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【完結】毒針クリティカル  作者: ふぁち
第三章『学園編』
110/258

110 勇者の弟子

 王都郊外の人があまりいない場所まで移動すると、レオナさんが急に憤る。


「申し訳ありません、あれはたぶん私を牽制しての事だと思います。クラス対抗戦で元Aクラスの私が代表になるのが確実だろうという事で、訓練の機会をわざと奪ったのでしょう。姑息な……」


 あぁ、その線が一番濃厚かもね。

 Fクラスの生徒なんて何とも思ってなさそうな先生が、態々許可できないなんて言うのはそれ以外に理由は無さそうだし。

 元Aクラスのレオナさんを成長させないようにしたと考えるのが妥当か。

 そんな事されたら、めっちゃパワーアップさせたくなっちゃうじゃない。


「あれ?何か悪寒が……?」


 レオナさんが何故か震えている。

 武者震いかな?


「レオナさん、ひょっとしてあの3人がAクラスの代表になるのかな?」

「恐らくそうなると思います。勇者様と聖女様を除けば、彼らがAクラスのトップ3ですから」

「え?勇者と聖女はクラス対抗戦に出ないの?」

「お二人は国賓ですので、クラス対抗戦がいかに模擬戦であっても、危険な事には参加させないと思います」


 ちらりと勇者タケル君の方を見ると、若干悔しそうにしていた。

 いや、出ないで正解だと思う。

 勝っても負けても何か問題になりそうだし……。

 特に聖女と戦うとか面倒事の匂いしかしないから、私としても絶対に嫌だ。


「じゃあ、知ってる範囲であの3人のスキルについて教えてくれない?」

「はい。3人とも特にスキルを隠蔽していないようなので、私が知ってる能力しか持ってないと思います。まずは金髪の男はエクアルトと言って、『水魔法(極大)』のスキル持ちです。無詠唱で水魔法を使えて、広範囲への強力な攻撃が可能です。かなりの魔力量を持っており、無尽蔵に放たれる魔法に対抗するのは容易ではありません」


 なんて噛ませ犬感満載の人だろう。

 レントちゃんのスキルと相性良すぎるでしょ。

 彼はレントちゃんに噛まれる為に生まれて来たのだろうか?


「次に銀髪の軽鎧をつけていたのは、ダニエロ。『軽技師』のスキル持ちです。誤解されがちですが、軽業ではなく軽技という特殊な攻撃をして来ます。足場の無い空中からも多角的に攻撃してきて、その上とても素早いため、動きを捉える事はかなり困難です」


 なんだ立体機動なら私も出来るし、どんなに素早くてもクリティカルポイントが視える私には無意味だ。

 これは私用の噛ませ犬ちゃんかな?

 いや、一応油断は禁物だ。

 ファン○ルを強化して、ちゃんとレーザー撃てるようにしておこう。


「そして茶髪の男は、セオ。スキルは『魔剣士』です。この男が一番やっかいで、セオが持った武器はたとえ木の棒でも魔剣になってしまうのです」


 まさかの魔剣製造機!?

 魔剣作ってもらって売ったら、めっちゃ儲かるじゃん!


「アイナ様、考えが顔に出てますよ……。セオが手放した時点で元に戻りますから、売ったりはできません」


 そうなんだ……残念。


「模擬戦は安全の為に刃をつぶした武器を使いますが、セオが持った時点で魔剣になるので、相手だけが実戦用の武器を持っている状態で戦う事になります。会場には強力な加護を込めた結界が張られるので、大怪我をする心配は無いのですが、武器の威力がそもそも違いすぎて試合にはならないでしょう」


 私は毒で武器を作れるから、なんならそいつの相手してもいいけどね。

 いや、そもそも私、武器とかいらなかったわ。

 伝説の武器持ってるけど、ただの移動手段と化してるし。


「あの3人は次期『勇者の弟子』候補とも言われている程なので、一応油断はしないようにしてください。ひょっとしたら奥の手を持っているかも知れませんので」

「勇者の弟子……タケル君、弟子を取るの?」

「い、いや、僕の事じゃないと思いますよ。この世界には僕なんかより強い本物の勇者が6人もいるらしいですから」

「え?タケル君は本物の勇者じゃないの?」

「……そうですね。僕は別の世界から召喚された、ただの子供ですから。強力なスキルを与えられたけど、理由があって今は使えませんし……」


 Oh、やっぱり異世界召喚されてたのね。

 名前が和名だから、もしやと思ってたけど。

 でも余計な事聞いちゃったせいで、タケル君がダークモードに突入しちゃったよ。

 ごめんね。

 それにしても勇者の弟子か……こっちには魔王候補がいるもんね。


「もっとも今はアイナ様の強さを知ってしまったので、彼らごときが勇者の弟子になるなどおこがましい事だと思いますが」

「あら、じゃあ勇者の弟子候補より強い私は、勇者に弟子入りできちゃうって事かな?」

「え?何言ってるんですか?アイナ様は勇者の弟子でしょう?」

「……はい?」

「だって、キャサリン様とリスイ様から手解きを受けていますよね?」

「んん?何でそれで勇者の弟子になるの?」

「キャサリン様とリスイ様が勇者ですから……まさか、知らなかったんですか?」


 ……レオナさんがおかしな事を言い出した。

 キャサリン姉とリスイ姉が、勇者……だと?

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