身の強さを求めていたので、鍛錬はしていても連携など端から頭に無い。

 かく言う私も、最近は人と行動する事が増えたけど、戦闘は基本単独で行う。

 何か強力な魔導具を用意してくるかと思ってたけど、魔導具を使うまでもなく正攻法によって普通に連携で撃破されかねない状況だよ。

 今までと同じ個別の試合なら圧勝かなと思ってたけど、団体戦になった事でちょっと面白くなってきたね。

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