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【完結】毒針クリティカル  作者: ふぁち
第三章『学園編』
112/258

112 暴走

「レオナさん、あれ倒して!超レベルアップできるから!あと、絶対美味しいからっ!」

「無理でずぅ……ずびばぜん……」


 乗り物酔いでグロッキーなレオナさんは、四つん這いでノロノロと私達の後方へ退いた。

 あれだけ盛大に吐いた後じゃ無理だったか……。

 じゃあレントちゃん……と思ったら、割れていた湖が大きな飛沫を上げて元に戻っていく。


「ま、魔力切れしちゃいましたぁ……」


 レントちゃん、お前もか!

 タケル君の前で張り切りすぎて、湖を割るのに余計な演出までしちゃうから……。

 湖の水は大きな波を描いて、完全に白いドラゴンを飲み込んでしまった。

 それにしても水の中に居たって事は、あの白いドラゴンは水棲生物なのかな?

 そういえばタツノオトシゴはエラ呼吸だっけ。

 そこから進化した種類なら水中で棲息できるのかも知れない。

 かと思いきや、突如ドラゴンが水中から羽ばたいて空へと飛び上がった。

 水陸両用?いや、空飛んでるから水空両用?

 次いでドラゴンから炎の魔法が放たれた。

 ブレスじゃないただの魔法だったので、魔法ジャミングで簡単に迎撃する。

 それに苛立ったのか、白いドラゴンはこちらを睨みながら大きく咆哮した。


「ギャオオオオオオアアァッ!!」


 私がジャミングできるからいいけど、魔法も結構強力なものを使っている。

 何にしろ飛べるのは厄介だから、まずはあの翼をもぐところからやらないとだね。


 レオナさんとレントちゃんは戦線離脱なので、しょうがないから私がやるか。

 でも、ドラゴン相手だと大猿化しないとたぶん勝てないと思う。

 ホントはあまり見せたくは無かったんだけど、この際しょうがない。

 美味しいお肉に逃げられてたまるか!


 しかしそこで、何やらタケル君が急にうん○我慢してるような真剣な顔付きになった。


「僕がおとりになるっ!!」


 突然私達の前に躍り出たタケル君は、キッと上空にいるドラゴンを睨んだ。

 え?タケル君が戦うの?

 そんなにレベル上げたかったのか。

 じゃあタケル君が戦いやすいように補助してあげようかな。


「僕は今から暴走状態に入って周囲を破壊してしまうと思う!巻き込まれる前に、皆は早く逃げるんだっ!」


 暴走状態って、まさかタケル君中二病を発症しておられるのか?

 右目がうずいたりしてるの?

 いや、それにしては妙に焦燥感に駆られてるみたいだけど……どうしたんだろ?


「彼女達は襲わせないぞっ!『龍化』っ!!」


 タケル君の魔力を大きく越えたオーラが迸った。

 そして急激に皮膚が鱗のようになり、体がどんどん巨大化していく。

 赤く染まったその体は、上空の白いドラゴンに酷似していた。


「ギャオオオオオオオ——オオッ!?あれ……?暴走しないっ!?」


 巨大な赤いドラゴンに変身したタケル君は、何故か困惑しているようだった。

 あれは勇者独自のスキルか何かかな?

 ドラゴンになれるスキルか——ちょっと格好いいかも。

 なるほど、勇者にしてはちょっと迫力に欠けるなとは思ってたけど、こんな隠し玉を持ってたんだね。

 っていうか、なんかこのドラゴン見たことある気がするんだけど……?

 闇王国にいたドラゴンに似てるような……そういえばミミィが勇者がどうとか言ってたっけ。

 つまり、闇王国に来ていた勇者はタケル君で、そのタケル君が変身したドラゴンを私がぶっ飛ばして、元に戻ったタケル君を私が治したって事か。

 うわぁ、今大猿化しないで良かった。

 タケル君をぶっ飛ばした大猿が私だってバレちゃうとこだったよ。

 今後もタケル君がいる前で大猿化は避ける事にしようっと。

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